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浪速の味 江戸の味 三月 【海苔・助六所縁花見弁当】(江戸)

caffe kigosai 投稿日:2021年2月21日 作成者: mitsue2021年2月21日

東京湾の海苔篊

私の両親はともに兵庫県の山間部出身で、子供のころは帰省のたびに「浅草海苔」を持って親戚を訪ねていました。昭和30年代後半のことです。

そのころの日本の食卓に海苔は欠かせないものでした。米をより美味しくしてくれるだけでなく、タンパク質、ビタミン、カルシウム、タウリンなどが豊富で食物繊維もとれる優秀な食品です。

海苔の採取は冬から春に行われます。11月から12月の早い時期に採れた「新海苔」は冬の季語、植物としての「海苔」や「海苔掻き」「海苔舟」「海苔干す」などの一連の作業は春の季語となっています。

日本人と海苔との付き合いは古く、平安時代の書物に早くも登場します。養殖されるようになったのは江戸時代中期とか。現在の東京都大田区大森から品川にかけての江戸湾で始まったといわれています。江戸期の海苔作業の様子は、冬から春の風物詩として多くの浮世絵に描かれています。

大森の良質な海苔は「御膳海苔」として将軍家に献上されました。海苔づくりの技術は江戸時代後期に各地に広まり、江戸前海苔の旨さは「浅草海苔」の名で全国に知られるようになりました。

大森周辺は明治から昭和初期にかけて日本一の生産地になりましたが、昭和30年代には東京湾の水質が悪化。埋め立て計画も浮上して、大森漁業協同組合は漁業権を放棄。250年続いた大森の海苔づくりは、昭和38年春をもって終りを迎えました。しかし現在でも大森には50軒ほどの海苔問屋があり、全国から集まる海苔の目利きとしての役割をはたしています。

「海苔巻き」と「稲荷寿司」の詰め合わせを「助六寿司」と呼ぶようになったのは江戸時代中期とのこと。稲荷寿司の油揚げの「揚げ」と海苔巻きの「巻き」を、歌舞伎十八番「助六所縁江戸桜」に登場する花魁「揚巻」にひっかけたわけです。なんとも江戸っ子らしい洒落ですね。

昨年はお預けだった賑やかなお花見、今年は花の下で「助六寿司」でもつまみながら楽しみたいものです。(光枝)

深々と海苔の眠るや銀の缶  光枝

今月の季語(三月)朝桜・夕桜・夜桜

caffe kigosai 投稿日:2021年2月19日 作成者: masako2021年2月21日

先月の「花を待つ」は引き続き有効な時期ながら、今月は時計を先へ進め、一日の時系列に沿って桜の季語を追ってみましょう。

〈桜/花〉とのみあれば、ふつうは昼間の桜を指します。

木のもとに汁も鱠も桜かな    芭蕉

生涯を恋にかけたる桜かな    鈴木真砂女

谷川の音天にある桜かな     石原八束

芭蕉の句の汁や鱠は花見の宴のメニューでしょうか。花びらが盛大に散り込むさまでしょう。見えていますから、夜桜ではありません。真砂女の恋はいわゆる不倫の恋でしたが、このすがすがしさはどうでしょう。桜の背景は青空である気がします。八束の句は聴覚から始まりますが、天へ視覚が移って広がります。眩しさを感じませんか?

もう勤めなくてもいいと桜咲く  今瀬剛一

退職前には勤めに励んでいた真昼間に花の下をぶらつきながら、とも、忙しなく出かけなくてよくなった朝の出勤時間帯に、とも解せます。夕桜や夜桜でないことは確かでしょう(むろん勤めの種類にもよりますが、今瀬氏は教職にあった方です)。

仄暗き昼を桜に逢わんとす     津沢マサ子

「昼」と明示されている珍しい例です。昼間だけれど仄暗さ(後ろめたさ?)があることを伝えています。

冒頭で「ふつうは」としましたが、作者からの指定の有無にかかわらず、適った読み方を読者のほうで選び取ることができる、と言ってもよいかもしれません。

ではこの句はどうでしょう。

命終の色朝ざくら夕ざくら     小出秋光

なんとこの句は朝と夕の限定指定です。夜や闇の桜では駄目なのは(付きすぎでもありますが)、斜めに差してくる光が必要なのかもしれません。

朝ざくら家族の数の卵割り     片山由美子

夕桜家ある人はとくかへる     一茶

家族が揃って朝食をとり、夕方になれば家路を急ぐ、オーソドックスな習慣を前提とした二句です。一茶のほうは、家族をつくる前の句でしょう。家族持ちはさっさと帰り、残るのは自分をはじめ独り者ばかり、と拗ねているようです。

夜桜やうらわかき月本郷に     石田波郷

想像のつく夜桜を見に来たわ    池田澄子

波郷は月の出まで本郷に過ごし、文字通り夜の桜を見るに到ったのでしょう。澄子のほうは、夜桜見物にくりだしたようです。〈夜桜〉を夜の花見の意で使うときには生活の季語となります。

押入に使はぬ枕さくらの夜     桂 信子

その枕を使うひとの不在を詠んだ句でしょう。桜は必ずしも視覚で捉えていなくてもよさそうです。「夜桜」と「桜の夜」は同義ではありません。ポイントを押さえて使い分けましょう。(正子)

 

 

今月の花(三月) 花桃

caffe kigosai 投稿日:2021年2月19日 作成者: koka2021年2月19日

五節句の一つ、桃の節句に用いられる花桃は園芸種で八重咲です。

華やかでぽってりとしたピンクの花はお雛様を飾り付けた緋毛氈のひな壇によく映えます。生産地では桃の節句をめがけ切り出した後黒いビニールに包み、蕾の膨らみ具合を見ながらバケツの水につけて出荷を待ちます。

何で黒いビニールで?という問いに、花屋さんの2代目の社長は、葉が出るのを極力遅くするため光をあてないように調整すると話してくれました。

日本人の感性には、待ちかねた春の陽をうけていかにも暖かそうなあの桃色やコロンとした蕾のかたちを目立たせるためには、葉が出てしまってはこの花独特の雰囲気がそがれてしまうと感じるのでしょうか。

細い紐でところどころ縛られた花桃の枝の束は、上から下、または下から上に順番に鋏をいれて紐を切っていきます。その時もう一方の手でしっかりと束の先を持ち、枝が跳ねて蕾や花を散らしてしまうのを防ぎます。

稽古でいける際、枝を曲げて使おうとするとぽろぽろとおちてしまうため、桃の節句のお稽古は花桃は使わず持ち帰ります、というベテランの生徒さんもいるほどです。

花桃は紅色や薄紅色の他、白い花桃もあり、大きな八重咲で「寒白(関白)」と呼ばれる江戸時代から知られる種類もあります。花弁の白は清々しく、薔薇やストック、スイートピー、ラナンキュラスのような洋花でも、菊や菜の花などの和花の色にも合い、相手を引き立ててくれます。

またピンクの細い花びらがたくさんついて一輪となる菊の花のような菊桃もあります。源平咲きといわれる桃は、濃いピンクと白、時には白い花びら一枚にピンク色が混じるなど、これらが同じ枝に咲き揃い、しだれ咲きの場合などは美しい合戦をしているように賑やかです。

弥生時代の遺跡から見つかった実桃の種もあり、奈良時代には鑑賞用として花が飾られたという桃ですが、それは近頃のように華やかな園芸種ではないでしょう。桃は中国から渡来と言われていますが、もともと日本に自生していた桃もあったのではという説もあり桃の花に魅せられる日本人は今も変わりません。

花屋さんの社長によると、売られている花のピンクが少し紫色がかってくると陽にあたってしまった証拠で葉が出始め、花が長持ちしないかもしれずご用心ということでした。念のため。(光加)

カフェきごさい「ネット句会」2月 互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年2月8日 作成者: mitsue2021年2月11日

(連中)
桂 裕子 和子 都 涼子 雅子 すみえ 良子 勇美 弘道 昌子 隆子 光尾 ひろ女 光枝

桂選
麦踏のはるかな記憶足裏に  都
豆食うて心の鬼をやらひけり  雅子
濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

裕子選
六段の調べをくぐり初湯かな  ひろ女
糸繰るや野良の風音春近し  すみえ
大いなる風車がまはす初御空  勇美

和子選
嶺越しの風はつめたし蕪蒸  隆子
古井戸の底にちひさく春の空  勇美
新しき遥けき旅よ初日記  雅子

都選
命あまた抱きしづかや池の春  昌子
何があるわけでもなくて手帳買ふ  光尾
地回りの猫大あくひ春隣  光尾

涼子選
臘梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子
距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

雅子選
八ツ目鰻のけむり頼もし初不動  光枝
命あまた抱きしづかや池の春  昌子
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝

すみえ選
六段の調べをくぐり初湯かな  ひろ女
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
春蘭や地震の記憶を新たにす  昌子

良子選
佐保姫に案内を請うて梅探る  都
声高く見得切る童初芝居  和子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

勇美選
地回りの猫大あくび春隣  光尾
熱燗やくさぐさの夢溶かしけり  弘道
濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

弘道選
糸繰るや野良の風音春近し  すみえ
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子

昌子選
日本の闇の深さや鬼やらひ  光枝
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
大いなる風車がまはす初御空  勇美

隆子選
臘梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子
距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子
水仙や村の外れの診療所  良子

光尾選
八ツ目鰻のけむり頼もし初不動  光枝
冬満月残して受験の旅に立つ  弘道
時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ  桂

ひろ女選
ふるさとは雪解雫の音の中  裕子
日脚伸ぶ都電の駅の甘味茶屋  良子
時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ  桂

(飛岡光枝選)
【特選】
命あまた抱きてしづか春の池  昌子

冬から目覚めんとしている早春の池の息遣いをとらえました。原句は「命あまた抱きしづかや池の春」。より池(水)へ集約する作りを考えてみましょう。

風花や丸き背中を見送りぬ  裕子

両親や恩師など思いのある年配の方との別れでしょうか。季語の「風花」に思いの深さが感じられます。

大いなる風車がまはす初御空  勇美

句の内容と合った大柄な作りが気持ちよく新年の句として上々。この作者らしい大らかな一句です。

【入選】
麦踏やはるかな記憶足裏に  都

人類の記憶としての麦踏、大きな句となりました。原句は「麦踏のはるかな記憶足裏に」。

寒餅を搗き伝来の臼洗う  弘道

餅ではなく「寒餅」でしっかりした句になりました。「洗ふ」。

糸を繰る野良の風音春ちかし  すみえ

原句は「糸繰るや」。句の内容に合うようにゆるやかな調べを。

地ふぶきや飲屋横丁軒寄せて  すみえ

北国の生活が見えてくる一句。句の姿もしっかりしています。

蝋梅や狭き木橋を譲り合ひ  良子

小さな流れに春を呼ぶ蝋梅。蝋梅の楚々とした様子と「譲り合ひ」が呼応します。

みづうみに潮のかをり蒸鰈  隆子

蒸鰈はその色も形もとても上品。句は蒸鰈が海を恋うかのような風情。

何があるわけでもなくて手帖買ふ  光尾

「手帖買ふ」は歳時記では「日記買ふ」に当たるかと思いますが、日記とはまた別な新年への思いがあります。

春隣地回りの猫大あくび  光尾

「地回り」の一語でこの猫の風貌が伺える愉快な句。原句は「地回りの猫大あくび春隣」。散文からの脱却を。

歌留多とり親子三代顔揃へ  和子

しっかり出来ていますが、少々型通り感あり。例えば「歌留多とり親子三代顔違ふ」などなど展開を。

湯気立ててすべらんうどん梅八分  隆子

「八分」が上手い。すべらなかったのか、どうか、微妙!?

距離をとる人ゐなけれど七日粥  雅子

自由が嬉しいような少し寂しいような、七日粥のやさしい味のなか。

宇宙より金継のごと初日の出  ひろ女

太陽の軌跡を神の目で眺めているような大きな初日の出。新年の心意気を感じる一句。こんな茶碗がほしいです。

濃き闇の動く気配や豆を打つ  裕子

節分に闇の句は数多ありますが、闇が動くと詠んで新鮮。

室の花一輪咲きぬありがたう  涼子

やっと咲いた一輪に思わず出たことば。

日脚伸ぶ都電の駅に甘味茶屋  良子

原句は「日脚伸ぶ都電の駅の甘味茶屋」。「の」と「に」の一字の違い肝要。

時計屋の時間まちまち日脚伸ぶ  桂

原句は「時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ」。よく詠まれる題材だけにより緊密に。

2月の「カフェきごさい ネット句会」は新年らしい心のこもったよい句が多くありました。次回は春爛漫の4月の句会です。力作をお待ちしています。(店長・飛岡光枝)

カフェきごさい「ネット句会」(2月) 投句一覧

caffe kigosai 投稿日:2021年2月1日 作成者: mitsue2021年2月2日

2月「ネット句会」の投句一覧です。以下の【投句一覧】から3句を選び、このサイトのネット投句欄に番号と俳句を記入して送信してください。選句締め切りは2月4日(木)です。みなさんの選と店長(飛岡光枝)の選はこのサイトにアップします。

【投句一覧】
1 六段の調べをくぐり初湯かな
2 佐保姫に案内を請うて梅探る
3 麦踏のはるかな記憶足裏に
4 豆食うて心の鬼をやらひけり
5 琴爪は生田流なり初稽古
6 寒餅を搗き伝来の臼洗う
7 糸繰るや野良の風音春ちかし
8 呆然と大野火見つむ女かな
9 八ツ目鰻のけむり頼もし初不動
10 命あまた抱きしづかや池の春
11 地ふぶきや飲屋横丁軒寄せて
12 嶺越しの風はつめたし蕪蒸
13 冬満月残して受験の旅に発つ
14 臘梅や狭き木橋を譲り合ひ
15 雪だるま蹴散らす幼な目に涙
16 みづうみに潮のかをり蒸鰈
17 片っぽの手袋拾い垣に掛け
18 古井戸の底にちひさく春の空
19 何があるわけでもなくて手帳買ふ
20 日本の闇の深さや鬼やらひ
21 地回りの猫大あくび春隣
22 風花や丸き背中を見送りぬ
23 富士やつと秀麗な富士雪化粧
24 年玉や子供はみんな宝物
25 ふるさとは雪解雫の音の中
26 歌留多とり親子三代顔揃へ
27 湯気立ててすべらんうどん梅八分
28 距離をとる人ゐなけれど七日粥
29 大目玉鰯の頭挿しにけり
30 宇宙より金継ぎのごと初日の出
31 熱燗やくさぐさの夢溶かしけり
32 水仙や村の外れの診療所
33 ランチタイム芝生に集ふ緑の日
34 大いなる風車がまはす初御空
35 シロフォンの拙き調べチューリップ
36 新しき遥けき旅よ初日記
37 濃き闇の動く気配や豆を打つ
38 声高く見得切る童初芝居
39 室の花一輪咲きぬありがたう
40 春蘭や地震の記憶を新たにす
41 探梅の山路ひらけて海ひかる
42 一面の霜白菊と紛ふかに
43 早梅の彼方にきらり青き海
44 日脚伸ぶ都電の駅の甘味茶屋
45 時計屋の時計まちまち日脚伸ぶ

カフェきごさい「ネット句会」2月のお知らせ

caffe kigosai 投稿日:2021年1月28日 作成者: mitsue2021年1月28日

カフェきごさい「ネット句会」は、どなたでも参加自由です。2月の句会の投句締切りは1月31日(日)です。このサイトの「ネット投句欄」より、1月31日までに3句を投句ください。2月1日中にサイトへ投句一覧をアップしますので、2月4日までに参加者は3句を選び、投句と同じ方法で選句をお送りください。サイトへ、参加者の互選と店長・飛岡光枝の選をアップいたします。初ネット句会、どうぞ奮ってご参加ください。(店長・飛岡光枝)

カフェネット投句(一月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2021年1月27日 作成者: mitsue2021年1月28日

【特選】
羽子板を抱え番待つ女の子  弘道

お姉さん達の様子をじっと見ながら、自分の番を大人しく待つ女の子が可憐。「抱へ」。

【入選】
松立ててこれぞ日本のビルとなり  涼子

時代が移っても門松を欠かさない日本の正月。ビルの門松を詠んだ句は新鮮。原句は「松立てて日本のビルとなりにけり」。

残りたる隅の五万米と目が合ひぬ  涼子

おせち料理のなかでもごまめは残りやすいもの。目が合うが愉快。正月が過ぎた感がよく出た。

七草粥野の香かぐはし御代りす  涼子

美味しそうな一句。原句は「七草やかぐはし野の香おかはりす」。

親子猿肩寄せ合ひて吹雪中  和子

真っ白くひとつになっている猿の親子。原句は「親子猿肩寄せ合ひて雪の中」。

包丁を研いでをとこの初料理  弘道

原句は「包丁をすつきり研いで初料理」。「すつきり」がわかりにくく、「初料理」だけでは全体がぼんやりしてしまう。

朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」十二月

caffe kigosai 投稿日:2021年1月27日 作成者: mitsue2021年1月27日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。今月の兼題はサイト「カフェきごさい」より十二月の季語「極月」、花「冬桜」、江戸の味「牛鍋」です。(光枝)

【特選】
再会をまづは書き入れ初暦  勇美

年賀状によく書き入れることば「今年こそはお会いしましょう」。ある時期によいお付き合いをした方に伝えられる一言で、年賀状の良さの一つ。句は具体的に約束ができるお付き合い。「いつか」はなかなか来ないことがわかったコロナ禍、より心に響く。

よく晴れて富士を遠くになづな粥  守彦

正月の句はこのように目出度さが第一。「富士を遠く」がいい。そして、よくぞ「なづな粥」。これが「雑煮餅」などだととたんに色褪せる。

【入選】
鋤焼や過ぎし良き日の音がする  和子

すき焼きは音もご馳走。「過ぎし良き日」がもう少し具体的だとより思いが伝わる。

極月や癌の奪ひし友の笑み  和子

気持ちがおかされてしまうのが病の怖さ。「極月や癌が奪ひし友の笑み」。

冬晴や遺書も葬儀も何もなし  弘道

「冬晴」の明るさがいい。

木星に土星寄りそふ冬至かな  涼子

天体の動きをそのまま一句に。「寄りそふ」が冬至らしい。

下町の足元吹くや空つ風  守彦

「下町の足元」が秀逸。気持ちのよい空つ風。

掌に惑星みつぶ竜の玉  勇美

「みつぶ」が消化不良の感あり。

ゆつくりと冬至南瓜をいとこ煮に  涼子

「ゆつくりと」がいい。同じ作者の「木星に」の句の「寄りそふ」同様、ことばの風合いを大切にしている。

兄よりの足二本欠く松葉蟹  弘道

気が置けない方よりの到来もの。「兄より」は少々うるさいか。喜びに焦点を当てたい「届きけり足二本欠く松葉蟹」。

一本のほうと日を吐く冬桜  光枝

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浪速の味 江戸の味 二月【すべらんうどん】浪速

caffe kigosai 投稿日:2021年1月20日 作成者: youko2021年1月31日

梅の花が咲き始めると受験シーズンが始まります。寒い中、可憐な花を咲かせる梅の健気さに励まされます。

コロナ禍で緊急事態宣言が出されるという不安な状況の中、マスクをつけて受験する姿がニュースで報道されています。受験は人生の試練の一つと言ってもいいくらい緊張するものですが、今年はさらに感染対策も必要となり、受験生のストレスはいかばかりかと心配になります。志望校への合格を祈るばかりです。

学問の神様として菅原道真をまつる大阪天満宮にも、多くの受験生が合格祈願に訪れます。天満宮の境内の北側に星合池があり、そのほとりに茶寮があります。お参りをしたあと、茶寮でうどんを食べ暖をとります。そこで出されているのが「すべらんうどん」です。

合格祈願に来ているのに、食べたうどんが箸からすべり落ちてはいけないというので考案されました。こしのあるうどんに箸を差し込む切れ目が入っているので、決してうどんがすべり落ちることはありません。ゲン担ぎと言われればそうかもしれませんが、大阪弁の「すべらん」には受験生への応援が込められています。合格めざしてがんばってください。

梅の花すべらんうどんに願ひ込め   洋子

今月の花(二月) 連翹

caffe kigosai 投稿日:2021年1月19日 作成者: koka2021年1月19日

春を告げる花木(かぼく)を一月にいけるのなら、私は瑞々しい黄色の花をつける花木からいけたいのです。黄色の花をつける花木なら年末にも蝋梅がありました。しかし年が変わるともう花屋からは消えています。

新しい年に待ってました、とばかり店先に現れるのがまず連翹、次に山茱萸 万作 と続きます。中国原産といわれているモクセイ科の連翹は、葉の出る前に先が四つにわかれた2~3センチの黄色の花をつけます。木の高さは2~4メートルほどになり、枝が地に着くとそこからまた根が出るほどの生命力を誇ります。

連翹の「翹」という字は雉の羽を意味しますが、その中でも尾羽をさし連翹の弧を描く線が思いだされます。種類は多く、チョウセンレンギョウは緩く湾曲しますが シナレンギョウは枝が立ちぎみです。ヤマトレンギョウ、小豆島レンギョウなどは日本特産のものですが花の付き方はよくないようです。今日本で私たちが見かける鮮やかな黄色のレンギョウは交配による園芸種が多いと聞きました。

連翹には連翹空木という別名があります。枝の節のところは固いのですが、枝の中の髄は空洞となるので空木という名前が付け加えられるのでしょう。いけばなのクラスで生徒さんに「この枝はためられますか?」と聞かれるのですが、自分で矯めてみては?ということにしています。曲げようとすると「ぽきっ」と折れてしまうこともしばしば。花材はそのままを生かした方がいいものもあると手が学習をするのです。

ゴールデンベルという英名を持つ連翹は、世界中多くの場所で見ることができます。冬のヘルシンキ、車から降り雪の上を足元に気を付けながら着いた花市場。市場の中も寒く思わず襟をすくめたのですが、花々の並ぶ隅に数本の連翹の花の鮮やかな黄色を見つけた時、一瞬寒さを忘れさせてくれました。

日本への渡来は江戸時代とも平安時代初期ともいわれています。春はあけぼの、やうやう明けゆく中にーーその時この連翹があったら清少納言は紫たなびく雲から目を転じると、すぐそこに黄色の花が咲いていることに気が付いたでしょうか。(光加)

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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