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カフェきごさい「ネット句会」10月 ≪互選+飛岡光枝選≫

caffe kigosai 投稿日:2022年10月8日 作成者: mitsue2022年10月11日

【連中】桂 すみえ 良子 都 隆子 酔眼 光尾 雅子 利通 裕子 光枝
 
≪互選≫

光尾選
ふるさとへ戻りしここち温め酒 隆子
摘みたてのみょうが華やか道の駅 雅子
遠ざかるバグパイプの音秋澄めり すみえ

都選
桃太郎なんども生るる夜長かな 裕子
初風にバグパイプの音聞こえしか 光尾
日ぐらしや三つ四つをやり残し 光尾

裕子選
八千草の土手に分け入る峡日和 利通
夢二の猫飛び出しさうな秋扇 都
小鳥来てにはかに母のゐますかに 隆子

すみえ選
くノ一の伊賀の案山子も黒づくめ 隆子
両の手に糠しつとりと今年米 雅子
花芒二三本活け良夜かな 雅子

良子選
老いてなほお洒落上手やラ・フランス 桂
夢二の猫飛び出しさうな秋扇 都
ふるさとへ戻りしここち温め酒 隆子

桂選
話したきことのありさう林檎むく 良子
ふるさとへ戻りしここち温め酒 隆子
遠ざかるバグパイプの音秋澄めり すみえ

雅子選
八千草の土手に分け入る峡日和 利通
桃太郎なんども生るる夜長かな 裕子
コスモスを束ねてみても淡きかな 良子

酔眼選
両の手に糠しっとりと今年米 雅子
話したきことのありさう林檎むく 良子
新走り浮かぶ顔みなあちら側 光枝

隆子選
話したきことのありさう林檎むく 良子
引き戸開け古書噎せ返る残暑かな 酔眼
盆帰省義手にカフスを止めなほす 利通

利通選
桃太郎なんども生るる夜長かな 裕子
小鳥来てにはかに母のゐますかに 隆子
故郷の地酒を提げて衣被 裕子

≪飛岡光枝選≫
【特選】
新蕎麦を待つ小上がりのスポーツ紙 酔眼

小うるさい(失礼!)蕎麦屋の方が美味しい(感じがする)という思い込みからか、新蕎麦と言うと少々かしこまった句が多いなか、この句のざっくばらんな様子が好もしい。スポーツ紙を読みながら待つ新蕎麦。たぶん記事の内容は覚えていないのではないでしょうか。

初風にバグパイプの音聞こえしか 光尾

9月8日、96才で亡くなったエリザベス女王。波乱に満ちたその生涯と君主としての存在感ゆえ、世界中で多くの方が国葬中継を見守りました。その一コマを切り取り、愛し親しんだバグパイプに送られる女王を悼む静かな一句となりました。将来句集に掲載の際は「エリザベス女王逝去」などの前書きを。季語の「初風」がいい。

小鳥来るにはかに母のゐますかに 隆子

秋の明るい日射しのなか、とりどりの小鳥がやってきます。小鳥の声に包まれていると、ふと身近に母上の気配が、という句です。母上が小鳥となってやってきたという句ではありません。原句は「小鳥来てにはかに母のゐますかに」。

【入選】
老いてなほお洒落上手やラ・フランス 桂

弾むようなリズムが句の内容とよく合っています。

桃太郎なんど生まれる夜長かな 裕子

この子は今、桃太郎がお気に入り。桃太郎が桃から生まれるハイライトを、今夜は何回読まされるのやら。桃太郎が日本中で生まれているのだろうと思えるのも、「夜長」の季語の力でしょう。原句は「桃太郎なんども生るる夜長かな」。

いちじく捥ぐ大きな葉かげ母の声 すみえ

木漏れ日のなか、母上の明るい声が聞こえます。秋の日射しを感じる一句。原句は「いちじく捥ぐ大き葉かげに母の声」。

ふるさとへ戻りしここち温め酒 隆子

寒さを感じ始める秋の終わりは、大の大人でも心細くなる季節。季感をよく捉えた一句です。季語の「温め酒」は「あたためざけ」と読み「ぬくめ酒」は傍題。

くノ一の伊賀は案山子も黒づくめ 隆子

忍者の伊賀では当たり前ですが、くノ一と言って愉快な一句になりました。でも、黒づくめの案山子では、鴉が仲間だと安心して寄ってくるような気がしますが・・・。

竹伐らんやをら取り出す肥後守 都

孟宗竹を伐るには肥後守では心細いですが、黒竹などの細い竹なら伐れるのでしょうか。「やをら取り出す」の勢いで、肥後守がりっぱな日本刀のような風情。

盆帰省義手にカフスを止めなほす 利通

にぎやかでも少人数でも、親族が集まるお盆の帰省は多くの方にとって大切で楽しみなこと。思いの籠った一句です。

日や月や風や喜び柿たわわ 桂

原句は「日の月の風の喜び柿紅葉」。柿紅葉も美しいですが、上五中七の宇宙の躍動感を受けるには、今まさに命輝く柿の実を置きたいと思います。ご一考を。

次回の「カフェきごさい句会」は12月です。日本中が色づく美しい季節、みなさまどうぞ句作をお楽しみください。くれぐれも体調にはお気を付けて。(光枝)

ネット句会(10月)投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2022年10月2日 作成者: mitsue2022年10月2日

10月の「ネット句会」の投句一覧です。
参加者は(投句一覧)から3句を選び、このサイトの横にある「ネット句会」欄(「カフェネット投句」欄ではなく、その下にある「ネット句会」欄へお願いします)に番号と俳句を記入して送信してください。
(「ネット句会」欄にも同じ投句一覧があります。それをコピーして欄に張り付けると確実です)

選句締め切りは10月4日(火)です。後日、互選と店長(飛岡光枝)の選をサイトにアップします。(店長)

(投句一覧)
1 八千草の土手に分け入る峡日和
2 老いてなほお洒落上手やラ・フランス
3 新蕎麦を待つ小上がりのスポーツ紙
4 夢二の猫飛び出しさうな秋扇
5 鵙の贄じつと見てゐる蛙かな
6 桃太郎なんども生るる夜長かな
7 話したきことのありさう林檎むく
8 一粒の葡萄をはこぶ熱の唇
9 草の花幼なじみを訪ねけり
10 黒きまで熟れて大柿枝たわむ
11 円や角太郎も次郎も柿熟るる
12 初風にバグパイプの音聞こえしか
13 秩父ゆく白装束に曼殊沙華
14 他人事の政治いつまで秋の朝
15 いちじく?ぐ大き葉かげに母の声
16 たうがらし庫裡に干されて竹の奥
17 ふるさとへ戻りしここち温め酒
18 小鳥来てにはかに母のゐますかに
19 いわし雲千の手欲しき保育士よ
20 引き戸開け古書噎せ返る残暑かな
21 くノ一の伊賀は案山子も黒づくめ
22 故郷の地酒を提げて衣被
23 摘みたてのみょうが華やか道の駅
24 渡良瀬に雲流れゆく秋彼岸
25 両の手に糠しっとりと今年米
26 竹伐らんやをら取り出す肥後守
27 日ぐらしや三つ四つをやり残し
28 新走り浮かぶ顔みなあちら側
29 盆帰省義手にカフスを止めなほす
30 花芒二三本活け良夜かな
31 遠ざかるバグパイプの音秋澄めり
32 日の月の風の喜び柿紅葉
33 コスモスを束ねてみても淡きかな

「カフェきごさい」ネット句会≪10月≫のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2022年9月25日 作成者: mitsue2022年9月25日

今年の中秋の名月は早く、9月10日でした。全国で綺麗な月が楽しめたのも束の間、つぎつぎに大型の台風が来る秋となりました。みなさまの地域は如何だったでしょうか。被害に遭われた方々へ、心よりお見舞い申し上げます。

「カフェきごさい」ネット句会≪10月≫の締切は10月1日(土)です。どなたでも参加可能です。サイトの「ネット句会」欄から3句ご投句ください。

・このサイトの右側に出ている「ネット句会」欄より、3句を投句ください。

・10月2日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、10月4日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。

・後日、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をこのサイトへアップいたします。

秋たけなわの「ネット句会」、みなさまの力作をお待ちしています。(店長)

カフェきごさい「ネット投句」9月 飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2022年9月22日 作成者: mitsue2022年9月22日

【入選】

日一日金色勝る稲田かな  和子

稲田が金色というのはよくある表現ですが、日一日というところで、毎日眺めている稲田が日々重く実っていく喜びが感じられます。ここから一歩でも二歩でも抜け出て詠む工夫をしてみましょう。

【投句より】

まんまるだ童は月を掴まんと

有名な「名月を取てくれろと泣く子かな 一茶」と同じ発想です。より新鮮な句を目指しましょう。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会(八月)

caffe kigosai 投稿日:2022年9月22日 作成者: mitsue2022年9月22日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより八月の季語「秋果」、花「ブーゲンビリア」、江戸の味「谷中生姜」です。

【特選】
アトリエの静けさに盛る秋果かな  勇美

季語「秋果」は、様々な秋の果実のことです。個々の果物を詠む場合より句が散漫になりがちですが、この句は「秋果」が活きる印象的な一句です。これから絵筆を走らせるのでしょうか、アトリエを包む、秋の日をも感じます。「静けさに盛る」が秀逸。

いただきを埋めつくさんと赤とんぼ  和子

赤とんぼが数多集まるという句は見慣れていますが、「埋め尽くす」とまで言って迫力のある句になりました。シンプルな句の形もいい。原句は「いただきを埋めつくしたり赤とんぼ」。

【入選】
日盛りをブーゲンビリア花溢れ  和子

たいへんシンプルな句。花盛りのブーゲンビリアのみを詠み、読者をブーゲンビリアの日盛りに誘います。原句は「日盛りにブーゲンビリアの花溢れ」。俳句ではこの「の」は不要です。

ほんのりと色づく稲穂風渡る  和子

上五中七では当たり前すぎて句になりませんが、「風渡る」で一気に稲穂が生き生きと動きはじめました。

亡き父の友より届く秋果かな  勇美

ご仏前に届いた果物だと思いますが、何年後かにご家族へ届いた贈り物のようにも感じます。父上のお人柄が偲ばれる一句です。

はじかみを噛んで幼き目に涙  勇美

大人が美味しそうに齧っているのを真似してしまったのでしょうか。少し早かったですね。食卓にはじかみがある、秋のひと日。

しんかんとブーゲンビリア基地の町  光枝

浪速の味 江戸の味(十月) 新豆腐〈大山豆腐〉【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2022年9月20日 作成者: mitsue2022年9月20日

 

山かけ豆腐 蒸豆腐 氷室豆腐

おぼろ豆腐

収穫されたばかりの新大豆で作る「新豆腐」は、甘みのある深い味わいが愛されてきました。日本各地に有名な豆腐がありますが、「大山詣り」で知られる神奈川県大山の名物「大山豆腐」もそのひとつです。

古くから山岳信仰の霊山である大山は、また、農民からは水を司る神として、漁民からは海からの目印として崇拝されてきました。山中の雨降山大山寺は奈良東大寺建立で知られる良辨僧正の開山と言われています。

江戸時代になると、大山では先導師と呼ばれた御師が、各地をまわって布教や大山講の結成に努め、宿泊場所の提供や案内を行いました。江戸の人口が爆発的に増えたことも参詣者の増加に拍車をかけ、江戸の人口が100万人の頃、年間20万人もが訪れたそうです。

そんな参詣客に振る舞われたのが、渓谷の清水で作られた「大山豆腐」です。豊富で清冽な水は、豆腐の保存にも適していたとか。毎年訪れた多くの江戸っ子が大山豆腐に舌鼓を打ち、江戸に戻ったのち大山詣りの土産話として語ったことでしょう。現在でも大山参道に並ぶ御師の宿坊では、工夫を凝らした様々な豆腐料理を味わうことができます。

大山は江戸市中から眺められ、道中手形不要で参詣できる身近な山でした。現在でも東京からの手軽なハイキングコースとして人気です。私が初めて大山に登ったのは高校の遠足、その頃は残念ながら豆腐料理にあまり魅力を感じませんでした。紅葉でも知られる大山の秋、ぜひ新豆腐を味わいに再訪したいと思います。

掌に乗せて掌にあまりけり新豆腐  光枝

今月の花(十月)ななかまど

caffe kigosai 投稿日:2022年9月19日 作成者: koka2022年9月20日

東京のある会館の床の間に大きくいけられた「ななかまど」。葉は黄色がかった薄い緑からオレンジ、そして、赤へと紅葉し、直径五~六ミリほどの艶やかな実の房が葉の間からたわわに下がっていました。十月末の展覧会ではいけることはありますが、その見事なななかまどを大都会の真ん中でみかけたのは、まだ夏を引きずっている九月のごくはじめのことでした。

そのななかまどの葉に傷や痛み、枯れたところがないのは、この作品を生けた作家の方をはじめ、関係者が注意深く毎日手入れをなさっているからでしょう。それにしても、久しぶりに見るあまりにも立派なななかまど、収めたお花屋さんに、秋がもう始まっている北の地から来たものか尋ねてみました。

「これは限られた地域の荷主さんから出されたもので、気候も日当たりも山の最適な場所で、きっと特殊な仕掛けをして大事に育てたななかまどだと思う」という答えでした。もちろんそれがどこの誰なのか、その花屋さんも直接は知らず、その場所に行ったこともないそうです。実際のところ、雨が当たっても条件によっては葉にシミが生じ,葉どうしがすれる風も大敵です。葉をよく見ても水分がなくなって丸まっているものはなく、こういうのをプレミアムななかまど、とでもいうのだろうかと私は写真を撮らせていただきました。

ななかまどは早春、小さな薄緑の葉がお互いをかばうように丸まって出てきて、やがてほどけていきます。葉は奇数羽状複葉、つまり先に一枚、あとは細い葉柄に対についています。

春も遅く、緑を深めた葉の枝先についた花は五弁の小さな花弁をもち、たくさん集まって咲くので遠くからみると白い泡が吹いているように見えます。花をいける時は、花弁がはらはらと散りやすいので気を付けなければなりません。

鳥に食べられずに冬を迎えた秋の赤い実は、雪の中で、葉がすっかり落ちた十数メートルにも達する黒褐色の木肌とよい色のコントラストとなることでしょう。

ななかまどは「七度窯にくべても燃えない」と名前が付いたといわれますが、それだけ瑞々しいということなのでしょうか。名の由来には異説を唱える植物学者もいるということですが、新芽のしたたるような緑色を見ると、この名前が付くほど春の水分を吸って芽吹く美しさから来ているのかとも思います。他に雷電木(らいでんぼく)または雷電(らいでん)という名前でも知られています。

ななかまどの街路樹を最初に見たのは北海道の帯広でした。先日再度訪れたこの町で、つややかな赤、また、オレンジ色の実をつけたななかまどを見かけました。陽の当たるところは紅葉がはじまっていて、その色合いは九月に入っても収まらない東京の酷暑を一瞬忘れさせてくれました。

この十月、私は帯広では初めてのいけばなのデモンストレーションを計画しています。北海道といえば、花屋さんに枝ものはたくさん種類がありそうですが、実はそれほど多くありません。現地の出演者のお知り合いの庭などで、少し紅葉したななかまどを切らせていただき、いけることはできないかしら、さぞ美しいことだろうとひそかに思っています。

「花は美しいけれど、いけばなが美しいとは限らない」勅使河原蒼風家元の『花伝書』の言葉です。この言葉を胸に、どんな花材に会えるか楽しみにしています。(光加)

今月の季語〈十月〉⑪ 秋めく

caffe kigosai 投稿日:2022年9月17日 作成者: masako2022年9月19日

紅葉は秋の季語。でも十月に紅葉は早いよと思う方も多いのではないでしょうか。実は私もこれまではそう思っていました。今年は九月のはじめに長野へ行き、標高が高くなるに従い木の葉の色が変わっていくのを目の当たりにしました。はじめのうちは下界(?)の残暑の記憶を曳いていましたから、病葉? 立ち枯れ? と訝しんでいたのですが、幸いにも紅葉に他ならない桜と真向かうことになり、秋を実感した次第です。

病葉を涙とおもふ齢かな                      齋藤愼爾〈夏〉

霧に影なげてもみづる桜かな               臼田亜浪

すると残暑厳しい下界へ戻ってからも、日を追って様子が変わっていくことを明らかに感じられるようになりました。いつもなら末枯か、せいぜい薄紅葉と思うにとどまる現象であっても、紅葉への一過程としてとらえる眼差しを高山から賜った心持ちでした。

多摩の水すこし激する薄紅葉               山口青邨

末枯といふ躊躇うてゐる景色               後藤比奈夫

私の身辺では薄紅葉というよりは薄黄葉といえましょうか。ほんの少し前までは木々の下に入れば「緑蔭」と思いましたが、今や木の葉を透る日の光がうっすらと黄味を帯びて感じられます。

九月の中ごろ、かつては里山と呼ばれた谷戸を歩きました。ボランティアの方々の丹精の稲が穂を重く垂れ、黄金色の一歩手前の色合いになっていました。また臭木やごんずいの実が、そろそろ遠目に花と見紛うほどに熟してきていました。

柿紅葉貼りつく天の瑠璃深し               瀧 春一

まだ「紅葉且つ散る」には到っていませんでしたが、ときどき拾ったのが柿紅葉でした。コーティングされたようなつややかな柿の葉は紅葉も独特の美しさです。その地に今も実るのは、禅寺丸柿とのことでしたが、原木はわが町内の古刹の境内に今もあります。

禅寺丸柿原木の木守柿                                   正子

棲み古りてここ甘き柿生れる里

拙句でご無礼します。大昔には宮中に献上もされたという甘柿ですが、今では残っているところでのみ出会う存在です。剪定されず、のびのびと大きく育っていることが多いです。

照葉して名もなき草のあはれなる       富安風生

「照葉」は「秋晴」と「紅葉」の両条件を満たして成り立つ季語です。木の葉のみならず、この句のように草の紅葉にも使えるのだと目から鱗でした。

名もなき草という措辞が出てくるのは、「秋の七草」と数え上げられる草があるからでしょう。七種は萩・薄・葛・撫子・女郎花・藤袴・桔梗とされますが、このときの元・里山で見かけたのは薄と葛でした。萩、撫子、女郎花、藤袴、桔梗は花期が早めです。夏のころからあちらこちらで見かけましたから、すでに終わっていたのかもしれません。また若干の手入れが必要な花なのかもしれません。代わりに男郎花、吾亦紅、水引、数珠玉などの剛い植物や、名を知らぬ茸各種を見かけました。タヌキマメ、キツネノマゴなる植物(花も実も)とは初対面。カラスやスズメだけでなく、タヌキやキツネが跋扈する楽しい秋の野でした。

「秋めく」とは秋らしくなるの意。本来は初秋の季語ですが、この程度にまで秋が深まって初めて実感できる気もします。十一月はもう初冬です。十月の野を歩き、秋を堪能してみませんか。(正子)

 

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」七月

caffe kigosai 投稿日:2022年8月24日 作成者: mitsue2022年8月24日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより七月の季語「夏の水辺」、花「ひまわり」、浪速の味「鱧鮨」です。

【入選】
肩車され向日葵とにらめつこ  勇美

子どもの顔よりはるかに大きい向日葵の様子が目に浮かびます。上五中七が少々散文的なのが惜しい。向日葵がより印象的になる工夫を。「肩車大向日葵とにらめつこ」など。

大氷河割れて地球の崩れゆき  和子

地球の崩れる音が聞こえるような一句です。句の内容からすると「割れて」が弱い。「大氷河崩れ地球の崩れゆく」。

つながるるスワンボートや夏の果  勇美

繋がれてしょんぼりしているスワンボート。夏の終わりをその様子で描いているので「夏の果」という季語はダメ押し。季語を工夫してみましょう。「つながれてスワンボートや百日紅」など。

一坪の庭に聳えて日輪草  勇美

「日輪」の大きさが効いている一句。「一坪の庭に聳える日輪草」もある。

椀の中鱧の白さの目に沁みて  和子

「目に沁みて」は言わずもがな。この五字でより内容を深く詠みましょう。

鱧鮨の経木開けばコンチキチン  光枝

今月の花(九月) 野いばら(野ばら)の実

caffe kigosai 投稿日:2022年8月23日 作成者: koka2022年8月24日

八月末。いけばなの花材を扱う花屋さんでは、初秋を告げる様々な花材たちが息を吹き返したような新鮮な表情で迎えてくれます。

その中に1.5メートルあまりの弧を描く枝の「野いばら」が数本、脇枝にたくさんの緑の実をつけていました。丸い実は5ミリ~7ミリ位で季節が進むと緑はオレンジや赤に代わっていきます。

日本原産の「野いばら」は、18世紀の末、来日したスエーデンの植物学者ツュンベルグがヨーロッパに持ち帰り、以来様々な交配種を産出するのに使われたと聞いています。

草むらに「野いばら」の花を見つけたのは初夏。直径1.5センチ程の香りのいい白い花がにぎやかに咲いていていたのが、ついこの間に思えます。

「いぬバラ」と呼ばれる、花が薄ピンクのバラがロサ・カニーナ。その実はローズヒップと呼ばれお茶に使われる種類の一つです。実が大きく、華やかな赤い実を下げているのは「鈴バラ」(ロサ・セテイゲラ)で、「野いばら」に比べると実が大きく先が少しとがります。弧を描く茶色の枝の大きな棘に気を付けながらいけるのも楽しみです。

日本でいけばなのレッスンにはげみ、今はドイツに住む元門下が、実がついた枝が大きく道端に出ているバラの写真を送ってくれました。「野いばら」の実は秋がくると花屋さんで手には入るけれど、写真にあるような立派なバラの枝は散歩の時は邪魔になるし、車から見ると人が歩いていても枝に隠れてしまい、運転していて危ない、切ったほうが良いのでいけばなの材料にこっそりいただく、と元門下は言っておりました。これは「いぬバラ」でしようか。

「いぬバラ」の花は可愛らしい薄ピンク色です。そう聞くと、シューベルトの『野ばら』を思い出します。「童はみたり 野なかの薔薇」というゲーテの詩は、近藤朔風氏の訳詩で知っていました。シューベルトやヴェルナーはじめ多くの作曲家を虜にして、数えきれない曲がこの詩につけられましたが、この「いぬバラ」をうたったのではないかと言われているそうです。

実際の花の色は薄いピンクですが、翻訳には「紅(くれない)におう」と出てきます。ドイツ語の分からない私はこれは本当に赤い色をさすのか、と門下に聞いてみました。この色については、ドイツの方たちもいろいろと意見があるということでした。

ゲーテはこの詩を書いたとき、牧師の娘さんに恋をしていたとか。童(少年)はゲーテ自身という説もあるそうです。実らなかった恋は薄いピンクの花を赤にして、彼の心の内にしまわれたのかもしれません。

世界遺産になっているヒルデスハイムという町のマリア大聖堂には、聖堂を覆うようにして樹齢1000年近いと言われるつる状のバラがあると聞きました。有名なこのバラの花は、ドイツの食器やカトラリーなどに「ヒルデスハイムのバラ」としてデザインされているようです。

大聖堂のバラは、ゲーテの時代も見てきたにちがいありません。どんな実を結ぶのでしょうか。いつか会いに行きたいバラの一つです。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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