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浪速の味 江戸の味(三月) 蛤汁【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2023年2月22日 作成者: mitsue2023年2月22日

東京東部の下町で育った私の子供時代の春の楽しみの一つは、隣接する千葉県での潮干狩りでした。見つけるのはほとんど浅利でしたが、時々蛤が採れると「でかした」と親が褒めてくれるのが誇らしかったものです。掘り出した蛤の、大振りでつるつるとした殻の手触りをよく覚えています。

蛤の名は「浜の栗」から、また「くり」が石を意味したなど諸説あります。物事がくいちがうことを言う「ぐりはま」「ぐれはま」は向きを揃えないと合わない蛤の殻からきており、「ぐれる」の語源にもなっています。

江戸でも「汐(潮)干狩り」は庶民の身近な娯楽でした。早朝から船で沖合に出て、正午ころ潮が引きはじめると船から下りて貝を掘りはじめたとか。「汐干小袖」と呼ばれた袖の短い着物姿の女性が楽しそうに貝を掘る様子を男性が楽しみにしていたのも想像に難くありません。歌舞伎『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)のお富と与三郎が出合うのも木更津の汐干狩りでのことでした。

平安時代から始まった蛤の殻を使った遊戯「貝合わせ」は、同じ貝の殻でないと合わないことから夫婦和合の象徴とされ、嫁入り道具のひとつにもなりました。雛飾りにも小さな「貝桶」がみられます。雛祭りの料理として「蛤汁」が出されるのもよく知られています。

江戸の汐干狩りの中心地は芝浦、高輪、品川、佃、深川洲崎などでした。その海はとうに埋め立てられましたが、近年東京湾もだいぶ綺麗になり千葉、神奈川など東京近郊では浅利を放流して潮干狩りを楽しんでもらう浜もあります。

夕陽が傾きかけ、脛にあたる潮が冷たく感じられるまで夢中で貝を掘る潮干狩りは、獲物を得る喜びと共に、自然を肌で感じられる貴重な体験です。海に触れる機会を多くの人が持つことで海に関心を持ち、海洋ごみなどの問題も少しずつでも改善することを願っています。

蛤汁大口開けてめでたけれ 光枝

今月の季語(3月)三月(2)

caffe kigosai 投稿日:2023年2月17日 作成者: masako2023年2月18日

〈三月〉はカレンダー通りに三月のこと。暖かな日も増え、春の気配がぐんと濃くなってきます。南北に長い日本列島ですから一律ではありませんが、頬に当たる風がゆるみ、雲は白く柔らかく、木々の芽吹きが始まって視界がほんわりと緑を帯びてきます。

いきいきと三月生る雲の奥                                    飯田龍太

三月や生毛生えたる甲斐の山                       森 澄雄

三月の甘納豆のうふふふふ                                    坪内稔典

 

龍太はこの句の自解に、春の甲斐を訪うならば三月がよいと記しています。その三月に甲斐を訪れたのでしょう。澄雄は笑い始めた山を「生毛」で表現しています。むずむずとくすぐったい感じが伝わってきます。稔典の句は口誦性が高く夙に有名ですが、まだ大笑いには到らないけれど含み笑いが止まらない、といった春の進み具合を読み取ってみたいと思います。

月のはじめには東大寺の〈お水取〉があります。耳にするだけでぶるっと厳しい寒さを連想します。が、月後半には「暑さ寒さも彼岸まで」を実感する気候となります。

水取りや氷の僧の沓の音                                        芭蕉〈行事〉

巨き闇降りて修二会にわれ沈む                            藤田湘子〈行事〉

毎年よ彼岸の入に寒いのは                                    正岡子規〈時候〉

春分や手を吸ひにくる鯉の口                                宇佐美魚目〈時候〉

彼岸会の若草色の紙包                                            岡本 眸〈生活〉

 

〈如月〉は旧暦二月の異称ですから、ほぼ新暦三月にあたりますが、衣更着(きさらぎ)の意を汲むと新暦の二月として使いたくもなる季語です。新暦と旧暦のずれについては一旦おくとして、新暦三月のはじめは〈如月〉の語感のままに鋭く、末には〈弥生〉の語感に近くなる、そういう感じ方もできそうです。

 

如月の水にひとひら金閣寺                                    川崎展宏

家建ちて星新しき弥生かな                                    原 石鼎

 

三月にはまた、昔は無かった制度が季語となったものも数多くあります。

 

一人づつきて千人の受験生                                    今瀬剛一

合格を決めて主審の笛を吹く                                中田尚子

一を知つて二を知らぬなり卒業す                        高浜虚子

卒業生言なくをりて息ゆたか                                能村登四郎

卒業の別れを惜しむ母と母                                    小野あらた

 

百人百様の卒業がありそうです。

悲しい記憶がそのまま季語となったものもあります。

 

青空でなくてはならぬ空襲忌                                 大牧 広

三・一一神はゐないかとても小さい                      照井 翠

三月十日も十一日も鳥帰る                                     金子兜太

 

空襲忌は〈東京大空襲忌〉、三・一一は〈東日本大震災忌〉です。〈三月十日〉〈三月十一日〉のみで季語として使えますが、兜太はあえて別の季語を立てています。三月十日は毎年巡り来る三月十日である以上に昭和二十年の三月十日であり、同様に平成二十三年の三月十一日なのでしょう。時間軸上には六十六年を隔てる二日がカレンダー上に隣り合って並ぶ、三月はそんな月となりました。さて、あなたの三月はどんな月ですか?(正子)

今月の花(三月) ミモザ

caffe kigosai 投稿日:2023年2月13日 作成者: mitsue2023年2月13日

ロンドンより(Kさんの作品)

ドイツより(Uさんの作品)

1月末のお稽古で花屋さんからの花材の中に、一枝のミモザアカシアがありました。40センチ程の枝の丸い小さな黄色い花が集まった房はそこだけ太陽の光を浴びたような鮮やかさで、やっと春が来ると心が解き放たれたような気がしました。

コロナのため海外に行けなくなった私は現在、世界の国々の門下たちと画面を共有しながら作品を講評するクラスをしています。メンバーは、長年日本のいけばなを勉強し先生の資格を持っている人ばかりです。

コロナ前はたびたび来日してクラスに参加したり、こちらから外国へ出向いてワークショップをしていたメンバーは、日本に一時帰国でお稽古に復帰したという方もいます。まさかこんなに長くこの方法でのレッスンが続くとは思いませんでした。

メンバーの作品に「少し枝を前にもってきて」とか、「花を思い切って短くしましょう」などのアドバイスをしながらレッスンを進めます。英語で話しながら、しかも画面を通した講評がベストではないことは承知しています。でもマイナスな面だけではありません。

1月末、このオンラインのクラスのテーマの一つは(花を主に使っていける)でした。開始数時間前に送られてきた写真には、2人の生徒が色鮮やかなミモザをいけていました。ロンドン在住の生徒と、ドイツのアーヘンの生徒の作品です。

ロンドンのKさんはミモザの葉をすっかり取って、黄色の塊を作っていました。画面上に集まったメンバーが早速、「ずっと寒かったと聞いているけれど、ロンドンでは今ミモザは外に咲いているの?」との質問に「花屋のスタンドにありました」という答え。ドイツのアーヘンに住むUさんは「私も花屋さんで見て、ついほしくなって」とのことでした。

「ミモザはオーストラリアの国花なのよ」と入ってきたのは、南半球のオーストラリアはシドニーのSさん。「でも、今はないけど」と、画面の向こうで彼女は「だって外は暑くて暑くて」と白いタンクトップの肩をすくめました。オーストラリアは夏なのです。

Sさんはたくさんの門下にいけばなを教えていることもあり、いつも斬新な作品を作ります。「ミモザをいけたあなたの作品も見てみたい、写真ある?」と私は聞きました。すると、ミモザは何種類もあり、いつも周りにあるので当たり前すぎて作品はないかもしれない、という返事に他の参加者一同は驚きました。

マメ科のミモザアカシアには1350近くの種類があり、そのうち1000種類近くがオーストラリアにあります。冬に花が咲くものが960種類もあり、残りは他の季節に咲いている、と言われれば確かにこの国の方には珍しくないかもしれません。

この国花は、2000年のシドニーオリンピックの勝者に送るブーケには採用されませんでした。アレルギーを起こす人がいるそうで、実は私もその一人。春が来てミモザがきれいと細かい葉を取りだしたとたん、目がかゆくなってくるのです。

ミモザアカシア、英語名ワットルについてはいろいろと興味深い話があるとのSさんの言葉に、北半球の私たちがますます興味をひかれたのも、オンラインならではの楽しい展開なのでした。(光加)

カフェきごさい「ネット句会」2月 ≪互選+飛岡光枝選≫

caffe kigosai 投稿日:2023年2月10日 作成者: mitsue2023年2月10日

【連中】すみえ 都 桂 良子 裕子 光尾 涼子 酔眼 雅子 みやこ 隆子 光枝

≪互選≫
都選
東京に生きて冬芽に励まされ 隆子
追羽根やはつしと返し恋仇 雅子
汐待の一人来ている雛の市 隆子

すみえ選
追羽根やはつしと返し恋仇 雅子
ふんはりと春泥に墜つ紙ひかうき 都
丁稚やうかん売つて軒端の梅三分 隆子

桂選
リビングのひとりに広き余寒かな みやこ
東京に生きて冬芽に励まされ 隆子
願かけのかはらけ投げて春を待つ みやこ

裕子選
空まさを真つ逆さまに寒の底 すみえ 
着ぶくれて乗換駅に迷ひけり 良子
ふんはりと春泥に墜つ紙ひかうき 都

みやこ選
富士の背は火焔のごとき寒夕焼 裕子
山眠る長逗留の湯治宿 酔眼 
追羽根やはつしと返し恋仇 雅子

涼子選
ほんたうの鬼のゐる世や豆を打つ 光枝
ふんはりと春泥に墜つ紙ひかうき 都
丁稚やうかん売つて軒端の梅三分 隆子

光尾選
空まさを真つ逆さまに寒の底 すみえ
リビングのひとりに広き余寒かな みやこ
着ぶくれて乗換駅に迷ひけり 良子

良子
ほんたうの鬼のゐる世や豆を打つ 光枝
初参り礼深くなり長くなり 光尾
次々に春泥踏んで帰還兵 都

雅子選
ほんたうの鬼のゐる世や豆を打つ 光枝
東京に生きて冬芽に励まされ 隆子
丹頂の舞ふ蓋とりて雑煮餅 良子

隆子選
願掛けのかはらけ投げて春を待つ みやこ
着ぶくれて乗換駅に迷ひけり 良子
小寒や秩父宮は着膨れて 酔眼

酔眼選
リビングのひとりに広き余寒かな みやこ
冬ぬくし島にひとりの郵便夫 良子
息白し既読スルーのスマホ閉じ 光尾

≪飛岡光枝選≫
【特選】
永き日や橋より橋を眺めをり 良子

春になり昼の時間が長くなったある日。単純な情景ですが、眺めている橋がまるで幻のように感じるのは季語の力でしょう。もしかしたら、あちらから眺めるこの橋も、そして自分も幻なのかもしれません。

願掛けのかはらけ投げて春を待つ みやこ

京都の神護寺はじめ、高台にある神社仏閣などで行われる土器投げ。今では考えられませんが、東京北区の飛鳥山でも江戸時代には大人気だったとか。句は冬の終わりの土器投げ。「願掛け」という言葉が春を待つ心に通じます。見晴るかす田園にははや霞がたなびいているよう。

黒々と大地脈うつ野焼あと すみえ

草木の芽吹きを促す野焼き。「大地脈うつ」と、黒々とした焼野原に潜む生命力を力強く描き、存在感ある一句となりました。

汐待ちの一人きてゐる雛の市 隆子

「汐待ち」も「雛市」も、少し前の時代のなつかしい匂いがあります。汐待ちの船乗りでしょうか、雛人形は家で待っている娘さんへのお土産かもしれません。潮の香りのする雛市の浮き立つような気持ちが滲みます。

【入選】
テレビより砲声聞こゆ炬燵かな 光尾

原句は「テレビより砲声聞こゆ我炬燵」ですが、下五は散文のような説明になってしまいました。俳句では掲句のように「かな」が使えますので、ぜひ参考にしてみてください。ここ一年、日本人がみな感じている思いを一句にしました。

夫とゆく初めての宇治風花す 都

原句の下五は「風花に」。こちらも説明的。掲句がベストではありませんので、句の形を含めてぜひ工夫してください。「宇治」という地名が心に響く一句。源氏物語から脈々と続くことばの手触り。

はればれとマスク外して初湯かな 雅子

マスクを外してもいいと言われても恐々の日々。この「はればれ」には、心から安心して初湯を楽しみたいという願いが感じられます。

追羽根やはつしと返し恋仇 雅子

初々しい恋心、新春らしい一句です。

雑煮餅丹頂の舞ふ蓋とりて 涼子

粛々といただく雑煮椀。原句は「丹頂の舞ふ蓋とりて雑煮餅」、入れ替えただけですが句の様子が変わります。

窓越しに猫に挨拶春浅し 桂

初春の明るい日射しが感じられます。原句は「窓越しの猫に挨拶春浅し」。

丁稚やうかん売つて軒端の梅三分 隆子

「丁稚」ということばの働きでしょうか、おきゃんな(古い?)紅梅の様子が目に浮かびます。

左義長や頬の火照りに団子焼く 涼子

よく詠まれる内容ですが、しっかりと描けています。

次々に春泥踏んで帰還兵 都

戦が終わり兵士たちが故郷に帰還し、春泥の「春」の喜びが現実になることを切に願います。「次々に」が、句を生き生きとさせています。

風花の朝比奈越えて父母の墓 涼子

鎌倉の朝比奈でしょうか、地上より少し気温が低い峠道は風花が舞う季節。ご両親への思いを風花に託しました。原句は「風花す朝比奈越ゆれば父母の墓」。

ネット句会 投句一覧(2月)

caffe kigosai 投稿日:2023年2月2日 作成者: mitsue2023年2月3日

2月の「ネット句会」の投句一覧です。
参加者は(投句一覧)から3句を選び、このサイトの横にある「ネット句会」欄(「カフェネット投句」欄ではなく、その下にある「ネット句会」欄へお願いします)に番号と俳句を記入して送信してください。
(「ネット句会」欄にも同じ投句一覧があります。それをコピーして欄に張り付けると確実です)

選句締め切りは2月5日(日)です。後日、互選と店長(飛岡光枝)の選をサイトにアップします。(店長)

(投句一覧)
1 富士の背は火焔のごとき寒夕焼
2 空まさを真つ逆さまに寒の底
3 手袋のままに手握る別れかな
4 ほんたうの鬼のゐる世や豆を打つ
5 テレビより砲声聞こゆ我炬燵
6 夫とゆく初めての宇治風花に
7 リビングのひとりに広き余寒かな
8 金銀に染めて柳の門飾り
9 山眠る長逗留の湯治宿
10 永き日や橋より橋を眺めをり
11 冬ぬくし島にひとりの郵便夫
12 東京に生きて冬芽に励まされ
13 願掛けのかはらけ投げて春を待つ
14 着ぶくれて乗換駅に迷ひけり
15 はればれとマスク外して初湯かな
16 小寒や秩父宮は着膨れて
17 あの角を曲がればミモザ明りかな
18 顔見世がはねて木屋町筋の店
19 黒々と大地脈うつ野焼あと
20 追羽根やはつしと返し恋仇
21 丹頂の舞ふ蓋とりて雑煮餅
22 窓越しの猫に挨拶春浅し
23 立春や燈台の灯のやはらかし
24 羽ばたいて白鳥はげしく争へり
25 汐待ちの一人きてゐる雛の市
26 装ひてアフタヌーンティ春隣
27 ふんはりと春泥に墜つ紙ひかうき
28 コンビニや運動靴に春の泥
29 息白し既読スルーのスマホ閉じ
30 春めくや指美しきピアニスト
31 眼つむれば流氷の押し寄せる
32 丁稚やうかん売つて軒端の梅三分
33 初参り礼深くなり長くなり
34 左義長や頬の火照りに団子焼く
35 次々に春泥踏んで帰還兵
36 風花す朝比奈越ゆれば父母の墓

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」十二月

caffe kigosai 投稿日:2023年1月26日 作成者: mitsue2023年1月26日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより十二月の季語「年用意」、花「寒木瓜」、江戸の味「鯛焼」です。

【特選】

まどろめば父母もゐて暖房車  勇美

座席にヒーターが入る現代の電車も「暖房車」ではありますが、不思議と昔のストーブ列車などを思わせる懐かしさを抱いた季語です。句は季語の持っているこの空気感をよく捉えています。句のリズムもいい。

紅の冬芽抱きて樹々眠る  和子

「冬木の芽」の本意を過不足なく描きました。句の形も立派です。原句は「ほの赤き冬芽抱きて樹々眠る」ですが、より印象鮮明に。

【入選】

神官の白馬にそそぐ初日かな  勇美

神馬、それも白馬に降り注ぐ初日とは、なんとも目出度い新年の句です。

鯛焼きの睨みかはゆし温かし  和子

睨んでも鯛焼きは鯛焼き。原句は「鯛焼きの睨みかはゆし温かき」。

富士山頂また押し寄せる雪煙  和子

強風吹きすさぶ厳冬期の富士山の迫力ある一句。原句は「押し寄せる富士山頂へ雪煙」。

大いなる熊手を掲げ若女将  勇美

上五中七は熊手市の普通の様子ですが、それが「若女将」となるととたんに親近感を覚えます。熊手の神もこのお店を応援してくれることでしょう。

初鏡いよいよ猿の夫婦かな  勇美

言葉で読み取ると「(若いころからそうだったけど)一層猿のような夫婦になってきたなあ」ということですが、「猿の夫婦」とは?初鏡とありますから顔でしょうか。それともノミを取り合うような仲のいいご夫婦なのでしょうか。

鯛焼や敵は幾万来やうとも  光枝

浪速の味 江戸の味 2月【丁稚羊羹】

caffe kigosai 投稿日:2023年1月25日 作成者: youko2023年1月25日

「寒天製す」「寒天造る」「寒天晒す」は冬の季語である。天草を水で晒して、煮てから型に流し入れ凝固させる。それを冬の間、屋外に出して、夜間は凍らせ、昼間は解かすを十日ほど繰り返すと寒天ができる。

大阪北部の山地では江戸時代後期から寒天作りが始まり、寒さが厳しい農閑期にさかんに作られてきた。その特産の寒天とこしあんを使って作られたのが「丁稚羊羹」である。水に浸した糸寒天を火にかけ、完全に煮溶かす。そこにこしあんと砂糖を入れてよく混ぜ、沸騰したら火から下ろす。かき混ぜながら冷まし、型に流し入れて固める。固まったら型から取り出して、長方形に切る。

高価だった砂糖をたっぷり使った練羊羹と比べ、砂糖をそれほど使わないので、保存がきく冬に作られ食べられてきた。安価なので、丁稚が里帰りの時に土産にしていたとか、練羊羹に比べ煮詰めが足りない丁稚のようだとかいろいろな説がある。

同じように、寒天を使用した「水羊羹」は夏の季語で、冷蔵庫の普及した現在、夏の贈答品として人気だが、丁稚という名から商家に年季奉公をする年少者のイメージがあり、厳しい冬がふさわしいと思える。

丁稚羊羹は関西地方では馴染みの和菓子だ。ただ、大阪南部の河内地方では、こしあんに小麦粉を加えてこねた後、竹の皮に平らな長方形にして載せ蒸した「蒸し羊羹」を丁稚羊羹と呼ぶ。寒天作りをする寒冷地と南部の地域の特性がよく出ている。どちらも、厳しい冬を耐え、春を待つ丁稚どんが食べてはったんやなと思うとほっこりする。

丁稚羊羹父母が恋しき雪夜かな   洋子

杜今日子展 ー呼吸ー のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2023年1月25日 作成者: mitsue2023年1月25日

カフェきごさい「今月の花」の福島光加さんと店長、飛岡光枝の「花仙の会」でもみごとな墨書を披露してくださっている日本画家・絵本作家、杜今日子さんの個展が開催中です。繊細な植物画や絵本の原画を展示する本展は、You Tubeでもご覧になれます。柔らかな光あふれる作品をどうぞお楽しみください。

会期=2023年1月23日~1月28日(11時30分~19時30分・最終日は17時)

会場=「うしお画廊」
   中央区銀座7-11-6 GINZA ISONOビル3F

・You Tube:「うしお画廊」HP http//www.ushiogaro.com

カフェきごさい「ネット句会」≪2月≫のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2023年1月24日 作成者: mitsue2023年1月24日

春節を迎えたとたんの全国的な大寒波、みなさまのお住まいの地域は如何でしょうか。寒さ、大雪でたいへんな方もいらっしゃるかと思います。くれぐれもお気を付けてお過ごしください。

「カフェきごさい」ネット句会≪2月≫の締切は2月1日(水)です。どなたでも参加可能です。サイトの「ネット句会」欄から3句ご投句ください。

・このサイトの右側に出ている「ネット句会」欄より、3句を投句ください。

・2月2日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、2月5日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。

・後日、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をこのサイトへアップいたします。

新春初「ネット句会」、みなさまどうぞ張り切ってご参加ください。(店長)

今月の花(二月)紅梅

caffe kigosai 投稿日:2023年1月19日 作成者: koka2023年1月20日

小さな庭の付いた家に引っ越した時、母は背の丈ほどの紅梅を植えさせました。

塀の向こう側は隣家の台所に面しているらしく、小窓が開いている時は洗い物の音がこちらに聞こえてきました。塀の近くに植えた梅の枝が塀を越したら、隣の台所からも枝先につく花が見えて楽しめるだろうと思ったものです。

ところがある時その家から火が出て、延焼は免れたものの塀をとうに越していた紅梅は煙のせいか真っ黒になっていました。庭掃除をしながら「もうすぐ咲くわね、この蕾」と楽しみにしていた母が「焼けちゃったわ」とがっかりしていたのを覚えています。紅梅は切られ、そのあとに新しい木が植えられることはありませんでした。

お稽古の折、ごくたまに花屋さんから紅梅が届けられることがあります。お願いしている花屋さんは、私の属する流派の本部に代々花材を収めている花屋さんです。私も親先生からの付き合いもあり、時たま珍しいものが一束だけはいっていたりするのです。

紅梅の枝をいけることになった生徒さんには「いまどき都会の真ん中で紅梅をいけるのは贅沢よ」と、独特の枝ぶりや花の付き具合、幹の形をよく観察していけてねとアドバイスをします。

紅梅の枝をのこぎりで切ると、髄がピンク色になっているものが多く見られます。稽古の後、紅梅の太い枝を切った残りが他の枝とともにバケツに捨てられているのを見かけると、しおれて黒ずんでいくのが比較的早い花そのものより、髄の色で紅梅を確認することができます。

白梅は万葉集に一番多く登場する植物とされています。一方紅梅はもっと後になってから文献に登場し、「東風ふかばにほいおこせよ梅の花・・・」と菅原道真が詠んだ梅は、居宅を「紅梅殿」と呼んだところから紅梅ではないかと言われています。

源氏物語の第四十三帖は「紅梅」。紅梅大納言の一家の話で、中の記述にも梅の一枝を折りて・・・というところがありますのでこれも紅梅なのでしょうか。

紅梅には、年末や新年に咲く(寒紅梅)、その名の通り他の紅梅より大きな花を咲かせる(大盃)、中輪の(東雲)などがあります。(佐橋紅)や(紅千鳥)とはどんな紅梅なのでしょう。

今では園芸種も多くみられ、紅色の花で八重咲の野梅系は(八重寒紅)、紅梅のようだけれどよく見れば紅色のほかに白や絞りの花も付いている三月頃に咲く梅は(思いのまま)。このどこか艶っぽい響きの名は、白、紅、白に紅の斑入りなど、人が梅を思い浮かべた時のまさに思いのままの色に梅が答えてくれると言っているのでしょうか。

寒さが少しやわらいだら、今年は梅林をゆっくり歩いてみたいと思います。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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