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浪速の味 江戸の味(十月)鯊の佃煮【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2020年9月21日 作成者: mitsue2020年9月22日

山海のものを醤油と砂糖で甘辛く煮付けた佃煮は日本各地にありますが、その名前の由来となったのは現在の東京都中央区の佃島と言われています。

1582年本能寺の変の折、堺にいた徳川家康の三河への脱出を助けたのが摂津国佃村(現大阪市西淀川区佃町)の漁民でした。家康は江戸幕府を開いたのち、佃村の漁民を呼び寄せ、墨田川河口の干潟を埋めたてて漁業権を与え、故郷に因み佃島と名付けたとのことです。

佃島の漁民が雑魚などで作った佃煮は安価なこともあって江戸庶民に広まり、日持ちの良さから参勤交代の武士が江戸土産として持ち帰って各地に広まりました。

佃島は今は島ではなくなり、墨田川沿いには高層マンションが立ち並びます。それでも住吉神社を中心とする地域には昔ながらの家並みが残り、江戸時代から続く佃煮屋さんが季節の佃煮を商っています。

江戸前佃煮の代表格が鯊です。東京湾やその河口で秋によく釣れ、私も釣り好きの父のお供をしてよく出かけたものでした。子どもでも簡単に釣れる小ぶりの鯊は、頭でっかちな姿が面白く、お気に入りの秋の行楽でした。父は釣った鯊を天日干しにして保存し、暮れには正月用の佃煮を作っていました。大小不揃いの鯊がかえって好もしく、なんとも美味しい自家製の佃煮でした。

 青空や鯊釣り船のにぎにぎし  光枝

今月の花(十月)桐の実

caffe kigosai 投稿日:2020年9月21日 作成者: koka2020年9月22日

「あれは 桐の花?」「そうみたい。桐の花ではないかしら」
パリから1時間と少しのフライトで降り立った街リヨン。いけばなの友達とオペラハウスに向かう途中の事でした。見上げると7~8メートルもあろうかという樹に、薄紫色の花が緩い弧をえがいた枝の先にびっしりとついていました。リヨンは石の建物が連なる堂々とした街です。その中の小さな公園の、釣鐘型の優しい薄紫の花をつけた立派な木の佇まいを今でも時々思い出します。

桐は成長が早く、夏に高いところに咲く花は花屋さんに運んでくるまでに落ちてしまうので作品としていける機会はほとんどありません。いけられるのは、茶色い短い毛が集合したようなビロード状の萼に包まれた丸い蕾が付く秋のはじめからで、長さ20センチ以上になる卵型の葉はやがて落ちていきます。この蕾は実と間違われることがあります。実は先がツンと尖っていて初めは緑色、そして茶色から褐色となり先が割れると中には細かな種が潜んでいます。枝に同時に実と蕾が付くことで、家が代々続いていき、子孫繁栄を表しているようだということで慶び事にも使われます。。

かつては女の子が生まれたら、お嫁に行くときに桐の箪笥を持たせるため桐が植えられました。下駄や大事なものを入れる箱、琴や琵琶などの楽器などが作られるのも桐が軽くて火にも強く丈夫だからです。

日本の家紋には様々な桐の紋があり、私の着物の紋は五三の桐。500円玉を裏返せば桐があり、先だって新首相の会見の時も演台に桐の刺繍がされた布がかけられ、総理府の印となっています。

清少納言は『枕草子』の中で中国で鳳凰がとまる格式の高い木として桐をあげ、『源氏物語』の光源氏の父は桐壺帝、母は桐壺の更衣で庭に桐が植えられていたとして、紫式部はこの名前をつけたのでしょう。

リヨンで桐の花をみて驚いたのは桐が日本あるいは東洋の独特の高貴な植物という認識を私が持っていたからでした。しかし桐の学名のPaulownia は、鎖国時代長崎の出島のオランダ館にきていたドイツ生まれの医師、フィリップ フランツ フォン シーボルトに関係しています。彼が持ち帰った日本の物の中にはたくさんの植物の標本や種があり、桐の種もその中に含まれていたのです。桐の学名はPaulownia tomentosa、英語で(princess tree)。 王女の木 また(royal paulowna)と呼ばれるのは、彼のパトロンでもあったオランダの王女、Anna Pavlova(1795-1865)にちなみ、後につけられたといわれています。
あの石の街リヨンに華麗に威厳をもって立っていた桐が思い出されます。(光加)

今月の季語〈十月〉⑨ 鳥渡る

caffe kigosai 投稿日:2020年9月18日 作成者: masako2020年9月21日

七十二候の一つに〈玄鳥帰る〉があります。玄鳥(げんちょう)は燕のこと。春の〈玄鳥至る〉と対になっています。今年は九月十七日でした。

秋が深まり、北から渡ってくる鳥、南へ帰る鳥、また山から里へ移る鳥が交錯するころとなりました。今月は季語を通して鳥の移動を整理しておきましょう。

まず南へ帰る鳥から。

高浪にかくるる秋のつばめかな    飯田蛇笏

ある朝の帰燕高きを淋しめり     鈴木真砂女

燕は人家の軒など人目につく場所に巣を作りますから、子育ての一部始終を見ることもできます。その不在は家族が欠ける気分にもなって、一層身に染みるのでしょう。

流人島空を自在に海猫(ごめ)帰る  中村翠湖

絵画のような句です。鳴き声が特徴的な海猫も群れをなして帰ります。

〈鷹渡る〉は、夏に日本へ渡来して繁殖した差羽(さしば)が、秋に群れを成して南へ帰る様子を指すことが多いです。北方から飛来する鷹も、留鳥の鷹もおり、冬の季語である〈鷹〉や〈鷹狩〉を構成します。まとめて歳時記で確かめてください。

鷹わたる蔵王颪に家鳴りして     阿波野青畝

日に舞うて凱歌のごとし鷹柱     岡部六弥太

次は北から渡ってくる鳥について。季語ではこれを〈渡り鳥〉と呼びます。

鳥わたるこきこきこきと罐切れば   秋元不死男

渡り鳥みるみるわれの小さくなり   上田五千石

鳥の名も季語になります。まず〈雁〉。〈かりがね(雁が音)〉〈雁の棹〉という季語は、編隊を組んで鳴き交わしながら渡る姿に「秋」を思う古からの伝統そのものでしょう。

さびしさを日々のいのちぞ雁わたる  橋本多佳子

雁や残るものみな美しき       石田波郷

雁啼くやひとつ机に兄いもと     安住 敦

〈鴨〉〈鶴〉は冬の季語ですが、〈鴨/鶴来る(きたる)〉は秋の季語です。

鴨渡る明らかにまた明らかに     高野素十

初鴨の十羽はさびしすぎにけり    大嶽青児

鶴の来るために大空あけて待つ    後藤比奈夫

いつもの池が、ある日鴨でにぎわい始めるという経験がおありでしょう。今から春先まで、密度だけでなく、種類が増えて、楽しませてくれます。鶴や白鳥を、春の燕のように待つ地域もあるでしょう。。

小禽類も渡ります。身近なのはむしろこちらではないでしょうか。年中いる小鳥も加わって、視界に鳥の姿がもっとも増えるのが秋です。

小鳥来る人の暮しと玻璃隔て     稲畑汀子

死の十日あとの空より緋連雀     友岡子郷

かなしめば鵙金色の日を負ひ来    加藤楸邨

鶺鴒のとゞまり難く走りけり     高浜虚子

啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々    水原秋櫻子

身近すぎていつもは景色の一部になっている雀も、秋には〈稲雀〉という季語になります。

稲雀汽車に追はれてああ抜かる    山口誓子

(正子)

カフェきごさい「ネット句会」9月 《互選》+《飛岡光枝選》

caffe kigosai 投稿日:2020年9月5日 作成者: mitsue2020年9月6日

「連中」=和子、隆子、光尾、桂、涼子、勇美、雅子、都、すみえ、裕子、光枝

(裕子選)
かすかなる悔恨に似て桃の痣  隆子
冬瓜や祖母はみどりご抱くやうに  勇美
この星の自転くるくる林檎むく  勇美

(すみえ選)
芋の露青き宇宙の転がれり  裕子
この星の自転くるくる林檎むく  勇美
アフガンのかの井の水も澄めるころ  隆子

(都選)
桃の香の中にねむるや天の川  光枝
星屑を踏みゆく音や林檎食む  勇美
アフガンのかの井の水も澄めるころ  隆子

(雅子選)
乳房ふたつ抱いて眠るや天の川  光枝
山の端に取り残されし花野かな  和子
九十九里の砂の白さや九月来る  都

(勇美選)
蜻蛉や高くかかげし指の先  裕子
鶏も卵忘るる残暑かな  雅子
かすかなる悔恨に似て桃の痣  隆子

(涼子選)
悠久の時の流れに稲穂垂れ  和子
鶏も卵忘るる残暑かな  雅子
この星の自転くるくる林檎むく  勇美

(桂選)
地獄への花道かくや大西日  光尾
芋の露青き宇宙の転がれり  裕子
アフガンのかの井の水も澄めるころ  隆子

(光尾選)
山の端に取り残されし花野かな  和子
芋の露青き宇宙の転がれり  裕子
かすかなる悔恨に似て桃の痣  隆子

(隆子選)
悠久の時の流れに稲穂垂れ  和子
芋の露青き宇宙の転がれり  裕子
ラ フランス貴方はつむじ曲げたまま  涼子

(和子選)
地獄への花道かくや大西日  光尾
ラ フランス貴方はつむじ曲げたまま  涼子
この星の自転くるくる林檎むく  勇美

(飛岡光枝選)
【特選】
九十九里砂の白さや九月来る  都

千葉県九十九里浜。「九月」という微妙な季節感をシンプルに表現しました。「九月」が動きません。原句は「九十九里の砂の白さや九月来る」。

さるすべりがまんの夏をやりすごし  光尾

百日紅はひと夏をかけて咲き続きます。やり過ごしたつもりでも我慢の夏は長い。この句も「さるすべり」が上々。夏以外ひらがななのも効果的です。

かすかなる悔恨に似て桃の痣  隆子

遥かな思いを引き寄せる果物、桃ならではの一句。

【入選】
蜻蛉や高くかかげし指の先  裕子

「高くかかげし」に思いがあります。

悠久の時の流れに稲穂垂る  和子

たゆみない時間に流されながらも、目前にたわわに実る稲穂。「垂れている」様を描いたのがいい。原句は「悠久の時の流れに稲穂垂れ」。

夢殿の庇に憩ふ秋の蝶  都

「憩ふ」が秋の蝶ならでは。

傍らに夫の寝息や涼新  桂

句のリズムが内容に合っています。

日の残る花にしばらく秋の蝶  すみえ

夏を惜しむような蝶の様子。「日の残る」が秋の日差しをよくとらえています。

湯上りの赤子に貰ふ天花粉  雅子

銭湯に用意してあったのでしょうか、同じような赤ちゃん連れの人に分けてもらったのかもしれません。みんなの温かい眼差しが心地よい一句。原句は「湯上りや赤子に貰ふ天花粉」。

対岸の渡し呼ぶ旗いわし雲  桂

秋の澄んだ空気がよく描かれています。原句は「対岸に渡し呼ぶ旗鰯雲」。

星屑を踏みゆく音か林檎食む  勇美

斬新な内容であると同時に納得させられる句です。上五中七が秋の空を感じさせてくれるからでしょう。原句は「星屑を踏みゆく音や林檎食む」。

鶏も卵忘るる暑さかな  雅子

一読、鶏が忘れるのは生んだ卵のことか、卵を生むこと自体なのかわからないと思いましたが、どちらでもあり、どちらでもないくらい暑いのでしょう。原句は「鶏も卵忘るる残暑かな」。

ラ フランス貴方はつむじ曲げたまま  涼子

シャンソンの一節のようなしゃれた一句。

アフガンのかの井の水も澄めるころ  隆子

遥かアフガンに心を寄せる秋。

カフェきごさい「ネット句会」9月 投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2020年9月2日 作成者: mitsue2020年9月2日

9月「ネット句会」の投句一覧です。以下から3句選び、このサイトのネット投句欄に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは9月3日(木)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします。(飛岡光枝)

【投句一覧】
1 蜻蛉や高くかかげし指の先
2 龍田姫触れし楡の葉ほの黄色
3 悠久の時の流れに稲穂垂れ
4 夢殿の庇に憩ふ秋の蝶
5 傍らに夫の寝息や涼新
6 乳房ふたつ抱いて眠るや天の川
7 日の残る花にしばらく秋の蝶
8 湯上りや赤子に貰ふ天花粉
9 桃の香の中にねむるや天の川
10 冬瓜や祖母はみどりご抱くやうに
11 地獄への花道かくや大西日
12 対岸に渡し呼ぶ旗鰯雲
13 星屑を踏みゆく音や林檎食む
14 新涼や枝折戸にふと風の音
15 焼け焦げし数多の恋よ原爆忌
16 山の端に取り残されし花野かな
17 鶏も卵忘るる残暑かな
18 空蝉のまだやはらかし掌
19 九十九里の砂の白さや九月来る
20 鬼の子に風の便りの届きしか
21 帰る客見送りをれば秋の声
22 雁渡し波の削りし岩激つ
23 解体す桃の香りの桃の箱
24 芋の露青き宇宙の転がれり
25 をみなへし女工は峠越えて来し
26 ラ フランス貴方はつむじ曲げたまま
27 シリアにはまだ来ず八月十五日
28 さるすべりがまんの夏をやりすごし
29 この星の自転くるくる林檎むく
30 かすかなる悔恨に似て桃の痣
31 ガジュマルの大木は謎小鳥くる
32 アフガンのかの井の水も澄めるころ
33 AIにゃ色なき風は分かるまひ

カフェきごさい「ネット句会」(9月)のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2020年8月28日 作成者: mitsue2020年8月28日

「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。このサイトの「ネット投句欄」より、8月31日までに3句を投句ください。9月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、9月3日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。サイトへ、参加者の互選と店長の選をアップいたします。8月7月に立秋を迎え、暦のうえでは秋。全国的に猛暑が続き厳しい残暑となっていますが、8月25日の旧暦の七夕あたりから、東京でも朝夕は(ほんの)少し涼しい風が吹く日が多くなりました。8月から9月は、季節の移ろいを楽しむ絶好の時、ぜひたくさん初秋の句を作ってみてください。(光枝)

カフェネット投句(8月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2020年8月27日 作成者: mitsue2020年8月27日

【特選】
パタパタと窓打つ影や黒揚羽  守彦

「影」が上手い。黒揚羽が影のようでもあり、窓を打っているのが黒揚羽の影でもある。夏の昼下がりの夢のごとし。

蝉の声空砕かんと原爆忌  和子

蝉の怒りの声。戦争関連の俳句に蝉の声はよく登場しますが、空を砕くまでとは力強く、かつ新鮮です。原句は「蝉の声空を砕きて原爆忌」。「砕きて」とまで言うと実感が遠のきます。

盆供へ猿イノシシの食ひちらし  弘道

家の外に用意するお供えでしょうか。近くに澄む動物が荒らしにくるのでしょう。困ったことではありますが、施餓鬼と同様の盂蘭盆の本来の意味合いを感じます。自然と人間、生と死の近さ。原句は「盆供え猿イノシシのほしいまま」。この句の場合は「ほしいまま」では句が曖昧になってしまいます。

【入選】
頭のごとき大きな梨やいかに割らん  涼子

頭は「ず」。梨を割るとはただ事ではありません。字あまりの下五(六)に大いに困惑した様子がうかがえます。原句は「顔のごと大きな梨やいかに割らん」。

伝来の鉄の風鈴吊るしけり  弘道

代々伝わる黒光りした風鈴が目に浮かびます。大切に心を込めて吊るしている。

水田を縦横に裂き夏つばめ  弘道

水田の「水」の一字に夏を感じます。「裂き」が夏燕の鋭い飛行を表現。原句は「水田を真二つに裂く夏燕」。「真二つ」は少々大げさ。

失せし尾のひかり忘るな青蜥蜴  勇美

尾が切れてしまった蜥蜴への思い。句は蜥蜴への呼びかけですが、「失せし尾のひかり忘れず青蜥蜴」と、蜥蜴の立場(?}から詠むことも可能。

長生きの金魚に狭き宇宙かな  勇美

宇宙を飛び出して、さて金魚はとこへ?「宇宙」がとりとめがなく実感できないのが惜しい。「長生きの金魚に狭き地球かな」にすると金魚玉が思われるか?もうひと工夫を。

天の川映し川面の深閑と  和子

天と水中の天の川が一体となった静寂の世界。原句は「天の川映す川面の深閑と」。この「す」と「し」の違い重要。

浪速の味 江戸の味 (9月) いもたこ【浪速】

caffe kigosai 投稿日:2020年8月21日 作成者: youko2020年8月27日

昔から女性の好きなものは「いもたこなんきん」と言われます。リズムよく口遊めますし、たしかに私も、芋も蛸も南瓜も好物です。

浪速の特産野菜のひとつに、泉州の里芋があります。親芋の周りに子芋がさらに孫芋ができるので、子孫繁栄の象徴としてお正月の御節料理にも登場しますが、9月~10月が収穫のピークです。中秋の名月には、子芋を皮つきのまま茹でる「衣被(きぬかつぎ)」が供えられます。つるりと皮がむけるので食べやすくなります。平安時代ごろから女性が外出時に身分をかくすために衣を被った姿に重ねています。

里芋のぬめりの元はガラクタンといい、糖質とタンパク質が結合したもので、血圧を下げたり、動脈硬化の予防にもいいそうです。

蛸は明石海峡で獲れたものが有名ですが、大阪湾でも獲れます。6、7、8月ごろによく獲れます。蛸は塩で揉みさっと茹でます。コレストロールを下げるタウリンが豊富です。芋と蛸を出し汁に砂糖、薄口しょうゆ、酒少々で炊いたんが、いもたこです。

いもたこは、畑のものと海のものとの組み合わせで、栄養面でも残る夏の疲れによさそうです。芋は秋の季語で、蛸は夏の季語ですが、いもたこは秋の季語として味わいたいと思います。「いもたこ」を食べながら、女友達と楽しいお喋りをしたいものです。コロナ対策で、食事中もお喋りできないのは寂しいです。

いもたこに弾む話や女子衆   洋子

今月の季語(9月)露(2)

caffe kigosai 投稿日:2020年8月19日 作成者: masako2020年8月19日

身辺が暑さに涸れ涸れの昨今。露ぶくのはビール瓶くらいだと嘯いている人はいませんか? 朝きわめて早くに起きだしてみてください。〈朝顔〉や〈芙蓉〉の今朝の花が、しっとりとしています。

今年は梅雨明けから立秋までが一週間ほどでしたから、〈夏の露〉を体験せずに終わった気がしますが、

朝の間のあづかりものや夏の露   千代女 〈夏〉

病みてみるこの世美し露涼し    相馬遷子〈夏〉

と、夏にも露の季語があります。千代女の昔から「朝の間」だけの稀少感のあるものだったわけです。その「朝」が少しずつ長く続くようになり、

露けさの弥撒のおはりはひざまづく  水原秋櫻子

晝までの露を大事に草撓ふ       中原道夫

また、夜のうちに露けくなってきて、

露の夜の一つのことば待たれけり   柴田白葉女

十日町更けて露けき筵買ふ      小室善弘

と詠まれながら秋が深まっていきます。

露しぐれ檜原松原はてしなき     蝶夢

〈露時雨〉は露が一面に下りてあたりがしとどになっている状態、もしくは結んだ露が木々の枝からばらばらと落ちて来ることを表します。また〈露涼し〉は夏の季語ですが、

露寒のこの淋しさのゆゑ知らず    富安風生

「寒」の文字が入っていますが〈露寒し・露寒(つゆさむ)〉は秋の季語です。更に寒くなると、

露霜や竹伐りたふす竹の中     石田波郷

降りた露が凍って霜のようになることがあります。それを〈露霜(つゆしも)・水霜(みずしも)〉といいます(すぐに消える霜を指すこともあります)。

〈露〉は三秋を通して使える季語です。人口に膾炙した句も多いです。いくつか挙げてみましょう。

今日よりや書付消さん笠の露    芭蕉

しら露やさつ男の胸毛ぬるるほど  蕪村

露の世は露の世ながらさりながら  一茶

芭蕉の句は『おくのほそ道』所収。随行者であった曽良と別行動をとるに際しての惜別吟。蕪村の「さつ男」は猟師のこと。山へ分け入り獲物を追う猟師の胸毛が濡れるほど、びっしりと露がおりているというのです。一茶の句は、やっと無事に生まれて元気に育っていた愛娘を、病にうしなったときの句です。

露は天文現象ですが、古来より、はかなさや涙を連想させるものとして使われてきました。俳諧、俳句でも、その連想を繋いだり、断ち切ったりして詠み継がれています。

芋の露連山影を正うす       飯田蛇笏

蔓踏んで一山の露動きけり     原 石鼎

露の虫大いなるものをまりにけり  阿波野青畝

金剛の露ひとつぶや石の上     川端茅舎

白露や死んでゆく日も帯締めて   三橋鷹女

白露は「しらつゆ」と読むときは天文現象、「はくろ」と読むときは二十四節気の一つ、時候の季語となります。二〇二〇年の白露は九月七日です。

ゆく水としばらく行ける白露かな  鈴木鷹夫

忌心は白露を過ぎてより深し    稲畑廣太郎

さて、密を避け、ひとり野の露に濡れるのもまた楽しからずや。(正子)

今月の花(九月) 冬瓜

caffe kigosai 投稿日:2020年8月18日 作成者: mitsue2020年8月19日

夏から秋に生るウリ科の冬瓜を冬と書くのは、涼しいところに置いておくと冬までもつからだといわれます。実は2キロから大きなものは10キロ近くになります。花は黄色で雄花と雌花があり、雄蕊は雄花に5本、雌蕊は雌花に1本。人口授粉で実をつけさせます。

濃い緑の皮をむいたあとの白い実は火を通すとやや透けたようになり、そして食感にも軽さがでて口あたりもよく、晩夏からの楽しみの食材です。

若いころ中国料理のクラスに通ったことがあります。先生のお知り合いやご親戚のお嬢さんたちと一緒に、先生のお宅でのお稽古でした。お年を召したお母さまが椅子にピンと背を伸ばして座って微笑みながら見ておいででした。一家は北京に暮らしておいでだったようでその上品なお母さまの雰囲気は、ご夫君が中国の名士の顧問をしておいでだったと伺っていましたが、その名を後で知り、なるほどと思いました。

ただの食いしん坊だった私にとって、一番印象深かったのは冬瓜を使ったお料理でした。まず、へたのところからを1センチほどを切り落とし蓋にします。中のわたをすくいとり、皮はぐるぐるとむきます。それを茹でた後、海老やハム、鶏ひき肉の入ったスープを入れて蒸します。蒸しあがったら少し残しておいたスープに片栗粉をいれてとろりとさせ上からかけます。切り取っておいた蓋は細工をして、本体のへりに入れた切れ込みにかみ合わせるようにします。

教室では、「はい、いたしましょう!」と母上が立ち上がり小さなナイフで緑の蓋に細工をします。その細工の菊の花のような美しさに歓声があがりました。蒸し上がると各々が中身を皿にとり、その後主がナイフでヘリを切って実を中に落とし、中身と混ぜて取り分けます。だんだん落としていき最後に底だけ残ります。

先生と母上とが優雅に取り分けてくださったその仕草がまだ目にうかびます。

中国出身の知人は、母方のお祖母様からこのお料理を作ってもらったとのこと。また、父方のお祖母様の冬瓜料理は春雨と冬瓜の煮物、そして干しエビの冬瓜スープ。私の作った冬瓜の丸蒸しは「冬瓜盅(とうがんちゅう)」または「佛跳墻」と書き広東料理だそうです。

野菜や果物もいけばなの花材として使いますが、冬瓜に関してはまだ作品にはしていません。お料理としての冬瓜の印象が強く、当分いけることはないと思います。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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