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カフェネット投句(10月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2020年10月22日 作成者: mitsue2020年10月22日

【特選】
青年の吾の口笛秋高し  弘道

原句は「秋晴れや青年のごと口笛を」。青年のように口笛を吹いた、という報告からより広い世界へ。

女郎花傍にゆるるや男郎花  和子

原句は「女郎花傍にかしず(づ)く男郎花」。傅かれたいかどうかの違いもあるかもしれませんが(!)、こちらもより広い世界へ。

【入選】
いわし雲履き古したるスニーカー  勇美

しっかりと出来た一句ですが、「履きなれしものにも果や鳥雲に 飴山實」の存在が大きい。

薪割りの腰を伸ばすや渡り鳥  勇美

この句も過不足なくできていますが、「渡り鳥」を動かしてより広々と。「薪割りの腰を伸ばすや鳥渡る」。

稲の香やまだ生きてゐるこの星の 和子

稲の香りは、まさに健康な地球の香り。原句は「稲の香やまだ生きているこの星は」。

若き日の浜つ子ことば鯊日和  涼子

回想でなくても句になりそうですが、鯊日和にはこの形もしっくりきます。

鳥渡る富士山頂にポストあり  涼子

まるで渡り鳥からの手紙が届くよう。原句は「鳥渡る富士に山頂郵便局」。

廃校の今日の賑はひ村芝居  弘道

秋晴れの一日を楽しむ様子が伺われます。原句は「久々に廃校賑ふ村芝居」。

浪速の味 江戸の味「もみじの天ぷら」(十一月)浪速

caffe kigosai 投稿日:2020年10月22日 作成者: youko2020年10月23日

大阪の北部に箕面(みのお)があります。阪急電鉄の宝塚線特急で、梅田駅から石橋駅へ行き、箕面線に乗り換えて終点箕面駅まで行くのに30分ほどという便利な場所でありながら、箕面山周辺に箕面国定公園があり、ハイキングコースにもなっている自然豊かな土地です。西国街道が通っていたので、江戸時代には箕面地方の主要な村には本陣や旅籠屋が立ち並んでいたそうです。昔から滝と紅葉の名所として知られていました。

夏目漱石の『彼岸過迄』に次のような文章が出てきます。「僕は昨日京都から大阪へきました。今日朝日新聞にいる友達を尋ねたら、その友人が箕面という紅葉の名所に案内してくれました。・・・渓川があって、山があって、山の行き当たりに滝があって、大変好い所でした。」

漱石が述べているように、箕面駅前から渓流沿いに滝道を40分ほど歩くと箕面大滝があります。落差33メートルで古くから名瀑として知られています。役行者が修行中に瀧神に出会った場所とされ、松尾芭蕉も見物したようです。元禄5年夏の連句「破風口」(破風口は家屋の両側面の屋根の切棟がさがって山形をしている板のあたり)で、「箕面の滝や玉を簸らん」と詠まれています。(『芭蕉連句集』岩波文庫参照)簸るは、箕で穀物などをふるうことです。

後藤夜半が「滝の上に水現れて落ちにけり」と詠んだのも箕面の滝です。小学生のころ、遠足でこの大滝に行きました。迫力満点の大滝を飽かず眺めていたものです。

箕面は紅葉の名所で、11月末から12月初めまでが見ごろです。お土産の菓子に「もみじの天ぷら」があります。1300年前、箕面山で修行していた役行者が、紅葉の美しさを称え、修験道場を訪れる旅人に灯油の油(菜種油)で、もみじの天ぷらを作ったのが始まりと言われています。

紅葉の季節に、大切に育てられた「一行寺楓」(5~9裂)のもみじの葉を一枚一枚手拾いで収穫し、水洗いをした後、変色を抑え、アクを抜くため塩漬けにし、一年置きます。その後、流水で塩抜きしたもみじの葉に、小麦粉、水、砂糖、ゴマで作った衣をつけて揚げます。一枚20分もかけて丁寧に揚げ、しっかり油を切ります。かりんとうのようなかりっとした食感で、もみじの形がかわいい箕面の名物です。塩漬けのもみじを使うので、一年中食べられますが、紅葉を見ながら、もみじの天ぷらを食べるのは格別です。

紅葉狩もみぢの天ぷら翁にも   洋子

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会 九月

caffe kigosai 投稿日:2020年10月21日 作成者: mitsue2020年10月21日

朝日カルチャー新宿の「カフェきごさい」句会。今月の兼題はサイトより、九月の季語「露」、花(植物)「冬瓜」、浪速の味「いもたこ」です。

【特選】
松虫草霧に漂ふ二三輪  和子

高原の初秋を彩る松虫草。霧に見えかくれする様子が印象的なこの花を、霧に漂うと捉えて新鮮。

【入選】
又鯵かつぶやき冷を吞みにけり  守彦

この鯵はとても美味しそう。「呑みにけり」が句の内容からすると少しかたいので、もう一工夫を。

桐の実や空はすかひに飛行雲  勇美

桐の実のはるか上空に描かれる飛行機雲。秋ならではの句。

蟻の群れ裸の蚯蚓囲みけり  守彦

蚯蚓が裸なのは当たり前だが、裸と言われると蚯蚓がより生々しい。「蟻の群れ裸の蚯蚓囲みをり」。

歴代の金魚眠るや露葎  勇美

「歴代の金魚」はおもしろいが、句の内容からすると普通の表現にしたい。「代々の金魚の眠る露葎」。

ややこしき系譜に熟るる葡萄かな  勇美

葡萄の神秘に迫ろうとした一句。よりシンプルに。「ややこしき系譜熟るるや黒葡萄」。

蝉の穴主は遠くへ行つたまま  弘道

蝉の穴は、取り残された穴という発見。「遠く」を一考したい。

衣被つるりと逃げし椅子の下  和子

「椅子の下」がリアル。

冬瓜のころがつてゐる月日かな  光枝

今月の季語〈十一月〉 初冬の花

caffe kigosai 投稿日:2020年10月19日 作成者: masako2020年10月21日

〈木枯・凩(こがらし)〉が木々の葉を吹き散らし、草々を薙いでいきます。〈小春日和〉と呼ぶほっとする日がある一方で、着々と冬が深まっていきます。

木がらしや目刺にのこる海のいろ            芥川龍之介

海に出て木枯帰るところなし              山口誓子

木を枯らすと書く木枯・凩ですが、例句にはこのほかにも海との取り合わせが多いです。龍之介や誓子の句が浮かぶからでしょうか。「木」は既に文字の中にありますから、他の要素を求めてのことでしょうか。

路地住みの終生木枯きくもよし          鈴木真砂女

木がらしの片刃は墓を濡らしけり          八田木枯

凩にまなこ輝く一日かな                     山田みづえ

妻へ帰るまで木枯の四面楚歌            鷹羽狩行

真砂女の「路地」、木枯の「片刃」、みづえの「輝くまなこ」、狩行の「妻」。それぞれの作家らしい取り合わせかと思います。吹き払われて素の自分になってみると、何か新しいものが見つかるかもしれません。

身ほとりから生き物の気配が消えてゆく頃合ではありますが、だからこそたまさかに出会う彩りにははっと目を引かれます。代表的な「花」を見て行きましょう。

山茶花のここを書斎と定めたり            正岡子規

山茶花は咲く花よりも散つてゐる         細見綾子

〈山茶花〉は秋のうちから春先まで咲く、花期の長い花です。その性質は綾子の句の通り。はらはらと散り継ぎます。

山茶花の散りしく月夜つづきけり          山口青邨

茶の木も同じくツバキ科で、花は小さいですが形が似ています。〈茶の花〉は散るのではなく落ちます。

こもり居や茶がひらきける金の蘂          水原秋櫻子

秋櫻子の「こもり居」は今年のステイホームではありませんが、そういう日々に寄り添ってくれる花というイメージでしょうか。

ツバキ科の花を視覚の花とするならば、モクセイ科の柊は嗅覚の花でしょう。

柊の花一本の香かな                        高野素十

まずその芳香に驚き、見渡してやっと木の存在に気づくということも。もう二十年も前のことになりますが、私にとって忘れられない柊の記憶があります。その日同行者のおひとりは〈柊のたそがれの香にほかならず 岩井英雅〉と詠まれました。曇りがちの日でしたが、夕暮にはまだ間がありました。ほおお~そう詠めばよいのか~といたく感銘を受けました。私も〈ひひらぎの花まつすぐにこぼれけり 正子〉。

また、この季節を選んで咲く桜があります。春の桜とは別種です。

雨雫よりひそやかに寒桜                    稲畑汀子

鮮やかな黄の花を掲げる〈石蕗の花〉は、

つはぶきはだんまりの花嫌ひな花         三橋鷹女

母我をわれ子を思ふ石蕗の花            中村汀女

もしかすると評価の割れる花なのでしょうか。私の気分は、

どこへでも行ける明るさ石蕗の花        鎌倉佐弓

に近い気がします。歩いてゆくと、時ならぬ花に出会うこともあります。

日に消えて又現れぬ帰り花                高浜虚子

返り咲いて一重桜となりにけり             阿波野青畝

父に樒母に杏の返り花                      黒田杏子

〈返り花・帰り花〉は小春日和に誘われた花のこと。狂い咲きというより浮かれ咲きと私は思っています。

〈小春日和〉〈凩〉ともども十一月限定と言ってよい季語です。今のうちに堪能しておきましょう。(正子)

 

今月の花(十一月) 冬林檎

caffe kigosai 投稿日:2020年10月17日 作成者: koka2020年10月17日

お稽古の時に手にしたのは姫林檎。秋も深まりつつある10月のはじめでした。

枝から垂れたたくさん柄の先につく姫林檎の実は、頂上はへこんでいないものの林檎をごく小さくしたような形で2~2.5センチくらいの大きさです。赤にうっすら緑色が残る実が特徴です。乾いてしまった葉は整理して実が下がるようにいけたら、と初心者には提案をしました。姫林檎の盆栽をみて、アメリカやヨーロッパの方は園芸種のクラブアップルに近いと言われました。

姫林檎が下がると、いよいよ林檎も本格的な季節を迎えます。

夏の太陽をたくさん浴びた「サンつがる」にはじまり、最後は11月から12月に収穫する「サンふじ」までが栽培の期間。ことに「サンふじ」は初めは少し青く熟度が十分でないものの2月くらいから甘味も増してくるので春先まで楽しめるとは、長野で林檎農家をしている方のお話でした。そのため適度な温度と湿度で管理した冷蔵保管が必要です。

その若いご夫婦は外国各地での生活ののち、リンゴ栽培をこの地で始めました。果樹を剪定した枝や稲わら、果物や野菜のくずを用いる規格外農産品の有効活用など環境を考え、長く林檎を味わってほしいということで栽培する林檎の種類は豊富です。

晩秋の林檎はいただいてみるとほかの時期のものよりずっしりとして、やや控えめの香りに対し、密な造りが口の中で確かめられます。冬林檎と聞くと私は孤高なイメージを持っていましたが、中身は季節と時間をめぐってきた記憶がにぎやかに混在しています。

アップルパイや焼き林檎にクリームやアイスクリームをのせて暖炉の前でいただいたらさぞおいしいだろう、そんな光景を勝手に想像していた頃、2018年のシードルがそろそろ飲み頃ときき早速オーダーしました。若いころをパキスタンで過ごした奥様が考案した、しょうがやカルダモン、シナモン、ナツメグを加えたリンゴのジャムと一緒に。

林檎の誘惑に負けるのはアダムとイヴ以来まったく変わっていないのです。(光加)

カフェきごさい「ネット句会」(10月)《互選》+《飛岡光枝選》

caffe kigosai 投稿日:2020年10月5日 作成者: mitsue2020年10月5日

(連中)都・良子・すみえ・光尾・勇美・桂・和子・雅子・裕子・涼子・弘道・隆子・光枝

(良子選)
分け入れば釣船草のほの明かり 和子
挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦 裕子
山々をあまねく鎮め望の夜 涼子

(すみえ選)
挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦 裕子
蕎麦の花白馬連峰浮かべたり 和子
スカイツリー大きな月を上げにけり 光枝

(涼子選)
藍染めの東京の空月上る 光枝
新しき日の差しきたり野分あと 良子
スカイツリー大きな月を上げにけり 光枝

(光尾選)
挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦 裕子
山々をあまねく鎮め望の夜 涼子
スカイツリー大きな月を上げにけり 光枝

(和子選)
藍染めの東京の空月上る 光枝
赤さびの鉄路に揺れる曼珠沙華 光尾
しんしんと身の冷ゆるまで今日の月 光枝

(裕子選)
弁当箱さげて十五夜帰りけり すみえ
選挙カー稲穂垂れゐるところまで 良子
しんしんと身の冷ゆるまで今日の月 光枝

(都選)
田仕舞やけさ青刈りの注連を張り 隆子
子の語る夢まぶしけれ梨の水 隆子
暁の間遠くなりたる鉦叩 裕子

(弘道選)
田仕舞やけさ青刈りの注連を張り 隆子
赤さびの鉄路に揺れる曼珠沙華 光尾
きぬかつぎ小津の映画の余韻かな 勇美

(雅子選)
挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦 裕子 
見失ふ打球のゆくへ秋澄めり 勇美
蕎麦の花白馬連峰浮かべたり 和子

(桂選)
満月やひときは高き峯の松 裕子
挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦 裕子
ベランダに出れば隣も良夜かな すみえ

(隆子選)
新しき日の差しきたり野分あと 良子
見失ふ打球のゆくへ秋澄めり 勇実
ベランダに出れば隣も良夜かな すみえ

(勇美選)
月揚げて殿もござるや天守閣 涼子
蕎麦の花白馬連峰浮かべたり 和子
お月見や朝から茹でる里のもの 雅子

(飛岡光枝選)
【特選】
新しき日の差しきたり野分あと  良子

台風一過の秋晴れです。その日差しを「新しき日」と捉えてまさに新鮮な一句となりました。「新しき」を「あたらしき」とする形もご検討ください。

赤さびの鉄路に揺れて曼殊沙華  光尾

描写が的確で言葉の緊密さが際立つ一句です。原句は「赤さびの鉄路に揺れる曼殊沙華」。

【入選】
満月やひときは高き峯の松  裕子

月の光でより際立つ松の存在感。

分け入れば釣船草のほの明かり  和子

草の間で揺れる釣船草の可憐さ。「分け入る」が草葎に体ごと入る感じがして小さな植物を見つけるには少し違和感があります。

挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦  裕子

挽き臼と具体的に描写してよく見える句になりました。ただ新蕎麦が緑を帯びているという句はたくさんあるのでより新鮮な句を目指しましょう。

田仕舞やけさ青刈りの注連を張り  隆子

収穫の無事を祝う田仕舞。藁が香り立つ注連縄に喜びが溢れます。

自然薯を掘つて子どもと背比べ  弘道

今年一番の自然薯でしょうか、思わず子供の背と比べてしまう嬉しさ。原句は「自然薯を掘つて子と背比べけり」。

子の語る夢まぶしけれ梨の水  隆子

秋の果物の感じはあるのですが、「梨の水」より合う季語がありそうです。

山々をあまねく鎮め望の月  涼子

月の光にしんかんと聳える山々。原句は「望の夜」ですが、夜では茫洋としてしまいます。

曼殊沙華歓声の無きグラウンド  光尾

同じ作者の鉄路の句と同様、深閑と開く曼殊沙華を捉えました。観客の代わりに揺れる曼殊沙華が恐ろしくもある迫力のある句です。原句は「歓声の無きグランドに曼殊沙華」。説明の「に」は省けることが多い。

ベランダに出れば隣も良夜かな  すみえ

「隣も月見かな」では句になりませんが「良夜」と捉えた上々の一句。「ひとそれぞれ書を読んでゐる良夜かな 山口青邨」の心持ち。

この家も独り住まいか柿熟るる  弘道

たわわに実った鮮やかな柿がかえって切ない。

きぬかつぎ小津の映画のなつかしく  勇美

原句は「きぬかつぎ小津の映画の余韻かな」。小津映画の余韻のなかで熱燗など楽しんでいるのかもしれませんが、この句の場合「余韻かな」ではわかりすぎて俳句の手前の描写で留まってしまいます。より広々と。

お月見や朝から茹でる里のもの  雅子

「朝から」にお月見の心映えが感じられる一句。「里のもの」がお月見の供え物らしい。

今日の月わが推敲の埒もなや  都

原句は「あすは名月」。せっかくの名月なのにということかもしれませんが、間延びしてしまうことは否めません。月に嘆いているストレートな句にするとより思いが伝わります。

カフェきごさい「ネット句会」 投句一覧(10月)

caffe kigosai 投稿日:2020年10月1日 作成者: mitsue2020年10月2日

10月「ネット句会」の投句一覧です。以下から3句を選び、このサイトのネット投句欄に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは10月3日(土)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします。(飛岡光枝)

【投句一覧】
1 曼珠沙華白し気高さ奥に秘め
2 藍染めの東京の空月上る
3 満月や樹々の小枝の黒々と
4 満月やひときは高き峯の松
5 弁当箱さげて十五夜帰りけり
6 分け入れば釣船草のほの明かり
7 飛び立つに風待ちゐるや秋の蝶
8 挽き臼に翠ほのかや走り蕎麦
9 田仕舞やけさ青刈りの注連を張り
10 仲秋や南京町に買ふ月餅
11 大根とレタスのサラダダイエット
12 大岩を持ち上げてゐる草紅葉
13 選挙カー稲穂垂れゐるところまで
14 赤さびの鉄路に揺れる曼殊沙華
15 新しき日の差しきたり野分あと
16 譲ろうか譲るまいかの片かげり
17 酒絶つて人恋しさよとろろ汁
18 自然薯を掘って子と背比べけり
19 子の語る夢まぶしけれ梨の水
20 山々をあまねく鎮め望の夜
21 細く長く母のため息居待月
22 紅葉して燃ゆる恋なり蔦漆
23 見失ふ打球のゆくへ秋澄めり
24 月揚げて殿もござるや天守閣
25 暁の間遠くなりたる鉦叩
26 蕎麦の花白馬連峰浮かべたり
27 菊の酒むかし男は強かりき
28 歓声の無きグランドに曼殊沙華
29 解体の空地ひろびろ今日の月
30 稲架けて雨降る里の日暮れかな
31 ベランダに出れば隣も良夜かな
32 せせらぎの音を近くに曼珠沙華
33 スカイツリー大きな月を上げにけり
34 しんしんと身の冷ゆるまで今日の月
35 この家も独り住まいか柿熟るる
36 きぬかつぎ小津の映画の余韻かな
37 カンナ燃ゆ四代続く鉄工所
38 お月見や朝から茹でる里のもの
39 あすは名月わが推敲の埓もなや

カフェきごさい「ネット句会」10月のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2020年9月27日 作成者: mitsue2020年9月27日

「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。このサイトの「ネット投句欄」より、9月30日までに3句を投句ください。10月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、10月3日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。サイトへ、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をアップいたします。

今年の十五夜は10月1日。東京はこのところの雨模様が一変して、週明けから、月が太ってゆく様子が楽しめそうです。待つ気持ちは詩歌の源泉、月を待ちながらどうぞ様々な月の句に挑戦してみてください。(光枝)

カフェネット投句(9月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2020年9月24日 作成者: mitsue2020年9月24日

【特選】
しつらひの小芋ころころ月を待つ  涼子

心を込めて用意した小芋を供え、小芋と並んで月を待つ作者。「小芋ころころ月を待つ」の心の自由さを見習いたいです。

冬瓜の味無き味の透きとほり  涼子

冬瓜が透き通るという内容はたくさん詠まれていますが、冬瓜の味が透き通るという表現はとても新鮮です。

夏草や名前出て来ぬ友と遭ふ  守彦

「夏草」がいい。草いきれの中で挨拶を交わしながら冷や汗。大丈夫、ご友人もきっと同じですよ。

【入選】
蜩やまた来年も会いたいぞ  弘道

この句は切字「や」が大切。作者が次の年もぜひと思いを馳せるのは身の回りの神羅万象です。その思いを蜩の声に託しました。

蜘蛛の巣のゆれて煌めく水の玉  和子

雨粒か朝露か、きらめく蜘蛛の世界。原句は「蜘蛛の巣の上に煌めく露の数珠」。

虹二重富士の雪渓踏みしめて  和子

壮大な景色のなかにかかる虹のめでたさ。「虹二重」がいい。原句は「虹二重富士の初雪踏み締めぬ」。「虹」は夏、「富士の初雪」は秋の季語です。前に揚げた「蜘蛛の巣」の句も同様に「蜘蛛の巣」は夏の季語、「露」は秋です。必然性があれば季語が二つあっても季違えも問題にしませんが、この形は句がどうしてもごちゃごちゃとしてしまい散文的になりがちです。何が言いたいのかをしっかり見極めてよりシンプルに。結果、より伝わる句が生まれます。

いつせいに踊り出したり芋の露  勇美

風が吹いたのでしょうか、露の玉の一瞬の輝き。

故郷の広き花野を思ひけり  弘道

しみじみとした思いは伝わりますが、どんな様子かがいま一歩わからない。「思ひけり」に具体性がほしい。

手の中でぢぢと鳴く蝉夏休み  守彦

手の中で鳴きながら動く蝉の感触が伝わってきます。少し切ないその感触は夏休みに思いを馳せる現在の作者の心持ちにも通じます。

男手も鉈も借りては大南瓜  勇美

最近はハロウィン用に大きな西洋南瓜を作る農家が増えたとか。句は、素人ながら思いがけず巨大な南瓜が育ったのでしょう。秋空の下、大南瓜との格闘は続きます。原句は「男手も鉈も借るべし大南瓜」。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(八月)

caffe kigosai 投稿日:2020年9月24日 作成者: mitsue2020年9月24日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題は、サイトより今月の季語「八月の果実」、花「蛍袋」、江戸の味「甘酒」です。

【特選】
道の辺の毬栗きらきら雨上り  守彦

栗の毬を滴る雨粒が秋の陽に輝く様子が見える。原句は「道の辺に栗きらきら雨上り」。

しみじみとと二十世紀を滴らす  勇美

しみじみと味わうのは、梨であり、時代でもある。

【入選】
冷蔵庫我がもの顔の大西瓜  和子

発想はある句だが「我がもの顔」に作者の率直な気持ちが現れていて余計に愉快。

うみ柿のとろりと甘き炬燵かな  守彦

「甘き」で切れる。皮の中は熟しきっている柿の手触りまでが感じられる。

片頬を過ぎる風あり涼新た  涼子

初秋の微妙な感覚をよく捉えている。

あかあかと太陽の柿吊しあり  涼子

秋の陽の色のみごとな柿。原句は「あかあかと太陽の色柿たわわ」。

めらめらと我焼き尽くす残暑かな  和子

焼き尽くすまで言うと少々大げさだが、「残暑」で活きた。

行く君へ青き蜜柑の放物線  勇美

「行く」の内容がもう少しわかるとより良いが、「放物線」にある青春性が発見。原句は「行く人へ青き蜜柑の放物線」。

ひんやりとうみ柿の籠爺の部屋  守彦

誰もいない部屋でひそやかに熟れていく柿。

麹室闇深々と一夜酒  光枝

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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