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朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」(七月)

caffe kigosai 投稿日:2020年8月17日 作成者: mitsue2020年8月17日

四ケ月ぶりの朝日カルチャーセンター「カフェきごさい」句会。激しい雨の午後、元気に2句座を囲みました。1句座目の兼題は6月のサイトより、季語「祇園祭」、花「合歓の花」、浪速の味「冷し飴」。2句座目は、席題「玉虫」「蠅叩き」です。

《第一句座》
【特選】
ほうたるこい蘇りたる山里へ  涼子

近年の豪雨は自然の豊かな土地ほど無残な爪痕を残していく。蛍はそのような土地、人々のまさに希望の光。言い古された「蛍来い」が、思いがあるからこその思いのこもった言葉となった。原句は「ほうたるこい蘇りたる里山へ」。

合歓の花のせて水路の水早し  勇美

中七から下五がまさに水の流れのような言葉の運びとなっている。「のせて」としたことで、合歓の花の様子が見えてくる。

雷鳥の子を呼ぶ声も霧に溶け  和子

山霧の動きはすばやい。晴れ晴れとした青空があっという間に白く覆われる。そんななか、子育て中の雷鳥の声だけが響く。「霧に溶け」が秀逸。

【入選】
登りきて浄土これありお花畑  和子

高山に登った人だけが目にすることができる「お花畠」。思わずこぼれた言葉が句になった。

涙する少女の睫毛ねむの花  涼子

芭蕉の眉掃きにはじまり、様々にたとえられる合歓の花。睫毛も読まれるが、「涙する」とまで言って新鮮。

ひとり立つ大向日葵の矜持かな  勇美

「矜持」という難い言葉がこの句では効いている。

旅の夜や旅のしをりの合歓の花  勇美

上五は要検討。原句は「旅の夜や旅のしをりに合歓の花」。

敷石のいきなり動く蜥蜴かな  涼子

石だと思ったら蜥蜴、少々無理があるが「いきなり」が蜥蜴らしい。

クロールの子の撒き散らす陽のかけら  勇美

「子の」がいらないか。「クロールの夏撒き散らす陽のかけら」などなど。

面高な京の男や祭笠  涼子

笠をかぶると丹精な顔が際立つ。原句は「面高な京の男の祭笠」。

鳥海山は水の塊合歓の花  光枝

《第二句座》
【特選】
玉虫やクレオパトラのやうな嫁  勇美

この嫁は恐ろしい、けど目が離せない。玉虫の底知れない力を感じさせる一句。

【入選】
蠅叩とんと見かけぬ家の蠅  涼子

蠅がいなければ叩きたくても叩けない。蠅叩きの本質。

はへたたき追ひかけつこの今もまだ  和子

なつかしさを感じさせるのが蠅叩きらしい。「蠅叩き追ひかけつこのまだつづき」。

思ひ出は蠅取りリボンのゆらぎかな  勇美

ここをスタートにして「思ひ出」をより大きくとらえてみる。「昭和てふ蠅取りリボンのゆらぎかな」などなど。

塵取に玉虫の玉ころがりぬ  光枝

カフェきごさい「ネット句会」8月 《互選》+《飛岡光枝選》

caffe kigosai 投稿日:2020年8月6日 作成者: mitsue2020年8月9日

連中=光尾・淳子・隆子・桂・裕子・弘道・南行・良子・すみえ・勇美・和子・雅子・都・光枝

(弘道選)
流燈会川は出合ひてまた離れ  雅子
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子
腹割つて語り尽くさん大西瓜  南行

(裕子選)
隕石や大山椒魚覚醒す  勇美
星空のなごり摘みけりブルーベリイ  勇美
月光に花の投網や烏瓜  桂

(桂選)
流燈会川は出合ひてまた離れ  雅子
腹割つて語り尽くさん大西瓜  南行
この国に紫蘇や茗荷や冷奴  雅子

(隆子選)
幻の大船鉾が波を切る  裕子
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子
うすれゆく母の記憶に敗戦日  裕子

(淳子選)
鳴き出してはやくたびれし蝉の声  光枝
月光に花の投網や烏瓜  桂
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子

(光尾選)
幽霊の日ありて梅雨の鏡かな  光枝
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子
あん蜜か葛切どちら京四条  弘道

(都選)
朝顔の蔓をみちびく声のあり  南行
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子
アフリカの美しかりし裸かな  隆子

(雅子選)
鳴き出してはやくたびれし蝉の声  光枝
花梯梧しるべに来たれ父祖の魂  隆子
アフリカの美しかりし裸かな  隆子

(和子選)
鳴き出してはやくたびれし蝉の声  光枝
腹割つて語り尽くさん大西瓜  南行
それぞれの行きたい方へ赤蜻蛉  良子

(勇美選)
月光に花の投網や烏瓜  桂
夏帽の父が駅まで来てをりし  良子
この国に紫蘇や茗荷や冷奴  桂

(すみえ選)
月光に花の投網や烏瓜  桂
花梯梧しるべに来たれ父祖の魂  隆子
この国に紫蘇や茗荷や冷奴  雅子

(良子選)
隕石や大山椒魚覚醒す  勇美
霧満ちぬ蛍袋の道しるべ  和子
腹割つて語り尽くさん大西瓜  南行

(南行選)
星空のなごり摘みけりブルーベリイ  勇美
水打つてさても一人の夕餉かな  雅子
月光に花の投網や烏瓜  桂

(飛岡光枝選)
【特選】
朝顔の蔓をみちびく声のあり  南行

朝顔の蔓を詠んだ句はたくさんありますが、蔓を導く声とは驚きました。そう言われれば確かに、何ものかに促されて蔓は伸びていくように思えます。断定して力強い一句となりました。

喧噪の去りて星降るプールかな  すみえ

リゾートのプールだと少し綺麗すぎるので、学校のプールがいいでしょうか。昼間の子どもたちの声がうそのような、宇宙と一体となった静けさを湛えた水の器。無理のない言葉の運びが真実を感じさせます。

月光に花の投網や烏瓜  桂

繊細なレース編みを思わせる烏瓜の花。あれは月の光を捕らえるために広げたものだったのかと、読むものの心にすっと入ってくる一句です。

サングラス去年までとは違ふ街  勇美

いい意味でも悪い意味でも一瞬にして世の中が変わって見える時があります。句は今年の災厄を詠んだものだと思いますが、そうでなくても通じる普遍性があります。

【入選】
霧満ちぬ蛍袋の道しるべ  和子

霧に濡れてゆれる蛍袋。「霧の山蛍袋を道しるべ」。

腹割つて語り尽くさん大西瓜  南行

西瓜のように大きなお腹が目に浮かぶ愉快な一句。腹を割っても一物などはなさそうです。

梅雨明けや痺れを切らしスイカ買ふ  光尾

梅雨が明けたのなら、痺れを切らしていたのは昨日までのこと。そして、買うだけではつまらない。「梅雨明けや待ちに待つたるスイカ食ぶ」。ちなみに「梅雨明け」は夏、「西瓜」は秋の季語です。

水打つてさても一人の夕餉かな  雅子

淡々として日々のくらしのよろしさ。

山鉾を建てる声なき京町屋  弘道

何があっても休まない山鉾巡行のはずなのに、無念さが滲みます。「山鉾を建てる声なき京の町」。「京町屋」では観光ポスターのようになってしまうので、なるべく普通の言葉を。

幻の大船鉾が波を切る  裕子

夏陽炎のごとき大船鉾の迫力。

郭公や水まんまんと石の甕  隆子

郭公の声が水の面に響くようです。

夏帽の父が駅まで来てをりし  良子

井上ひさしの戯曲「父と暮らせば」を思いました。「夏帽」が効いています。

この国に紫蘇や茗荷や冷奴  雅子

文句なく美味しそう。

うすれゆく母の記憶に敗戦日  裕子

思いの籠った一句ですが、「に」があまりにも説明的なのが惜しい。「敗戦日母の記憶のうすれゆく」。

カフェきごさい「ネット句会」8月 投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2020年8月1日 作成者: mitsue2020年8月1日

8月「ネット句会」の投句一覧です。以下から3句選び、このサイトのネット投句欄に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは8月3日(月)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選は4日にこのサイトにアップします。(飛岡光枝)

(投句一覧)

1 隕石や大山椒魚覚醒す
2 流燈会川は出合ひてまた離れ
3 雷の横から響く縦走路
4 幽霊の日ありて梅雨の鏡かな
5 夜の秋豆腐屋の水深みゆく
6 鳴き出してはやくたびれし蝉の声
7 霧満ちぬ蛍袋の道しるべ
8 腹割つて語り尽くさん大西瓜
9 風鈴や諍いながら和しながら
10 富士山に止まりて蝉の鳴きはじむ
11 梅雨明けや痺れを切らしスイカ買ふ
12 梅雨明けや大片付けの始まりぬ
13 朝顔や路地裏ばかり巡るツァー
14 朝顔の蔓をみちびく声のあり
15 青き空朝顔の花へ落ちてゆき
16 星空のなごり摘みけりブルーベリイ
17 水打つてさても一人の夕餉かな
18 水の上滑る心地や夜のプール
19 山鉾を建てる声なき京町屋
20 三段に甲羅干す亀梅雨明くる
21 咲ききって律義に仕舞ふ仏桑花
22 向日葵や漸く方向定まりぬ
23 幻の大船鉾が波を切る
24 幻の大船鉾が波を切る
25 喧騒の去りて星降るプールかな
26 月光に花の投網や烏瓜
27 郭公や水まんまんと石の甕
28 蚊柱の吠えられ右往左往かな
29 蚊柱の吠えられ右往左往かな
30 花梯梧しるべに来たれ父祖の魂
31 家の門断りなしに蜘蛛の網
32 夏帽の父が駅まで来てをりし
33 夏の空人間ドック無罪なり
34 遠花火シャンプーほのと匂ふ君
35 飲みごろの梅酒にひとり暑気払ひ
36 プールよりプールサイドの華やぎて
37 ひまわりを抱へて帰る面映ゆさ
38 それぞれの行きたい方へ赤蜻蛉
39 せせらぎの音もご馳走夏料理
40 サングラス去年までとは違ふ街
41 この国に紫蘇や茗荷や冷奴
42 うすれゆく母の記憶に敗戦日
43 うすれゆく母の記憶に敗戦日
44 あん密か葛切どちら京四条
45 アフリカの美しかりし裸かな

カフェきごさい「ネット句会」8月のご案内

caffe kigosai 投稿日:2020年7月26日 作成者: mitsue2020年7月26日

「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。このサイトの「ネット投句欄」より、7月31日までに3句を投句ください。8月1日中に投句一覧をアップしますので、8月3日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。サイトへ、参加者の互選と店長の選をアップいたします。8月は夏から秋への間の月です。今年の立秋は8月7日、まだ梅雨も明けないのに夏はどこ?という気持ちになりますが、この時期ならではの季節の移ろいに心を馳せてみては如何でしょうか。そして、8月は原爆忌、敗戦忌とつづく慰霊の月でもあります。(店長・飛岡光枝)

カフェネット投句(七月) 飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2020年7月22日 作成者: mitsue2020年7月24日

【入選】
湧き上がる吾が青春のビールかな  弘道

原句は「湧き上がる吾が青春の雲の峰」。きちんと出来ていますが、全体が「雲の峰」にすでに含まれている内容なのが残念です。ビールよりよい季語を探してみてください。

合歓の花さゆれて一日閉ぢにけり  涼子

一日の終わり、少し瞬きをして眠りにつく合歓の花。繊細な一句です。

駆け上がる雲たちまちに滝と落つ  和子

夏らしい勢いのある一句。ただ、雲が駆け上がるとは?どのような状況なのか、わかるようでわかりにくい。

黒百合や霧を纏ひてただ一人  和子

高山にひっそりと開く黒百合。

浪速の味 江戸の味(八月) 甘酒【江戸】

caffe kigosai 投稿日:2020年7月22日 作成者: mitsue2020年7月22日

東京都中央区、水天宮の参拝や明治座の観劇の客で賑わう人形町に「甘酒横丁」という名の通りがあります。明治の初め頃、横丁の入口に甘酒屋があったことが名前の由来とのことです。

江戸の町では甘酒は夏ばて防止の飲み物として親しまれ、てんびん棒で甘酒を売り歩く行商人の姿が絵図にも残っています。また、店を構えた甘酒屋も盛んでした。

その一軒が、千代田区神田明神の鳥居近くで今も甘酒を商っています。店の地下六メートルに設えた「室」で糀を製造し、昔ながらの製法で甘酒を作っています。

甘酒は蒸した米に糀を加え、一晩発酵させると出来上がることから「一夜酒」とも呼ばれ、夏の季語「甘酒」の傍題にもなっています。ちなみに、「三国一」は甘酒の異称ですが、それは三国一の富士山が一夜にしてできたという伝説からだそう。富士山由来か、甘酒には「白雪」という美しい名もあったようです。

神田明神の店では暑さが増す六月からは「氷甘酒」が人気です。湯気を立てる熱々の「甘酒」も、雪山のような「氷甘酒」も東京の夏に一服の涼を与えてくれます。

将門も舌焼きたまふ一夜酒  光枝

今月の花(八月) 蛍袋

caffe kigosai 投稿日:2020年7月19日 作成者: dvx223272020年7月19日

春のスノーフレークやおだまき、初夏の鈴蘭、そして晩夏の蛍袋。いずれも下を向いて咲き、その姿から可憐な雰囲気を醸し出す楚々とした花々です。その中でも蛍袋には、明るいイメージが加わるのはその名前からでしょうか。

蛍袋は、子供がとらえた蛍をいれたのでこの名前が付いたともいわれています。蛍の明りのイメージがこの花に、光による華やかさと灯りを通した透けるような軽さとを与えたのかもしれません。

釣鐘型の花はいよいよ夏も本番という頃、野山や、近頃では街でもちょっとした草むらで見かけるようになります。花はせいぜい4,5センチで先は5つにさけ、白 ピンク、濃い紅紫などがあります。

梅雨も終わりの頃咲くので雨降り花、提灯花、釣鐘草という名前もあります。釣鐘といえば 教会の鐘の形のようなカンパニュラという名の花があったと思う方もおいででしょう。カンパニュラはホタルブクロ属の属名です。ラテン語でベルを意味するので、日本の「ホタルブクロ」にも「campanula punctate」 というカンパニュラを頭につけた学名がつけられています。

花屋さんでカンパニュラといって売られている白やピンクや紫のたくさんの花をつけた花は、19世紀後半にヨーロッパから園芸種として入ってきた風鈴草と呼ばれるものかもしれません。背が高く作られるようになったこのカンパニュラ(Campanula medium)はもともと二年草です。

蛍袋は多年草で花は下から上に咲いていきます。毎夏のように行っていた山の小さな宿には、穂が出ていない薄の葉や桔梗と一緒に、蛍袋が小さな竹かごに無造作に生けられて床の間に置かれていた思い出があります。

街の花屋さんでは手に入らない蛍袋は、その宿に行く道の草むらでも見かけることができ、暑い都会からやっと到着した私たちを高原の風と共に迎えてくれたものです。今年も同じところに咲いて待っていてくれたみたいと言いながら、宿への無事の到着を喜んだことが何十年もたってよみがえってきました。

蛍袋の思い出が、ふっと灯ります。(光加)

今月の季語(八月)八月の果実

caffe kigosai 投稿日:2020年7月19日 作成者: dvx223272020年8月27日

今年の〈立秋〉は八月七日。毎年のことながら、やっと梅雨が明けたと思っているとすぐ〈秋〉になります。しかも今年の梅雨は冷え冷えしていましたから、〈暑中見舞〉は〈梅雨明〉のあと様子を見て、と思っていた人が多いのではないでしょうか。いきなり〈残暑見舞〉を書くつもりでいたほうがよいかもしれません。立秋過ぎには、どんなに暑さが厳しくても、秋の暑さ。〈残暑〉と呼ばれますから。

太陽はいつもまんまる秋暑し   三橋敏雄

とはいえ八月は世間では〈夏休み〉真っ只中。いつもとは勝手の違う今年ですが、夏休みシーズンではあります。八月は旧暦と新しいカレンダーとの狭間で悩み多き月といえましょう。

そこで今月は開き直ってテーマを「八月の果実」としてみました。八月に旬を迎える果実類をみていきましょう。

まず〈西瓜〉。野菜か果物かという問題はさておき、夏休みといえばこれでしょう。

風呂敷のうすくて西瓜まんまるし  右城暮石

まんまるな西瓜とは、今では懐かしいものの一つかもしれません。

他にも「瓜」のつく〈南瓜(かぼちゃ・なんきん)〉〈冬瓜(とうが・とうがん)〉〈糸瓜(へちま)〉〈苦瓜・ゴーヤ〉も旬を迎えます。同じ「瓜」でも〈胡瓜(きゅうり)〉の旬は早く、八月には種が目立ってきます。近年は品種改良によって、八月には八月の胡瓜が出回りますから、実感は薄いかもしれませんが。

〈桃〉も早生種が梅雨のころから出ていますが、当たりはずれなく甘くなるのはこのころでしょう。

ゆつくりと引けばめくるる桃の皮  岩田由美

〈葡萄〉は黒紫緑と種類が豊富。近頃は輸入の葡萄が春のころから棚に並びますが、国内産の葡萄の味が安定するのは、八月から十月といわれます。

黒きまで紫深き葡萄かな  正岡子規

熟すまえの葡萄は〈青葡萄〉、同じく〈青柿〉〈青胡桃〉などまだ食べられない時期の実を指す季語があります。独特な「青」を愛で、実りを待つ心といえましょうか。〈青林檎〉も季語の場合は種類ではなく、未熟な林檎を指します。時期を見計らえば〈青蜜柑〉同様、食べることができます。

空は太初の青さ妻より林檎うく  中村草田男

日々水に映りていろのきたる柿  宇佐美魚目

伊吹より風吹いてくる青蜜柑   飯田龍太

〈梨〉も多種多様に少しずつ時期をずらして出回ります。洋梨も市場に加わり、地味な印象は払拭されたのではないでしょうか。

勉強部屋覗くつもりの梨を?く   山田弘子

ラフランス裸婦ラフランス戴き頃  富田敏子

こうしてみてくると、〈西瓜〉と〈桃〉以外は、八月は出始めで、この先どんどん味がのってくるものばかりです。「八月の」として取り上げましたが、実は〈胡瓜〉のほかはすべて〈秋〉の季語。暑さは厳しいですが、やはり〈八月〉は秋の始まりといえそうです。

旅行をして目新しいものに出会うことは難しい今年ですが、腰を落ち着けて季節のうつろいを楽しんだり、惜しんだりしてみませんか。(正子)

カフェきごさい「ネット句会」(7月) 《互選》+《飛岡光枝選》

caffe kigosai 投稿日:2020年7月5日 作成者: mitsue2020年7月6日

《連中》守彦・涼子・良子・和子・粗笠・雅子・勇美・桂・都・すみえ・裕子・光尾・南行・隆子・弘道・光枝

(和子選)
けふ生きて大夕焼にお辞儀せん  都
塔の家いくつ聳えて月の島  粗笠
夕風を染めて盛りの合歓の花  勇美

(勇美選)
滴りや奥に地球の軋む音  和子
南天の花は銀河に雨しとど  南行
父の日や酔ふてをるかな雲の上  涼子

(涼子選)
いづこより甘き花の香夏至の雨  勇美
けふ生きて大夕焼にお辞儀せん  都
扇風機ひとりの刻を回るなり  良子

(裕子選)
初めての駅に降り立つ雲の峰  良子
琴線に触れてつせんの花揺るる  隆子
滴りや奥に地球の軋む音  和子

(すみえ選)
海亀や月の涙を砂の中  南行
断崖に鳥居の並ぶ晩夏かな  良子
馬鈴薯の花や峠に近き畑  光枝

(都選)
海亀や月のなみだを砂の中  南行
水鉢に水のあじさい夏の夢  雅子
梅雨茸しあはせの木に顔を出す  涼子

(光尾選)
滴りや奥に地球の軋む音  和子
南天の花は銀河に雨しとど  南行
本晒す中に父の一書あり  弘道

(南行選)
スカイプは初めて同士柿若葉  雅子
扇風機ひとりの夜を回るなり  良子
夜空へと海の中へと蚊帳の中  裕子

(雅子選)
縁側の籐椅子今日は猫のもの  桂
音立てて閉ぢる扇や一手打つ  すみえ
扇風機ひとりの夜を回るなり  良子

(桂選)
南天の花は銀河に雨しとど  南行
父の日は酔ふてをるかな雲の上  涼子
夜空へと海の中へと蚊帳の中  裕子

(隆子選)
馬鈴薯の花や峠に近き畑  光枝
父と子の最初の絆甲虫  桂
父の日や父あざやかに鰯裂く  雅子

(良子選)
音たてて閉ぢる扇や一手打つ  すみえ
江田島は海軍の魂雲の峰  都
老いてなほ人を恋ふるやさくらんぼ  桂

(弘道選)
音たてて閉ぢる扇や一手打つ  すみえ
馬鈴薯の花や峠に近き畑  光枝
老いてなほ人を恋ふるやさくらんぼ  桂

(飛岡光枝選)
【特選】
夜空へと海の中へと蚊帳潜る  裕子

蚊帳へ入る時の不思議な感覚は夏ならでは。原句は「夜空へと海の中へと蚊帳の中」ですが、この句の場合は動作をしっかりと表現することで、上五中七がより生きます。

滴りの奥に地球の軋む音  和子

自然界の恵みに触れながらも感じる地球の危うさ。互選でも多くの方が選ばれてけっこうと思います。原句は「滴りや奥に地球の軋む音」。切れの見極めを。

父の日や父あざやかに鰯裂く  雅子

父親の存在感をアピールするのはなかなか難しいようです。句のお父さんは釣り好きか料理好きか、手際の良さが目に浮かびます。ことばの運びも手際良くみごと。

黴取ればただの花瓶でありにけり  涼子

愉快な一句。古色蒼然とした花瓶、もしやお宝では?とたぬきの皮算用。花瓶にしてみればほっとかれてがっかりされてと散々であります。原句は「黴取ればただの花瓶でありしかな」。

【入選】
いづこより花の香るや夏至の雨  勇美

原句は「いづこより甘き花の香夏至の雨」。この句では「甘き」がない方がより花が香ります。

けふ生きて大夕焼にお辞儀せん  都

大自然に圧倒された時、人間の本音心が出るのかもしれません。「大」が効いています。

縁側の籐椅子今日は猫のもの  桂

「今日は」が要。これがないとただの報告。

久し振りうからやからと泥鰌鍋  守彦

「うからやから」のごちゃごちゃした感じが「泥鰌鍋」らしい。「久し振り!」と声かけあって。

琴線に触れてつせんの花開く  隆子

原句は「琴線に触れてつせんの花揺るる」。鉄線と琴線、微妙なところを上手に詠みましたが「揺るる」では甘い方に引っ張られすぎでしょうか。

虞美人草コクリコポピーひなげしと  光尾

ひなげしの様々な呼び名を詠み込んだ意欲作。あたかも蝶が花から花へめぐるような楽しい一句です。原句は「虞美人草コクリコポピーひなげしか」。

水鉢に白きあぢさゐ夏の夢  雅子

原句は「水鉢に水のあじさい夏の夢」。雰囲気はいいのですが、「水のあじさい」はこの句の場合少々強引でしょうか。旧かなご注意を。

扇風機ひとりの夜を回るなり  良子

ことばの運びが巧みでよく出来ています。ただ同様の発想の句はあるので今一歩前へ。

地平線めざし少年草いきれ  すみえ

原句は「地平線めざし少年夏野原」。「夏野原」ではめざしているわりには立ち止まってしまうので、せめて「夏野行く」ですが、これではただごと。「草いきれ」よりいい季語を探してみてください。

塔の家いくつ聳えて月の島  粗笠

月の光と塔の影と。イタリアの町を思いましたが、物語のなかの島のようでもあります。秋の句です。

南天の花や銀河に雨しとど  南行

ちらちらと咲く南天の花に銀河を思ったのでしょうか。原句は「南天の花は銀河に雨しとど」。

父と子の最初の仕事甲虫  桂

原句は「父と子の最初の絆甲虫」。「絆」はわかるようでわかりにくい、かつちょっと怪しい。

本晒す中に親父の一書あり  弘道

愛読書はその人の多くのことを伝えてくれます。親のことを驚くほど子は知らない。原句は「本晒す中に父の一書あり」。

カフェきごさい「ネット句会」(7月)投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2020年7月1日 作成者: mitsue2020年7月2日

【「ネット句会」ご参加のみなさま】
以下の投句一覧より3句を選び、投句と同じフォームに選んだ三句の番号と俳句を記入して送信ください。選句の締め切りは7月3日です。自分の句は残念ながら選べません。(光枝)

【投句一覧】

1 いづこより甘き花の香夏至の雨
2 けふ生きて大夕焼にお辞儀せん
3 スカイプは初めて同士柿若葉
4 はじめての駅に降り立つ雲の峰
5 ひと夏を袂に篭めて役者買い
6 卯の花や転入の子も慣れてきて
7 疫病と戦ふ白衣草いきれ
8 縁側の籐椅子今日は猫のもの
9 翁びと煙管ふかして夜店番
10 音たてて閉ぢる扇や一手打つ
11 夏至日蝕上がる歓声蒼き空
12 海亀や月のなみだを砂の中
13 帰ってきたね微笑みの海チングルマ
14 久し振りうからやからと泥鰌鍋
15 琴線に触れてつせんの花揺るる
16 金魚ひとつ泡もひとつや金玉糖
17 虞美人草コクリコポピーひなげしか
18 空手家と我が名呼ばれん青嵐
19 江田島は海軍の魂雲の峰
20 紫陽花に登校の子ら傘が揺れ
21 人類に試練の時や花樗
22 水鉢に水のあじさい夏の夢
23 扇風機ひとりの夜を回るなり
24 素麺に一筋紅き流れかな
25 惰眠からのらりくらりと穀象め
26 対岸へ蛍火一つまた一つ
27 断崖に鳥居の並ぶ晩夏かな
28 地平線めざし少年夏野原
29 滴りや奥に地球の軋む音
30 塔の家いくつ聳えて月の島
31 南天の花は銀河に雨しとど
32 蚤虱居ぬ世となりて昭和遠く
33 波浮の灯の見えそめしころ冷し酒
34 馬鈴薯の花や峠に近き畑
35 梅雨茸しあはせの木に顔を出す
36 晩夏なり焚火見つめて皆無口
37 父と子の最初の絆甲虫
38 父の日や酔ふてをるかな雲の上
39 父の日や父あざやかに鰯裂く
40 父の日を我忘れても子は集い
41 本晒す中に父の一書あり
42 夜空へと海の中へと蚊帳の中
43 夕焼や青田を染めて今日終る
44 夕風を染めて盛りの合歓の花
45 旅人となりて佇む夏山河
46 冷し飴幼なじみに笑くぼかな
47 老いてなほ人を恋ふるやさくらんぼ
48 黴取ればただの花瓶でありしかな

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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