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第九回 カフェきごさいズーム句会

caffe kigosai 投稿日:2023年12月30日 作成者: mitsue2023年12月30日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
添削例も参考にしてください。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第九回 2023年12月9日(土)
飛岡光枝選(  )は添削例

第一句座              
【特選】
浅草や色とりどりに着ぶくれて        鈴木勇美
鵯の食ひ散らかすや木守柿          早川光尾
雪催たんと漬け込む山東菜          前﨑都
出番待つ羊並ぶやクリスマス         高橋真樹子
(出番待つ子羊並ぶクリスマス)

【入選】
初氷秩父連山晴れ晴れと           藤倉桂
空つ風鯛焼き二つポケットに         藤倉桂
イマジンの遠くなりけりレノンの忌      早川光尾
夕されば欲しき寄る辺や寒昴         伊藤涼子
飄々と冬の空へと旅立てり          前﨑都
眠る山起こさぬやうに山の径         斉藤真知子
舌仕舞ひ忘れて猫の日向ぼこ         赤塚さゆり
咲き満ちて大シャンデリアしやこさぼてん   伊藤涼子
柚子の香のふはり風呂吹透きとほる      伊藤涼子
(柚子の香の風呂吹大根透きとほる)
鯛焼の惜しみなく餡はみだしぬ        高橋真樹子
アリゾナは海の墓標に開戦日         伊藤涼子
(アリゾナは海の墓標よ開戦日)
滔滔と黒き大河や去年今年          葛西美津子

第二句座(席題、冬芽、鼻水)
【特選】
知らずして水洟垂らす写経かな       葛西美津子
水洟を拭く間も惜しく遊びけり       上田雅子
 
【入選】
ほの赤き冬芽を包む小さき手        藤井和子
鼻水の乾き切つたる笑顔かな        藤倉桂
吹き荒ぶ風も落とせぬ冬芽あり       藤井和子
街路樹は冬芽ゆたかに北辛夷        高橋真樹子
くちやくちやの笑顔の羅漢みずつぱな    藤倉桂
鼻水も空飛んでゆく大回転         藤井和子
水洟をすすりて詠まん戦の句        矢野京子
しろがねや天を目指して冬木の芽       伊藤涼子
樹齢百年牡丹の冬芽赤々と          藤倉桂
(百年の牡丹の冬芽赤々と)

今月の花(一月)若松

caffe kigosai 投稿日:2023年12月29日 作成者: mitsue2023年12月29日

福島光加作

年末のお正月花のお稽古には、12月の2週目に市場で開かれる松の市で競り落とされた松を使います。今年は何をいけるか、生徒さんたちはそれぞれ若松、蛇の目松、根引きの松、大王松、五葉松などを予約してもらいます。

花店の社長から、今年はまあまあの松と聞いてほっとしました。その年の気候により、緑と黄色が美しい蛇の目松は「ちょっと色が今一つ出てないねえ」といわれたり、若松は「葉の伸びが・・・」とか報告が入ると、それらを予約した生徒さんにはほかの松をすすめます。

稽古の日、外国出身の方もいました。学生時代から日本に在住、夫人は日本の方、いけばなはもう18年以上たしなみ、今の先生の許可を得て数年前から私のクラスにも時々やってくる方です。昨年は確か大王松をいけていました。

今年選んだのは若松。90センチ近くありまっすぐに伸びたいい形で長めの青々とした葉もたっぷりと房を作り、近年にない美しい立派な若松と思いました。

ふと彼を見ると若松を一心に曲げようとしているのです。いけばなでは、自分がこうあるであろうという自然を表現するには、無技巧の技巧と言われるように元からあるように枝を曲げる技術を習いますが、一方で花材が美しければそれをそのまま生かしていける決断も必要です。

彼は何度もお正月にこの松をいけただろうとは思いましたが、なぜお正月に松をいけるのか、日本の照葉樹林文化のことも説明しました。葉が散った樹々の中で常緑樹の松は、特別な力を持っていると考えられ、能舞台の背景に松が描かれるのは,神を迎えて演じられるという意味があること、門松も年の神様を迎えるということで立てられるということ。

むろん展覧会や表現を追求する研究会などは松をどのように使っても可能です。部屋に松を使ったたくさんのいけばながあれば、その一つとして若松を使って曲線を作るのも面白いと思います。またお店に飾るなら松を水につけず、若松を真横にいけても受け入れられるでしょう。展覧会で大王松の葉をすっかり取り造形的に形を作る作家もおいでです。

襟をただしてまっさらな年を迎える。私なら今年のこんなに美しい若松は、お気に入りの花器にすっくと立てて使い神様を迎えたいと思った時、気が付きました。生まれてこの方、年末から年明けまでこの時期に日本を出たことは一回しかありませんでした。日本に生まれ、どっぷりと日本文化に浸っていた自分に気が付いたのです。

松は外国にもたくさんあります。シンガポールに夫君が駐在の門下は、生徒さんと輸入の松をいけました、中国か台湾からと思われますと写真を送ってきました。ドイツからはドイツの松を使いましたという写真には、赤いたわわな実をつけた庭の南天も一緒にいけられていました。日本みたいな松はこちらにはないわ、近いのは盆栽を作っている所ならあるけど短いのでいけばなには向かない、というオーストラリアの門下。ローマの笠松も思い出し、世界の松に思いを馳せながら、皆様の新しい年のご多幸をお祈りいたします。(光加)

浪速の味 江戸の味 1月【酢茎】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年12月24日 作成者: youko2023年12月24日

漬物が美味しい季節です。

京都の漬物と言えば聖護院蕪の根を薄くスライスし、塩漬けにした後、昆布、赤唐辛子、味醂、麹等で漬けた千枚漬、大原特産の茄子や胡瓜、茗荷などを刻んで赤紫蘇の葉を入れ塩漬けにした柴漬などが有名ですが、酢茎も人気の漬物です。

蕪菜の一種である酢茎菜(すぐきな)を葉付きのまま塩漬けにし、酸味が出てくると食べごろです。京都上賀茂の特産で、冬に漬け込みます。

真言宗の開祖である弘法大師の命日が旧暦三月二十一日なので、真言宗の寺院では毎月二十一日(新暦)が縁日となります。京都の東寺でも毎月の縁日は、大勢の参詣者で賑わいます。特に十二月二十一日は、一年の締めくくりとして、終弘法(しまいこうぼう)、終大師(しまいだいし)、年明けの一月二十一日は、初弘法、初大師と呼び、境内に立ち並んだいろいろな店は、押すな押すなの賑わいとなります。

骨董品、古着(着物・帯など)、小物、手作りアクセサリーなどの店は見て回るだけでも楽しいです。小腹が減るとたこ焼、お好み焼などを食べたりもできますが、一番のお目当ては、京都らしい佃煮、ちりめん山椒、漬物の店での買い物です。冬の漬物の代表である酢茎は特に人気で、複数が出店しています。大きな樽に酢茎が漬けてあります。酢茎売りが長い茎を根の部分にくるくる巻いて売ってくれます。

発酵したほどよい酸味が魅力で、食事の最後を酢茎でしめると爽やかな後味で大満足です。

寒い日が続きますが、酢茎を食べて元気にすごしたいと思います。令和六年がよい年になりますように。

酢茎売る東寺の塔を仰ぎつつ   洋子

今月の季語〈一月〉 初詣

caffe kigosai 投稿日:2023年12月20日 作成者: masako2023年12月24日

先月に続き、「行事」を見ていきましょう。今月は「新年」の歳時記です。 宮中行事などの自ら実行するわけにいかないものは、ひとまず外すとして、いくつの季語となじみがありますか。

どの土地に住んでいても、誰もが体験する「行事」は、

初詣 七福神詣 「初+干支」のお詣り(例・初寅) 「初+神様仏様」のお詣り(例・初天神)

といったお詣り系でしょうか。〈初護摩〉〈初弥撒〉という参加型の行事も挙げられそうです。

日本がここに集る初詣                      山口誓子

橋越ゆるたびに明けきし初詣               福田甲子雄

〈初詣〉には決まった社寺へ詣でる派と、その年の恵方にあたる社寺に詣でる派がありそうです。後者には〈恵方詣(ゑはうまゐり)〉という季語もあります。

恵方とはこの道をたゞ進むこと              高浜虚子

墓のまへ突つきつてゆく恵方かな           黛 執

前句はめでたさのど真ん中を突いていますが、後句は、縁起の良いほうへ進むはずが……という、いささか屈折した句です。新年の句はひたすらめでたく詠めといわれますが、笑いを呼ぶのもめでたさの一つの型といえましょうか。

また京都の方には〈初詣〉より、〈白朮詣(をけらまゐり)〉のほうがポピュラーかもしれません。大晦日の夜から元日の明け方に祇園の八坂神社に詣でることです。「をけら火」を吉兆縄に移し、消えないようにぐるぐる回しながら持ち帰り、元朝の支度に使うのです。

白朮火の一つを二人してかばふ            西村和子

〈七福神詣〉は七日までに七福神を祀る寺社を巡ることです。

七福の一福神は鶴を飼ふ                  山口青邨

恵比寿さまに詣る〈十日戎〉(五日や二十日であることも)、新年最初の巳の日に弁天さまに詣る〈初弁天〉〈初巳(はつみ)〉、同じく毘沙門天に詣る〈初寅(はつとら)〉など、干支や神の名が入り交り、なかなかに賑やかといえましょう。

大阪の遊びはじめや宵戎                     長谷川櫂

舟着きも靄の佃の初巳かな                 長谷川春草

また、正月八日は〈初薬師〉、十三日〈初虚空蔵〉、十六日〈初閻魔〉、十八日〈初観音〉、二十一日〈初大師〉、二十五日〈初天神〉、二十八日〈初不動〉と初縁日の日程が決まっています。市が立ち衆生が集う、昔は殊に娯楽を兼ねてもいたことでしょう。

初観音逆白波を踏みわたり                黒田杏子

めでたさも迷子を告ぐる初大師         森 澄雄

初不動江戸のむかしの力石                戸板康二

「行事」の項には、忌日の季語も並んでいます。それぞれ信奉する相手によって修する忌日が変わってきますが、あまねく人気なのはこの方ではないでしょうか。

鎌倉右大臣実朝の忌なりけり              尾崎迷堂

引く波に貝殻鳴りて実朝忌                 秋元不死男

〈若菜摘〉や〈左義長〉など家庭の匂いの強い季語は「生活」の項に入っています。併せて確認しておきましょう。(正子)

今月の花(十二月)蕪

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: mitsue2023年11月28日

明治生まれの父は蕪が大好きで、蕪の茎や葉、油揚げなどと一緒に炊いたものを(ああ蕪の季節になったな!)と、湯気がまだ少したっている小鉢からおいしそうに食べていたのを思い出します。蕪はどう料理してもおいしいね、というのも父の口癖でした。

日本書紀にも登場し、春の七草のスズナというのは蕪のこと。古くから知られている日本の野菜のひとつです。種類も多く聖護院蕪から作られる千枚漬も楽しみです。

蕪はアフガニスタン原産、また地中海沿岸原産と種類があり、ヨーロッパでは初めは家畜の飼料として使われていたようです。

いけばなの仕事で今まで数えきれないほど行っているフィンランドでこの6月、はじめて蕪料理を頂きました。寒い北欧というイメージがあり、根菜類といえばまずじゃがいもを想像していました。あとで聞くとじゃがいもは1720年代にドイツ方面からフィンランドに入ってきて、スエーデンとプロイセンの戦い【ポメラニアン戦争】(1752-62)の後、より食べられるようになったと言われています。

じゃがいもより前から食べられていた蕪は、日本の蕪と味も似ていて大きさも普通スーパーに並ぶ蕪と変わりません。ただ6月に蕪があったのは北の国だからでしょうか?

フィンランドのヘルシンキでは、日本のお寿司の看板を何軒も見かけました。もともと海と接しているこの国の人たちは、魚を上手に食べます。先日門下のフィンランド人とそのグループで神楽坂の居酒屋に集まりましたが、秋刀魚がおいしいと皆さんお箸できれいに食べていて、合間には蕪の漬物も召し上がっていました。

そしてこの国では今、野菜中心の料理が注目を浴びています。ヘルシー志向はここでもブームになっていて、有名なシェフの野菜レストランもあります。

ソースにカシューナッツや黒い豆、野菜の芽を飾りにちりばめたフィンランドの蕪料理は、日本でもはやるのではと思わせた一品でした。あの味を探しにまたフィンランドに行ってみたいと思います。

蕪といえば、ロシアに「大きな蕪」などの童話もあり、料理や歴史など掘り下げていけば面白いことがたくさん出てきそうで興味は尽きそうもありません。(光加)

浪速の味 江戸の味 12月【豚まん】(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2023年11月27日 作成者: youko2023年11月27日

今年は11月上旬までは夏日もあり「夏日最長記録」の年でしたが、ここにきて一気に寒くなってきました。あわててコートを出しました。寒くなると、温かいものを食べたくなります。湯気が立っている「豚まん」もその一つです。大きめの中華まんじゅうです。豚ミンチと玉葱のみじん切りを砂糖、醤油、香辛料等で味付けしたものを中華まんじゅうの生地でくるみ、まるめて蒸し上げたものです。

大阪には、この「豚まん」で有名な店があります。戦後、難波に誕生した店がいまでは、あちこちに出店しています。関西圏のみの店舗展開なので、空港や主要な駅の改札近くの店には、大阪みやげに豚まんを買い求める長い列ができています。私も時々買っています。蒸したての豚まんは、ほかほかでおいしいです。好みで辛子をつけて食べます。

コンビニの出店が相次いだ頃、レジのところに中華まんじゅうの保温ケースが置かれているのを見て、不思議に思ったことがありました。「あんまん」「肉まん」と表示されていました。「あんまん」は餡子入りとわかるのですが、「肉まん」は、牛肉のミンチが入っているのかなと思っていたら、実際は、豚肉だったのでなぜ「豚まん」と言わないのかなと思ったものです。

関西では肉とだけ言えば牛肉なのですが、関東では鋤焼や肉じゃが、カレーなどにも、豚肉がよく使用されていることを知るにつけ、肉=牛肉とは限らないことがわかりました。豚肉は豚と呼んでお好み焼きはじめ、さまざまな料理に使っています。

全国展開するコンビニによって、「関東炊き」を「おでん」というようになったり、全国統一された呼び名がひろがりました。でも、その土地に根付いている呼び名は大事にしたいと思っています。

豚まんや湯気もろともにかぶりつき   洋子

今月の季語〈十二月〉 クリスマス

caffe kigosai 投稿日:2023年11月17日 作成者: masako2023年11月19日

冬の歳時記の〈行事〉のところを開いてみましょう。いくつの季語となじみがありますか? 多少でもイメージの湧く季語を仲冬に限って抽いてみますと、私の場合は、

五節の舞、開戦日、秩父夜祭、義士の日、神楽、王子の狐火、報恩講、臘八会、大根焚、クリスマス

これに加えて、終大師(しまひだいし)や大祓(おほはらへ)などの歳末・年越関係の季語、青邨忌のような忌日の季語…といったところでした。皆さまはいかがですか?

〈開戦日〉は自身の体に覚えはありませんが、後世へ伝えるために詠み継ぎ、読み継ぐ季語と思っています。

開戦日が来るぞ渋谷の若い人                大牧 広

十二月八日よ母が寒がりぬ                    榎本好宏

今のご時世で意識すべきは、終戦日より開戦日かもしれません。大牧広の句は、開戦日=十二月八日にとどまらず、そのまま警鐘としてとらえることができます。

〈報恩講〉(親鸞の忌日を修する法会)は縁あって参じたことがあります。コロナ禍のころでしたから、規模も小さく、人出も少なく、「本物」には遠かったかもしれません。ただ、当時私は、足の骨にヒビが入る生涯初の事態に見舞われ「けんけん」で参ることになったものですから、参じる人の「心」は感じ得た気がしています。

わが代の限りは門徒親鸞忌                   大橋桜玻子

俳諧の他力を信じ親鸞忌                       深見けん二

実感が大切なのはどの季語にもいえることですが、行事の季語は殊に、個々人の体験の有無が大きくものをいいそうです。

〈クリスマス〉は中でも傍題が多く、例句も膨大です。宗教の行事に留まらず、市井の暮らしへの定着度がよくわかります。

一人来てストーブ焚くやクリスマス            前田普羅

へろへろとワンタンすするクリスマス            秋元不死男

ここに酸素湧く泉ありクリスマス              石田波郷

どの句も「一人」のクリスマスです。一句目は後から誰か来るかもしれませんが、今は一人。二句目は、ワンタンには少年時代の思い出がまつわると自解していますが、クリスマスらしくないことを自覚しています。三句目は酸素吸入をしないと生きられないのですから、確かに命の「泉」ですが、切なさも限りなしです。これらはむしろ特殊で、

クリスマスツリー地階へ運び入れ               中村汀女

ヴェール着てすぐに天使や聖夜劇               津田清子

降誕祭終りし綺羅を掃きあつめ                   福永耕二

子へ贈る本が簞笥に聖夜待つ                       大島民郎

見つめよと置くともしびやクリスマス          千葉皓史

あれを買ひこれを買ひクリスマスケーキ買ふ  三村純也

パーティの準備、後片付け、贈り物の用意、…と、こちらがよく知っている、クリスマスらしい景でしょう。

トラックを停めて聖樹を売り始む              坂本宮尾

また駅の時計見上ぐる聖菓売                     菊田一平

聖樹売、聖菓売本人の句ではありませんが、立場を変えるとこんな詠み方も。

さて今年はどんなクリスマスの句を詠みましょうか。(正子)

第八回 カフェきごさいズーム句会報告

caffe kigosai 投稿日:2023年11月12日 作成者: mitsue2023年11月12日

毎月1回ズームで行う「カフェきごさいズーム句会」、今月の句会報告です。
今月から添削例も併記しました。参考にしてください。
この句会はどなたでも参加可能です。ご希望の方は右のご案内から、どうぞ。

第八回 2023年11月11日(土)
飛岡光枝選(  )は添削例 

第一句座 
【特選】
堂々と老い山茶花の白が好き        前﨑都
(堂々と老い山茶花の白愛す)
これよりは佳き日重ねむ返り花       藤倉桂

【入選】
七五三晴れ着のままに眠りけり       斉藤真知子
小春日や茶の湯の会へ人の列        花井淳
鶏頭を剪るにすこしの勇気かな       斉藤真知子
(鶏頭を剪るにすこしの勇気欲し)
秋の空飛行機雲の迷ひなし         藤井和子
(秋の空飛行機雲の迷ひなく)
近づいてやつぱり咲いてゐる柊       葛西美津子
(近づいてたしかに咲いてゐる柊)
立冬や煮豆ことこと終日          藤倉桂
診察を待つ窓の外冬紅葉          早川光尾
(冬紅葉診察を待つ窓の外)
秋晴れを掴みて吾子の初立つち       藤井和子
冬立つ日空澄みわたり術後の目       前﨑都
(術後の目立冬の空澄みわたる)
太秋柿由来知らねど良き名なり       前﨑都
雪ばんば今日は一斉下校といふ       高橋真樹子
綿虫のむらさきいろのあたたかし      高橋真樹子
ぴゆうと風吹きて三つ星濃くなりぬ     伊藤涼子
熊よけのラジオ流れる露天風呂       村井好子
舟寄せて浮島の松手入れかな        矢野京子
(ぎいと舟寄せて浮島松手入れ)
足場組むハンマーの音今朝の冬       村井好子
シャコサボテンごま粒ほどや花の精     伊藤涼子
(シャコサボテンごま粒ほどの莟つけ)
稲架掛けや父と息子の息合ひて       早川光尾
(稲架掛けや父と息子の息合はせ)
再びのサイレン聞こゆ今朝の冬       赤塚さゆり

第二句座(席題、白鳥、セーター)
【特選】
出来上がらぬ夫のセーター三年目      村井好子
(出来上がらぬ夫のセーター三十年)

【入選】
湖に眠りし白鳥の夢いくつ         斉藤真知子
(湖に眠る白鳥夢いくつ)
新しきセーターに猫甘えくる        斉藤真知子
セーターのトンネル抜ける赤ん坊      高橋真樹子
夕闇につがいの白鳥いよ白し        藤井和子
(夕闇につがひの白鳥いよよ白し)
白鳥も加賀の湯の里好むとや        花井淳
温きかなまだ編みかけのセーターよ     藤倉桂
セーターの裾を掴みて離れぬ子       矢野京子
思ひ出を消すごとセーター解いてゆく    前﨑都

浪速の味 江戸の味(十一月)千歳飴(金太郎飴)【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

十一月に入ると、神社やお寺には七五三詣での着飾った親子が見られるようになります。子どもの成長を祝うこの行事は、江戸期に関東で始まったものが京都、大阪でも行われるようになり、全国へ広まったということです。

七五三に欠かせない「千歳飴」は、元禄時代に浅草の飴売りが売り出した「千年飴」から始まったとされています。細長い形は長生きに通じ、紅白の飴が松竹梅や鶴亀など縁起の良い絵が描かれた袋に入っています。子どもが持てる袋に入れたのは大正解で、誰が発案したのか知りたいものです。子どもが千歳飴の袋を引き摺るように持つ可愛らしい様子は、俳句でもよく詠まれます。

水飴と砂糖を材料とする千歳飴は、大人になってからすっきりした後味を滋味と思うようになりましたが、子どもの頃はあまり惹かれることもなく、私のご贔屓は不二家のミルキー千歳飴でした。一粒でも美味しいミルキーが長い棒になっているなんて、まるで夢のようだと思ったのをよく覚えています。

写真は、東京都台東区根岸の「金太郎飴本店」の千歳飴。同店の初代が明治の初めころ露天商として飴を売り出し、金太郎飴は二代目が”組飴”の技術から発案したとのことです。

組飴は大阪では「おかめ」や「福助」の絵柄が作られていましたが、関東で人気の「金太郎」を絵柄として大ヒット、飴の名称としても定着しました。子どもの元気な成長を願う七五三の千歳飴には、熊をも投げ飛ばす金太郎はぴったりではないでしょうか。

千歳飴にぎつて眠る父の背  光枝

今月の花(十一月)落花生

caffe kigosai 投稿日:2023年10月30日 作成者: mitsue2023年10月30日

子供の頃、落花生は木の枝から下がっていると思っていました。

咲いた花の花びらはすぐに落ちますが、子房が伸び土の中にもぐっていき落花生になります。落花生はアンデス原産ということです。

秋の花展のテーマが発表されたのは夏に入ったころでした。いけるのはいけばなに必要な三つの要素である 線、色、塊 の中から一つを選んでの制作も可ということでした。この中から「塊」を選択。しかし塊をテーマとするいけばなは、内に秘める力強さを表すために多めに花材を用意して、塊を作る、と注意が。

落花生の生命力の強さに心惹かれ、旬の「おおまさり」という落花生ををいけてみようと長野の農家の知り合いの畑から送っていただく手筈を整えました。子供のころから不思議だった落花生をこの機会に手元でしげしげと見たかったので葉と根が付いたものを注文しました。

数日後、ずっしり重いすこし湿った段ボール箱を開けると新聞紙の中に青々した葉にうずもれた茎に下がる大小の落花生!!

その日から私の落花生との格闘がはじまりました。根から垂れ下がる細い茎の部分を残しながら秋になっても青々とした葉を取るのは時間がかかり同じマンション在住の門下にも‘出動‘を依頼したほどでした。落花生の栽培には畝を作るところから始まり、収穫までにはたいそう手間がかかり、掘り出すのにも力がいることでしょう。

食べ物を粗末にしてはいけない、という思いと花展が終わってから門下と乾杯の時につまみにどうだろうか、などと雑念がわき接着剤を使っても思うように塊のいい形にできません。

殻のひだの部分には土が残っていて 使わない歯ブラシでとってもきれいには取れません。

あと一週間に迫った花展に、うごめいているような落花生の殻の集まりだけではなんだか気味が悪いので、赤と緑の秋色あじさいを追加として花店に注文しました。美女と野獣に見えたらいいなあ、と独断で。

いけこみの二日前、作った塊には今一つ迫力が必要と感じました。農家にはもうなく、代わりに通りがかったカフェにおおまさりが売られていたのをおぼえていたので調達。ベランダで天日干しにしましたがいけこみ当日触ってみるとまだ手には湿り気を感じたのです。会場のデパートのいけこみは遅い午後。キッチンのフライパン二つを使い、乾煎りをして水分を少しでも飛ばそうとしました。

手のかかった落花生は展覧会で皆さんの興味を引いたようです。今年の晩秋は落花生に振り回されて過ぎていきました。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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