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浪速の味 江戸の味 12月【豚まん】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: youko2023年11月27日

今年は11月上旬までは夏日もあり「夏日最長記録」の年でしたが、ここにきて一気に寒くなってきました。あわててコートを出しました。寒くなると、温かいものを食べたくなります。湯気が立っている「豚まん」もその一つです。大きめの中華まんじゅうです。豚ミンチと玉葱のみじん切りを砂糖、醤油、香辛料等で味付けしたものを中華まんじゅうの生地でくるみ、まるめて蒸し上げたものです。

大阪には、この「豚まん」で有名な店があります。戦後、難波に誕生した店がいまでは、あちこちに出店しています。関西圏のみの店舗展開なので、空港や主要な駅の改札近くの店には、大阪みやげに豚まんを買い求める長い列ができています。私も時々買っています。蒸したての豚まんは、ほかほかでおいしいです。好みで辛子をつけて食べます。

コンビニの出店が相次いだ頃、レジのところに中華まんじゅうの保温ケースが置かれているのを見て、不思議に思ったことがありました。「あんまん」「肉まん」と表示されていました。「あんまん」は餡子入りとわかるのですが、「肉まん」は、牛肉のミンチが入っているのかなと思っていたら、実際は、豚肉だったのでなぜ「豚まん」と言わないのかなと思ったものです。

関西では肉とだけ言えば牛肉なのですが、関東では鋤焼や肉じゃが、カレーなどにも、豚肉がよく使用されていることを知るにつけ、肉=牛肉とは限らないことがわかりました。豚肉は豚と呼んでお好み焼きはじめ、さまざまな料理に使っています。

全国展開するコンビニによって、「関東炊き」を「おでん」というようになったり、全国統一された呼び名がひろがりました。でも、その土地に根付いている呼び名は大事にしたいと思っています。

豚まんや湯気もろともにかぶりつき   洋子

今月の季語〈十二月〉 クリスマス

caffe kigosai 投稿日:2023年11月17日 作成者: masako2023年11月19日

冬の歳時記の〈行事〉のところを開いてみましょう。いくつの季語となじみがありますか? 多少でもイメージの湧く季語を仲冬に限って抽いてみますと、私の場合は、

五節の舞、開戦日、秩父夜祭、義士の日、神楽、王子の狐火、報恩講、臘八会、大根焚、クリスマス

これに加えて、終大師(しまひだいし)や大祓(おほはらへ)などの歳末・年越関係の季語、青邨忌のような忌日の季語…といったところでした。皆さまはいかがですか?

〈開戦日〉は自身の体に覚えはありませんが、後世へ伝えるために詠み継ぎ、読み継ぐ季語と思っています。

開戦日が来るぞ渋谷の若い人                大牧 広

十二月八日よ母が寒がりぬ                    榎本好宏

今のご時世で意識すべきは、終戦日より開戦日かもしれません。大牧広の句は、開戦日=十二月八日にとどまらず、そのまま警鐘としてとらえることができます。

〈報恩講〉(親鸞の忌日を修する法会)は縁あって参じたことがあります。コロナ禍のころでしたから、規模も小さく、人出も少なく、「本物」には遠かったかもしれません。ただ、当時私は、足の骨にヒビが入る生涯初の事態に見舞われ「けんけん」で参ることになったものですから、参じる人の「心」は感じ得た気がしています。

わが代の限りは門徒親鸞忌                   大橋桜玻子

俳諧の他力を信じ親鸞忌                       深見けん二

実感が大切なのはどの季語にもいえることですが、行事の季語は殊に、個々人の体験の有無が大きくものをいいそうです。

〈クリスマス〉は中でも傍題が多く、例句も膨大です。宗教の行事に留まらず、市井の暮らしへの定着度がよくわかります。

一人来てストーブ焚くやクリスマス            前田普羅

へろへろとワンタンすするクリスマス            秋元不死男

ここに酸素湧く泉ありクリスマス              石田波郷

どの句も「一人」のクリスマスです。一句目は後から誰か来るかもしれませんが、今は一人。二句目は、ワンタンには少年時代の思い出がまつわると自解していますが、クリスマスらしくないことを自覚しています。三句目は酸素吸入をしないと生きられないのですから、確かに命の「泉」ですが、切なさも限りなしです。これらはむしろ特殊で、

クリスマスツリー地階へ運び入れ               中村汀女

ヴェール着てすぐに天使や聖夜劇               津田清子

降誕祭終りし綺羅を掃きあつめ                   福永耕二

子へ贈る本が簞笥に聖夜待つ                       大島民郎

見つめよと置くともしびやクリスマス          千葉皓史

あれを買ひこれを買ひクリスマスケーキ買ふ  三村純也

パーティの準備、後片付け、贈り物の用意、…と、こちらがよく知っている、クリスマスらしい景でしょう。

トラックを停めて聖樹を売り始む              坂本宮尾

また駅の時計見上ぐる聖菓売                     菊田一平

聖樹売、聖菓売本人の句ではありませんが、立場を変えるとこんな詠み方も。

さて今年はどんなクリスマスの句を詠みましょうか。(正子)

第八回 カフェきごさいズーム句会報告

caffe kigosai 投稿日:2023年11月12日 作成者: mitsue2023年11月12日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
今月から添削例も併記しました。参考にしてください。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第八回 2023年11月11日(土)
飛岡光枝選(  )は添削例 

第一句座 
【特選】
堂々と老い山茶花の白が好き        前﨑都
(堂々と老い山茶花の白愛す)
これよりは佳き日重ねむ返り花       藤倉桂

【入選】
七五三晴れ着のままに眠りけり       斉藤真知子
小春日や茶の湯の会へ人の列        花井淳
鶏頭を剪るにすこしの勇気かな       斉藤真知子
(鶏頭を剪るにすこしの勇気欲し)
秋の空飛行機雲の迷ひなし         藤井和子
(秋の空飛行機雲の迷ひなく)
近づいてやつぱり咲いてゐる柊       葛西美津子
(近づいてたしかに咲いてゐる柊)
立冬や煮豆ことこと終日          藤倉桂
診察を待つ窓の外冬紅葉          早川光尾
(冬紅葉診察を待つ窓の外)
秋晴れを掴みて吾子の初立つち       藤井和子
冬立つ日空澄みわたり術後の目       前﨑都
(術後の目立冬の空澄みわたる)
太秋柿由来知らねど良き名なり       前﨑都
雪ばんば今日は一斉下校といふ       高橋真樹子
綿虫のむらさきいろのあたたかし      高橋真樹子
ぴゆうと風吹きて三つ星濃くなりぬ     伊藤涼子
熊よけのラジオ流れる露天風呂       村井好子
舟寄せて浮島の松手入れかな        矢野京子
(ぎいと舟寄せて浮島松手入れ)
足場組むハンマーの音今朝の冬       村井好子
シャコサボテンごま粒ほどや花の精     伊藤涼子
(シャコサボテンごま粒ほどの莟つけ)
稲架掛けや父と息子の息合ひて       早川光尾
(稲架掛けや父と息子の息合はせ)
再びのサイレン聞こゆ今朝の冬       赤塚さゆり

第二句座(席題、白鳥、セーター)
【特選】
出来上がらぬ夫のセーター三年目      村井好子
(出来上がらぬ夫のセーター三十年)

【入選】
湖に眠りし白鳥の夢いくつ         斉藤真知子
(湖に眠る白鳥夢いくつ)
新しきセーターに猫甘えくる        斉藤真知子
セーターのトンネル抜ける赤ん坊      高橋真樹子
夕闇につがいの白鳥いよ白し        藤井和子
(夕闇につがひの白鳥いよよ白し)
白鳥も加賀の湯の里好むとや        花井淳
温きかなまだ編みかけのセーターよ     藤倉桂
セーターの裾を掴みて離れぬ子       矢野京子
思ひ出を消すごとセーター解いてゆく    前﨑都

浪速の味 江戸の味(十一月)千歳飴(金太郎飴)【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

十一月に入ると、神社やお寺には七五三詣での着飾った親子が見られるようになります。子どもの成長を祝うこの行事は、江戸期に関東で始まったものが京都、大阪でも行われるようになり、全国へ広まったということです。

七五三に欠かせない「千歳飴」は、元禄時代に浅草の飴売りが売り出した「千年飴」から始まったとされています。細長い形は長生きに通じ、紅白の飴が松竹梅や鶴亀など縁起の良い絵が描かれた袋に入っています。子どもが持てる袋に入れたのは大正解で、誰が発案したのか知りたいものです。子どもが千歳飴の袋を引き摺るように持つ可愛らしい様子は、俳句でもよく詠まれます。

水飴と砂糖を材料とする千歳飴は、大人になってからすっきりした後味を滋味と思うようになりましたが、子どもの頃はあまり惹かれることもなく、私のご贔屓は不二家のミルキー千歳飴でした。一粒でも美味しいミルキーが長い棒になっているなんて、まるで夢のようだと思ったのをよく覚えています。

写真は、東京都台東区根岸の「金太郎飴本店」の千歳飴。同店の初代が明治の初めころ露天商として飴を売り出し、金太郎飴は二代目が”組飴”の技術から発案したとのことです。

組飴は大阪では「おかめ」や「福助」の絵柄が作られていましたが、関東で人気の「金太郎」を絵柄として大ヒット、飴の名称としても定着しました。子どもの元気な成長を願う七五三の千歳飴には、熊をも投げ飛ばす金太郎はぴったりではないでしょうか。

千歳飴にぎつて眠る父の背  光枝

今月の花(十一月)落花生

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

子供の頃、落花生は木の枝から下がっていると思っていました。

咲いた花の花びらはすぐに落ちますが、子房が伸び土の中にもぐっていき落花生になります。落花生はアンデス原産ということです。

秋の花展のテーマが発表されたのは夏に入ったころでした。いけるのはいけばなに必要な三つの要素である 線、色、塊 の中から一つを選んでの制作も可ということでした。この中から「塊」を選択。しかし塊をテーマとするいけばなは、内に秘める力強さを表すために多めに花材を用意して、塊を作る、と注意が。

落花生の生命力の強さに心惹かれ、旬の「おおまさり」という落花生ををいけてみようと長野の農家の知り合いの畑から送っていただく手筈を整えました。子供のころから不思議だった落花生をこの機会に手元でしげしげと見たかったので葉と根が付いたものを注文しました。

数日後、ずっしり重いすこし湿った段ボール箱を開けると新聞紙の中に青々した葉にうずもれた茎に下がる大小の落花生!!

その日から私の落花生との格闘がはじまりました。根から垂れ下がる細い茎の部分を残しながら秋になっても青々とした葉を取るのは時間がかかり同じマンション在住の門下にも‘出動‘を依頼したほどでした。落花生の栽培には畝を作るところから始まり、収穫までにはたいそう手間がかかり、掘り出すのにも力がいることでしょう。

食べ物を粗末にしてはいけない、という思いと花展が終わってから門下と乾杯の時につまみにどうだろうか、などと雑念がわき接着剤を使っても思うように塊のいい形にできません。

殻のひだの部分には土が残っていて 使わない歯ブラシでとってもきれいには取れません。

あと一週間に迫った花展に、うごめいているような落花生の殻の集まりだけではなんだか気味が悪いので、赤と緑の秋色あじさいを追加として花店に注文しました。美女と野獣に見えたらいいなあ、と独断で。

いけこみの二日前、作った塊には今一つ迫力が必要と感じました。農家にはもうなく、代わりに通りがかったカフェにおおまさりが売られていたのをおぼえていたので調達。ベランダで天日干しにしましたがいけこみ当日触ってみるとまだ手には湿り気を感じたのです。会場のデパートのいけこみは遅い午後。キッチンのフライパン二つを使い、乾煎りをして水分を少しでも飛ばそうとしました。

手のかかった落花生は展覧会で皆さんの興味を引いたようです。今年の晩秋は落花生に振り回されて過ぎていきました。(光加)

第七回 カフェきごさいズーム句会報告

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第七回 2023年10月21日(土)

飛岡光枝選
≪第一句座≫ (当季雑詠)
           
【特選】
秋の渚花のやふなる貝の殻        上田雅子
故郷への橋は流され秋出水        鈴木勇美
山一つ湖に映して走り蕎麦        高橋真樹子

【入選】
秋風やこの身まるごと入れかはり     矢野京子
山ぶだう葉陰にルビー散りばめて     伊藤涼子
寄鍋に方言おどる同級会         前﨑都
節榑の指いとほしや栗を剝く       前﨑都
蒼き空独り占めせし雪の穂高       藤井和子
赤飯の蒸籠三段秋日和          葛西美津子
百六十センチ我を超したりアワダチソウ  上田雅子
水晶や祖父の命の今年米         藤倉桂
涙して人情噺菊日和           赤塚さゆり
秋空や神は何処ぞパレスチナ       早川光尾
秋晴や顔華やげる志功の画        花井淳
ふかし藷めぐる季節のまん中で      矢野京子
鬼やんまクラーク博士の指の先      鈴木勇美
りんご狩り新種いくつか味見して     矢野京子
あちこちに国の訛りや神の旅       斉藤真知子
 

第二句座(席題、、冬隣、運動会)

【特選】
羊羹の黒きひと口冬隣          花井淳

【入選】
暗渠より鈍き水音冬近し         葛西美津子
運動会鉛筆一本三等賞          葛西美津子
運動会昼はをさまる砂ぼこり       花井淳
休日の父の薪割冬近し          上田雅子
泣きながらビリを走るよ運動会      赤塚さゆり
冬となり真つ赤なコーヒーマグを買ひ   矢野京子
冬近し沖に黒々牡蠣筏          矢野京子

今月の季語〈十一月〉 時雨

caffe kigosai 投稿日:2023年10月14日 作成者: masako2023年10月19日

木の葉を吹き散らす風が音を立て始めると、空模様が変わりやすくなり、さっと雨が通り過ぎることがあります。そんな雨を〈時雨〉と呼びます。

降る度に月を研ぎ出すしぐれかな             来山

寝筵にさつと時雨の明りかな                   一茶

来山は江戸時代の前期、芭蕉と同じころに大坂で活躍した俳人。「度に」がいかにも時雨だと思います。さっと降っては止みを一夜のうちに繰り返しているのでしょう。そのたびに月が研ぎすまされてゆく、というのです。

一茶はご存知小林一茶。信州柏原の人です。若いころは江戸へ出て俳諧の宗匠をしていましたが、この句は柏原へ帰ってからのものです。冬には雪に閉ざされる柏原に、今年も「さつと」時雨の過ぎる季節が到来したのです。蔵のような家屋に筵を敷いて寝ているのです。雨が地を叩きゆく音が直に響いてきたことでしょう。また戸や壁の隙間から、雨の光が見えもしたことでしょう。時雨を「明り」で捉えた句です。

小夜時雨上野を虚子の来つつあらん        正岡子規

根岸の庵に仰臥しながら、時雨の音を聞きとめて、虚子は今ごろ上野に差しかかったころあいだろう、もう少しだったのに、などと想像しています。

天地の間にほろと時雨かな                 高浜虚子

「あめつちのあはひにほろとしぐれかな」。雨粒がこぼれるさまを「ほろと」と表しています。最初の一粒であるかのようです。

翠黛の時雨いよいよはなやかに                高野素十

素十は虚子の弟子です。「翠黛」はみどりの眉墨。転じてみどりにかすむ山の景にも使われる語です。「はなやか」とは雨が勢いを増したのでしょう。音を立て始めたと解せば、視覚と聴覚の句となります。

鍋物に火のまはり来し時雨かな                鈴木真砂女

赤多き加賀友禅にしぐれ来る                  細見綾子

真砂女は銀座の割烹料理屋の女将でした。今夜は鍋がよく出ること、と思っていたら、ほらやっぱり時雨が、という句です。綾子は沢木欣一と結婚後、金沢に住んだ時期があります。ともに生活圏に素材を得た句です。

うつくしきあぎととあへり能登時雨             飴山 實

實は金沢の四高出身。沢木に兄事した時期もありました。時雨は、能登時雨、北山時雨、などと地名を付けて使われることもあります。

しぐるるや駅に西口東口                        安住 敦

待ち合わせした相手が西口に、敦が東口に出てしまったことがきっかけとなって詠まれた句だそうです。折からの時雨にいささか心もとない気分にもなったでしょうか。

このように名句の多い〈時雨〉は初冬、すなわち十一月の季語です。〈小春日和〉も十一月限定の季語でしたね。時雨、木枯・凩も同じく十一月限定。「あたたかき十一月」の印象はありますが、冬は確実に始まっているのです。

旅人と我名よばれん初しぐれ                   芭蕉

「初」が付くと待ち焦がれた感覚が加わります。更に短い期間限定季語です。是非今のうちに降られておいてください。(正子)

 

浪速の味 江戸の味(10月)ひろうす【浪速】

caffe kigosai 投稿日:2023年9月24日 作成者: youko2023年9月25日

今年は秋暑しどころではない猛暑日が長く続き、秋はいつのことかいなと思っていたら、秋彼岸から秋らしくなってきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものだと思います。多少落ちていた食欲も秋風とともに戻ってきました。実りの秋は美味しいものであふれています。

枝豆もそのひとつです。大豆を成熟させる前に収穫するので、きれいな緑色をしています。枝豆は鞘ごと塩ゆでにしても美味しいですが、その色をアクセントに様々な料理に使えます。水切りした木綿豆腐を崩し、山芋や卵白を加え、牛蒡、蓮根、にんじん、ひじきなどを細かく切って混ぜ,まるめて揚げたものを関東では「がんもどき」と言います。元々豆腐を使った精進料理で「雁の肉に似せたもの」ということで「がんもどき」です。

一方、関西では、「がんもどき」ではなく、「飛龍頭(ひりょうず)」「ひろうす」と言います。この名前は、ポルトガルの揚げ菓子「フィリョス」からきているとのことです。小麦粉と玉子の生地をボール状にして油で揚げ、シナモンシュガーをまぶした菓子なので、ドーナツのような感じかと思います。製法や見た目は似たところがありますが、関西で菓子でもないのになぜ「ひろうす」と呼ぶようになったのか不思議な気がします。江戸時代のポルトガル菓子に思いを馳せつつ、枝豆入りのひろうすの炊いたんと栗ご飯で秋を満喫したいと思います。秋も深まってくると、ぎんなんもひろうすの具材に加わります。

ひろうすの炊いたん秋の昼餉かな  洋子

今月の季語〈十月〉 秋の野

caffe kigosai 投稿日:2023年9月20日 作成者: masako2023年9月22日

ようやく〈秋暑〉を口にしあうほどに秋めいてまいりました。つまり、いまだに暑い暑いと人はかこちあっています。が、見渡せば〈秋草〉が次々に花を掲げ始めています。顧みれば極暑の候にも、萩が走り咲き、葛が鉄塔を猛然と這い登っていました。桔梗の初花も早かったですし、水引草も繁茂していました。秋草は花のイメージこそ楚々としていますが、実はなかなかの強者であるのでした。

東塔の見ゆるかぎりの秋野行く      前田普羅

薬師寺の東塔でしょうか。塔の存在を常に確かめながら野を進みゆく作者です。塔のほかに草木や空、雲が目に入っていることでしょう。そうしたすべてから秋の野を実感しているのです。

日陰ればたちまち遠き花野かな      相馬遷子

花の有無にフォーカスするときは〈花野〉を使います。秋の七草のように名前の定かな花というよりは、とりどりさまざまに咲き乱れているイメージでしょうか。

大花野わが思ふ母若くして           小川濤美子(なみこ)

作者の母は、

曼珠沙華抱くほどとれど母恋し     中村汀女

と詠んだ汀女です。濤美子の句は、花の名を指定しない〈花野〉の茫漠とした印象を生かした例と思います。

はじめより一人花野をどこまでも    櫻井博道

夕花野はてしなければ引き返す      池田澄子

ひとりづつ人をわするる花野かな    井上弘美

果てしなく広く、深く入りすぎると戻れなくなる場所でしょうか。

友情をこゝろに午後の花野径         飯田蛇笏

蛇笏の花野ならば、午後のまだ日のあるうちならば、大丈夫かもしれません。

山姥となりて入りゆく花野径         齋藤愼爾

いやいや決して油断はならないようです。茫漠とした印象なればこそ、さまざまな詠み方ができるのかもしれません。

をみなへし又きちかうと折りすすむ  山口青邨

花野といわずに花野を詠んだ句ともいえましょう。指定された色は黄と紫ですが、他の色の花もきっとと思わせられます。

わが行けばうしろ閉ぢゆく薄原      正木ゆう子

作者は薄ばかりで覆われた野を漕ぐように進んでいます。さながら生き物の胎内に入りゆく心地でしょうか。

秋草を活けかへてまた秋草を         山口青邨

死ぬときは箸置くやうに草の花      小川軽舟

〈秋草〉と同義のはずですが、似て非なるものといいたくなる季語に〈草の花〉があります。前の句は秋草としかいっていませんが、活けるに足るしっかりした草本でありましょう。対して軽舟のほうは、名前はあっても知らないし、調べようともしない草。それが花を付けているのでしょう。季語の機微のようなものを大切に、詠み分けたいものです。(正子)

 

今月の花(十月) 秋明菊

caffe kigosai 投稿日:2023年9月15日 作成者: mitsue2023年9月16日

秋の高い空の下、揺れている秋明菊。貴船菊とも呼ばれ、京都の貴船に多く見かけたということでこの名があります。

秋明菊は菊の仲間ではなくキンポウゲ科に属します。学名はAnemone hupehensis var. japonica といい、アネモネの仲間です。

キンポウゲ科のラナンキュラスやアネモネは、ひょろりとのびた茎の先に花がついています。この秋明菊も花や葉、茎を観察すると特徴が重なり、なるほど同じキンポウゲ科と納得していただけると思います。

学名にjaponicaとついていますが、日本原産ではなく大陸から中国をへて日本に入ってきたものです。

花は白、ピンク、一重や八重があります。一本の茎から枝分かれした先に花が開くと、賑やかな雰囲気が周りにひろがります。紅葉し始めの樹々の中に置いても佳く、また、豆柿やキササゲ、まだ緑や黄色の皮をかぶったままの実をつけたツルウメモドキ、少し赤くなった雪柳の葉や吾亦紅などと、いけばなでのとり合わせにいけてもお互いが引き立てあいます。

秋明菊は高さは1メートル近くになり、地上近くの大きな葉に対し、上のほうの小さな葉は三箇所さけ目があり茎にじかにつきます。お店では白い花弁が5枚くらいの秋明菊がよく売られていますが、花被片が20以上もあるものが日本には自生しているようで、それはまた違った華やかさがあることでしょう。

私はコロンとした秋明菊の蕾が好きで、いけながらこの位置に蕾がくるといいな、と構えて剣山にいけます。剣山にはささるものの、蕾は思うような位置に止まってくれない時もあります。意に反してくるりとそっぽをむかれてしまうと、あらためてさしなおさなければなりません。細い茎に対して蕾や花が重いのでしょうか。

すらりとした気まぐれな女の子のようだ、と手にすると思いますが、水につけないとすぐに萎れてしまいます。切り口にアルコールをつけると元気を取り戻すとか。多年草で、地下茎で増殖して次の年にも現れるとなれば、なかなかのお嬢さん、とも言えるでしょうか。

秋を彩る個性的な枝や花々が楽しみな季節が巡ってきました。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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