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朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」九月

caffe kigosai 投稿日:2021年10月27日 作成者: mitsue2021年10月27日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。兼題はサイトより、九月の季語「九月」、花「瓢箪」、江戸の味「秋刀魚」です。

【特選】
チベットの山家彩る唐辛子  和子

チベットといえば色とりどりの小旗が印象的だが、句は唐辛子で彩られているという印象鮮明な一句。家々で唐辛子を干すという生活が感じられるのもいい。「チベットの山家彩り唐辛子」もある。

大ひさご垂れてしりもちつきにけり  涼子

しりもちが楽しい、秋の実りへの喜びがあふれる一句。平仮名の多用も、棚から伸びきっている瓢箪の様子に通じ効果的。原句は「大ひさご垂れてしりもちつきさうな」。

【入選】
ひとつひとつ違つて嬉しひさご棚  涼子

しっかり出来ているが、特選の瓢に比べると発想が普通。原句は「ひとつひとつ違ひて嬉しひさご棚」。

昼酒は男のものよ秋の風  弘道

上五中七のフレーズに、季語「秋の風」が決まっていないのが惜しい。「昼酒は男のものよ秋刀魚焼く」などか。

上げ潮や夏の香強き小名木川  守彦

東京湾が近い東京の川の濃厚な夏の空気が感じられる一句。原句は「上げ潮や夏の香強し小名木川」。

昼寝醒め冷たき桃にかぶりつく  守彦

ストレートな表現で桃のみずみずしさを伝える一句。「昼寝」は夏、「桃」は秋の大きな季語なので同列は難しい。「目の覚めて冷たき桃にかぶりつく」など。

須磨の浦波音高く月を待つ  和子

地名の入った句は絵葉書俳句にならないようより実感のある句を目指したい。原句は「月を待つ須磨の浦波音高き」。

夏休み将棋盤抱へ孫来たる  守彦

軽いスナップ写真のような一句。孫との交流がほほえましい。原句は「夏休み将棋盤抱へ孫の来る」。

踏みしだく月の光の刃かな  光枝

浪速の味 江戸の味(十一月) 葱鮪鍋【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2021年10月21日 作成者: koka2021年10月22日

葱鮪鍋は、字のごとく葱と鮪のシンプルな鍋です。鮪は江戸時代末期に広く食べられるようになりましたが、足が早く、赤身は「漬け(ヅケ)」にして江戸前寿司の重要なネタとなりました。脂身(トロ)は醤油をはじいてしまうので漬けにはできず、肥料にされるか破棄されていたそうです。

そのトロを江戸の庶民が工夫したのが葱鮪鍋です。より簡単に吸物仕立てにした葱鮪汁も好まれました。鍋はとてもシンプルで、鮪の相方はほぼ葱のみ。江戸の周辺には千住をはじめ葱の産地が多かったことも、手軽に作れる助けになったことでしょう。

江戸落語に「目黒の秋刀魚」と同じ作りの「ねぎまの殿様」があります。この落語には江戸庶民の姿が生き生きと描かれています。「ねぎま」を早口で言うので殿様には「にゃっ」と聞こえたり、ぶつ切りの葱を熱いのも構わずかぶりつくので熱々の葱の芯が飛び出して大騒ぎしたり(葱の鉄砲)、鍋を囲んで座るのは醤油樽だったり。

東京には浅草や深川などに葱鮪鍋を出す店があります。深川の汐見橋にほど近い店のご主人は、葱が鉄砲にならないように斜めに切るなどこだわりの葱鮪鍋を出しています。

木枯らし1号の話題が出はじめた東京、少し冷たくなった川風に吹かれながら、葱鮪鍋をいただきに出かけましょうか。
  
喧嘩も恋も膝つきあはせ葱鮪鍋  光枝

今月の花(十一月)冬の菊

caffe kigosai 投稿日:2021年10月21日 作成者: koka2021年10月21日

「社長は埼玉までいっているので何時に帰ってくるかわかりませんねえ」

オンラインのデモンストレーションを頼まれ、社長に花材をお願いしようとなじみの花店にかけた電話の返事でした。

店先での販売もしていますが、家元や門下の作品撮影など特別な時は花材を近郊に探しに行くこの花屋さんは、普通の町の花屋さんとは少し異ります。例年なら晩秋は展覧会が多く、花材集めに社長自らトラックで走り回る時期です。

前もってこの植物のこのくらいの長さの枝を、と注文しておくと、いきなり電話がかかってきます。「今 目の前に先生の注文にピッタリと思う木がありますがそれでいいですか?いま写メ送ります」。古くからの知り合いの山を持っている人に頼み山中に入り枝を切らせてもらったり、栽培している農家の庭やそのまた知り合いの家で調達。

2か月先の展覧会に着色した花材を注文すると「先生、この間見に行ったらまだ枝が伸びきってないので今は切れません。いい塩梅になったら切ってきますから。それから枯らせて着色します」という返事。このお店とは、先代と亡き私の師とのお付き合いが社長と私の代に至っています。
 
昨今はネットで花を注文することも多くなりました。しかし花材が到着してみると思った色や、花や葉の付きぐあいではなかったり品質が今一つ価格に釣り合わないということもあります。その点この店の2代目は週3回、早朝から花市場に出向いて数十年の経験から自分の目で確認の上落札するので私は全幅の信頼を寄せています。

この店から届いた小菊は、陽だまりを集めたような優しいピンクで季節の輝きを放っていました。成長の軌跡を示す微妙な曲線の茎を確かめつつ、枯れた大小の葉をとっていくと埃が指につきました。潜んでいた小さな虫に刺されたのか、手がかゆくなり指の一部が腫れました。

菊はデモンストレーションでいけて、自宅に持って帰りました。10日以上もたった今も次々と小さな花を咲かせています。たくましい冬の菊です。

富士山の冠雪が報じられ、いよいよ本格的な冬の到来です。(光加)

今月の季語〈十一月〉 十一月

caffe kigosai 投稿日:2021年10月17日 作成者: masako2021年10月18日

封をされたまま放置されたような二〇二一年でしたが、はや〈冬〉となりました。

中年や独語おどろく冬の坂               西東三鬼〈三冬〉

冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ               川崎展宏

今年の〈立冬〉は十一月七日。ちなみにその夜は三日月です。このところ月moonの季語を追ってきましたが、今月から月は〈冬の月〉となります。

立冬のことに草木のかがやける                   沢木欣一〈初冬〉

生きるの大好き冬のはじめが春に似て       池田澄子

耳鳴りは宇宙の音か月冴ゆる                      林 翔〈三冬〉

とはいえ〈十一月〉はまだまだ暖か。「冬のはじめが春に似て」とはそのものずばりです。

あたゝかき十一月もすみにけり                中村草田男〈初冬〉

草田男も十一月はあたたかいと言っています。十二月に入るにあたり、さあいよいよ冬本番と覚悟を決めたのでしょうか。年の瀬を意識せざるを得ない頃合でもあり、その年の過ぎた日々への未練を感じるのは私だけでしょうか。

邂逅の心集へば冬ぬくし                          稲畑汀子〈三冬〉

冬ぬくきことも不安となる世かな              馬場駿吉

新型コロナ感染者数が激減している現在只今の私たちの心情に合致しそうな句を見つけました。 もちろんそういう句ではないのですが。

〈冬ぬくし〉は寒いはずの冬の暖かさを本来は喜ぶ季語です。昨今の温暖化により、受け止め方が変則的になってきていますが、本意を念頭に読めば、季語の効き目がより明らかになるはずです。

 

さて、冬のあたたかさをこの上なく愛でる季語があります。

 

玉の如き小春日和を授かりし                 松本たかし〈初冬〉

 

〈小春日和〉の〈小春〉とは陰暦十月(ほぼ陽暦十一月)の異称、月monthの名前です。つまり小春日和とは十一月のよき日和、という意味ですから、初冬限定の季語となります。三冬使える〈冬ぬくし〉とはその点がまず異なります。

そして「玉の如き」の句の効果とも言えそうですが、つやつやの玉(ぎょく)のようなめでたさがあります。小春日和から温暖化を連想する人はいないのではないでしょうか。

水底の砂も小春の日なたかな                    梅室

小春日やりんりんと鳴る耳環欲し            黒田杏子

小六月花のももいろ朱にまさり               飯田龍太

水底にも日なたがある、という第一句。明るい砂が見えているのでしょうか。真昼の太陽がとろんと映っているのでしょうか。いずれにしても水に激しい動きはなさそうです。

第二句は、小春日より木枯が好きだったという作者の三十代の句。りんりんは心の響きでもあるでしょう。

十一月には朱より「ももいろ」が適っているという第三句。十一月はももいろのあたたかさなのかもしれません。

〈十一月〉の字音数は六音です。面白いリズムの句が詠めそうでもありますし、音数を持て余しそうでもあります。似た意味合いで音数の異なる季語はこのようにいろいろあります。選ぶ楽しみも堪能してみてください。(正子)

 

カフェきごさい「ネット句会(10月)」互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年10月8日 作成者: mitsue2021年10月11日

連中:桂、光尾、都、雅子、すみえ、弘道、裕子、涼子、眞理子、ひろ女、隆子、樹林、利通、光枝

≪互選≫
裕子選
火の山の灰もて干さん秋の鯖  隆子
秋の蚊遣り池のほとりの句会かな  桂
草引かずあれば野菊の黄色かな  隆子

すみえ選
ラ・フランスまだ眠りゐる籠の中  光枝
火の山の灰もて干さん秋の鯖  隆子
栗剥くや私のための栗ご飯  雅子

雅子選
新蕎麦や一山越えて水汲みに  桂
蘇鉄の実ブラキオサウルス首伸ばす  涼子
啄木鳥の音冴えわたる避暑地かな  弘道

涼子選
産土の満州遠し天の川  樹林
秋の蚊遣り池のほとりの句会かな  桂
村中に新藁の香の溢れけり  裕子

都選
ラ・フランスまだ眠りゐる籠の中  光枝
火の山の灰もて干さん秋の鯖  隆子
栗剥くや私のための栗ご飯  雅子

ひろ女選
村中に新藁の香の溢れけり  裕子
落鮎に水また青し長良川  利通
蜻蛉の静止してゐる空の中  裕子

樹林選
往還を猫ゆつたりと月今宵  桂
月追へば高速道路ふうはりと  涼子
鳥帰る帰れぬ鳥を後にして  弘道

桂選
浅間嶺を転がりてくる秋日かな  ひろ女
蘇鉄の実ブラキオサウルス首伸ばす  涼子
崑崙の風とたはむれ馬肥ゆる  都

弘道選
産土の満洲遠し天の川  樹林
村中に新藁の香の溢れけり  裕子
裏山の古老の山栗いただかん  裕子

光尾選
後ろ姿が母の背となる良夜かな  樹林
産土の満州遠し天の川  樹林
鳥帰る帰れぬ鳥を後にして  弘道

隆子選
ラ・フランスまだ眠りゐる籠の中  光枝
栗剥くや私のための栗ご飯  雅子
産土の満州遠し天の川  樹林

眞理子選
あかあかと朝日の色の熟柿吸ふ  光枝
ラ・フランスまだ眠りゐる籠の中  光枝
往還を猫ゆつたりと月今宵  桂

利通選
火の山の灰もて干さん秋の鯖  隆子
蘇鉄の実ブラキオサウルス首伸ばす  涼子
往還を猫ゆつたりと月今宵  桂

≪飛岡光枝選≫
【特選】
産土の満州遠し天の川  樹林

空の果てまで続く天の川を眺めていると、世界中で様々な人が同じように星空を眺めているということを実感します。「遠し」は距離の遠さ以上に、心のなかの思いの遠さでしょう。

蘇鉄の実ブラキオサウルス首伸ばす  涼子

太古を思わせる蘇鉄の葉や実。その存在感は恐竜の時代に繁茂した巨大シダ類を思わせます。句はその二つの取り合わせですが、「首伸ばす」の動きで句がいきいきとしました。

啄木鳥の音冴えわたる軽井沢  弘道

原句は「啄木鳥の音冴えわたる避暑地かな」。「啄木鳥」は秋、「避暑地」は夏の季語。作者は啄木鳥の句として、秋の避暑地を描こうとしたのだと思いますが、原句のままでは「避暑地」が夏の姿のまま。提示した形に限りませんが工夫が必要です。秋の澄んだ空気のなか、啄木鳥の音が響きます。

【入選】
火の山の灰もて干さん秋の鯖  隆子

干鯖を言うのに中七の表現が少々重たいですが、脂の乗った秋鯖がいよいよ美味しそうです。

栗剥くや私のための栗ご飯  雅子

栗を剥くのは一苦労。栗ご飯を心に励みます。「私のため」が実感であるだけにより愉快。

月見団子うさぎの跳ねる包紙  都

この包紙でしたら、開く前から美味しいとわかります。原句は「月見団子包みし紙に兎跳ね」。散文から俳句への推敲を。

月光のベールをまとふ天使かな  眞理子

教会というより、ヨーロッパなどの橋にある彫刻の天使を思いました。月の光の中を舞い降りてきたようです。

秋の蚊遣り池のほとりの句会かな  桂

上五の字余りで蚊遣りの存在感が増しました。「秋」ならではのしぶとい蚊。

村中に新藁の香の溢れけり  裕子

秋の情景をしっかりと描きました。「村中」「溢れ」に秋の収穫の喜びが十二分に表現されています。

灯ともせば南瓜ランタン叫びだす  涼子

映画「スリーピーホロウ」の一場面のよう。ハロウィンは秋の行事としてますます盛んになってきました。俳句も作られていますが、今後季語として残るかどうかは名句の誕生にかかります。原句は「灯ともせば南瓜のランタン叫びだす」。

裏山の古老の山栗いただかん  裕子

山栗は小さいのでたくさん食べるのには手間がかかりますが、とても甘く、ありがたい山の恵みです。句の山栗は老木、さぞや滋養ある実がなることでしょう。

「ネット句会」10月 投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2021年10月3日 作成者: mitsue2021年10月3日

10月「ネット句会」の投句一覧です。(サイトへのアップが遅くなり失礼しました)
参加者は【投句一覧】から3句を選び、このサイトの横にある「ネット句会」欄(「カフェネット投句」欄ではなく、その下にある「ネット句会」欄へお願いします)に番号と俳句を記入して送信してください。
(「ネット句会」欄にも同じ投句一覧があります。それをコピーして欄に張り付けると楽です)

サイトへのアップが遅れましたので、選句締め切りを10月5日(火)といたします。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします。(光枝)

【投句一覧】
1 「ウソ?」「ホント!」ふくみ笑ひに秋扇
2 あかあかと朝日の色の熟柿吸ふ
3 いにしへの俳句談義や夜半の秋
4 ケータイに残る動画や秋彼岸
5 こいさんの袂色なき風捌く
6 まるまると今宵の月や重々し
7 ラ・フランスまだ眠りゐる籠の中
8 稲架は木のそれも榛の木写真とる
9 鰯雲ぶらんこゆあ~んと漕いでみる
10 鰯雲またねと別れ会へぬまま
11 瓜坊の不開(あかず)の門をいぶかしみ
12 往還を猫ゆつたりと月今宵
13 火の山の灰もて干さん秋の鯖
14 金秋や降りしきる香にまみれたる
15 金木犀地に彼岸花律儀なり
16 栗剥くや私のための栗ご飯
17 月見団子包みし紙に兎跳ね
18 月光のベールをまとふ天使かな
19 月追へば高速道路ふうはりと
20 倦む日あり嬉しき日あり鱗雲
21 後ろ姿が母の背となる良夜かな
22 山葡萄しづかに過る登山靴
23 産土の満州遠し天の川
24 秋の蚊遣り池のほとりの句会かな
25 秋の日や初そばがきと格闘す
26 食ひきれぬほどの秋果やレジにドン
27 新蕎麦や一山越えて水汲みに
28 新米を磨ぐ音聴いて床離れ
29 浅間嶺を転がりてくる秋日かな
30 蘇鉄の実ブラキオサウルス首伸ばす
31 草引かずあれば野菊の黄色かな
32 村中に新藁の香の溢れけり
33 啄木鳥の音冴えわたる避暑地かな
34 腸を抜いてもらゐし秋刀魚かな
35 鳥帰る帰れぬ鳥を後にして
36 灯ともせば南瓜のランタン叫びだす
37 半袖と長袖も出す今朝の秋
38 落鮎に水また青し長良川
39 裏山の古老の山栗いただかん
40 露の玉小宇宙を秘めてをり
41 崑崙の風とたはむれ馬肥ゆる
42 蜻蛉の静止してゐる空の中

カフェきごさい「ネット句会」10月のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2021年9月24日 作成者: mitsue2021年9月24日

☆「ネット句会」専用の投句欄ができました☆

カフェきごさい「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。10月の投句締切りは9月30日(木)です。

・このサイトの右側に出ている「ネット句会」欄より、9月30日までに3句を投句ください。

・10月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、10月4日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。

・後日、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をこのサイトへアップいたします。

・「ネット句会」欄を設けましたので、投句、選句ともそちらへお送りください。

21日の中秋の名月、東京では雲に隠れながらも美しい姿をみせてくれました。落ち着かない日々は続きますが、秋の夜長を心静かに楽しみたいものです。(店長・飛岡光枝)

今月の花(十月)蘇鉄の実

caffe kigosai 投稿日:2021年9月22日 作成者: koka2021年9月22日

花屋さんで珍しいものをみつけました。

扁平な卵型のオレンジ色の実が大小六個。柄からは薄い茶色のビロードの羽根のようなものが、実を守るようにくるりと一枚。どこかで見たはずと、記憶をたどりながら丸缶に無造作に入っているものをながめていると「蘇鉄の実ですよ」と花屋の社長さんから声がかかりました。

その一言で私は、何十年も前に一瞬で引き戻されました。小学校のクラスメイトで、勉強ができ先生のお気に入りと言われていたその子は、おじい様がとても偉い方だと子供たちの間で噂されていました。

ある朝、その子はくしゃっとした紙袋から一つの植物を出して、黒板の前の先生の机の上に置いたのです。「なにこれ?」と女の子たちが集まりだしました。朱赤の実は、長いところが3センチくらいで、産毛のようなものでおおわれていました。

「蘇鉄の実なんだって、南の島の植物の実」。父上かおじいさまが南に出張した時に入手され、珍しいから学校に持っていって友達にみせたら、と言われたのでしょうか。

種にはサイカシンという有毒物質がある一方、食用にでんぷんが取れます。毒を抜いてでんぷんを取るにはコツがあり、何度も水にさらすなど手間と時間がかかるそうです。株は雌雄あり、中央に花が咲くまで10年位待たなければなりません。雌の株に種ができるのは、秋が進んだ10月ころ。

日本の蘇鉄は九州南部 沖縄 奄美諸島などが産地で、恐竜が闊歩していた時代からあったと言われます。葉を曲げてみるとその強さが手に伝わってきます。高さは2メートル~4メートルで、鱗状の幹は葉柄の基が残ったもの。1メートルにもなる葉は少しカーブを描き柄には深緑で光沢のある細くとがったたくさんの葉がついています。四方八方にのびのびと葉を伸ばした姿を、海岸などで見かけます。場所を取るからでしょうか、お寺や大きなお屋敷によく植えられています。

先日、オンライン講座でこの蘇鉄の実を使いました。竹の籠についてのレクチャーと、籠を使って蘇鉄と花をいけました。世界各国から200人以上の方が同時に見てくださり、蘇鉄の実は「fruit of Sago Palm」と英語で説明しましたが、「あれは何ですか?」という質問は講座の後からも寄せられました。

私の思い出の中の蘇鉄の実が 何十年かけて世界にデヴューしたような気がしました。(光加)

カフェきごさい「ネット投句」(9月)

caffe kigosai 投稿日:2021年9月21日 作成者: mitsue2021年9月21日

【特選】
骨だけの秋刀魚のいよよ長きかな  涼子

秋刀魚は苦い内臓も味わう魚です。骨だけになるまできれいに食べたことがわかる秋刀魚ならではの句。原句は「骨だけになりても秋刀魚長きかな」。原句では状況の説明にとどまってしまいます。

【入選】
新米の白に焦がれし戦後の日  弘道

新米の美味しさは格別。「焦がれし」が切実です。原句は「新米の白きを焦がれし戦後の日」。

秋冷や柱煤けし山の小屋  和子

地上より一足先に寒さがやってくる山小屋。歴史あるその佇まいをしっかり描きました。

待宵や湖面に白き舟一艘  和子

明日の名月を待つ静かな心持。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」八月

caffe kigosai 投稿日:2021年9月21日 作成者: mitsue2021年9月21日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。第一句座の兼題はサイトより、八月の季語「盆の月」、花「実桃」、浪速の味「祭鱧」です。第二句座は席題「新酒」「夜業(夜学)」です。

(第一句座)
【入選】
幼な子も一つ給はる祭鱧  和子

縁起物の祭鱧をいただき一人前に。「幼な子も一つ給はり祭鱧」。

故里は遠き幻盆の月  和子

盆の頃ならではの思い。

砂の城くづれて秋の波頭  涼子

秋の波がさらっていく夏の幻想。

大花火消えて母も消えにけり  弘道

大花火の「大」が切ない。「大花火消えてや母も消えにけり」。

盆の月人それぞれの影を持ち 涼子

より具体的に表現したい。原句は「盆の月人それぞれの影を持つ」。

掌に重き白桃の香の中にをり  和子

「掌に重き」で実のある一句になった。原句は「掌に重き白桃の香に身を浸し」。

あをあをと葉を付けて桃籠の中  光枝

(第二句座)
【入選】
名物の新酒汲みをり旅の果  涼子

「旅の果」が唐突。「名物の新酒汲みをり山の小屋」など。

この香り友に送らむ今年酒  和子

新酒の香りに焦点をあてた。

夜業の灯消して見上げる月まろし  涼子

席題の「夜業」で作った句だが、大きな季語「月」の句としたい。「残業の灯消して今日の月」など。

磐梯山新酒一本背の荷物  光枝

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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