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朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」四月

caffe kigosai 投稿日:2022年5月25日 作成者: mitsue2022年5月25日

新宿朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。四月の兼題はサイトより、今月の季語「鳥の巣」、花「ユーカリ」、江戸の味「桜えび」です。

【特選】
桜えび朝日におどる天日干し  裕子

広い干場に桜海老を撒いていく様子。「朝日におどる」が新鮮な桜海老を思わせます。原句は「桜えび朝日におどり天日干し」。

桜海老煎餅割つて飛び出さん  和子

桜海老を焼き込んだ香ばしい煎餅。煎餅から飛び出さんばかりの桜海老とは美味しそうです。原句は「割りて」ですが、「割つて」の勢いがほしいところです。

【入選】
君待てば天道虫がブローチに  勇美

初々しい恋心。天道虫がブローチのようだという発想はあるので、より普遍的に詠みたい。「君待てば天道虫が胸の上」など。

巣箱揺るる砲声二発湖の上  和子

砲声が巣箱を揺らすようだという発想は新鮮ですが、色々入れ込んで句がごちゃついてしまったのが残念。自分が何を言いたいのかに焦点を当てたい。「一発の砲声に揺れ巣箱かな」など。

ユーカリの風をはらむやサンシェード  勇美

「ユーカリの風」が涼し気です。

春スキー滑り下りれば花の里  和子

雪の山から花の里へ、一気に変わる風景は春スキーならではです。「花の里」が少々平凡なので、より印象的な情景でよりダイナミックな一句にしたいところ。「春スキー滑り下りれば桃源郷」など。

ユーカリの香り纏ひて山の道  和子

ユーカリの香りに洗われるよう。

新材で競ふ個性や鴉の巣  勇美

ハンガーなど様々な素材を集めて巣を作る、都会の鴉ならではの愉快な一句。新材を具体的なものにしてもより楽しくなるか。

富士山のすそ長々と桜えび  光枝

浪速の味 江戸の味(六月) 飛魚のくさや〈江戸〉

caffe kigosai 投稿日:2022年5月23日 作成者: mitsue2022年5月23日

飛魚のくさや

夏の季語「飛魚」は季節回遊魚で、春先から夏にかけて日本付近へ北上し産卵します。世界で五十種ほどいるうちの三十種ほどが日本近海で確認され、各地で食料として親しまれています。

飛魚の特徴は何と言っても大きく発達した胸ビレでの滑空です。シイラなどの捕食から逃げるため、海面から2メートルくらい上を100~300メートルも飛び続けることができるそうです。沖縄で離島へ渡る途中、船の前を翔び続ける姿に驚いたことがあります。

この飛魚を、東京都の伊豆諸島、特に新島、八丈島などでは古くから「くさや」と呼ぶ干物に加工しています。江戸時代には献上品とされていたそうです。

「くさや」は、開いた魚を「くさや液」に八~二十時間ほど浸けてから水で洗い天日に干して作ります。当初、塩水に浸けた魚を干していましたが、塩が貴重なため、使った塩水を捨てずに塩を足して使ううち、液中に溶けた魚の成分に微生物が作用して「くさや液」が出来たとされています。

「くさや」はその名の通り、独特の匂いがあり好き嫌いが分かれる干物です。「くさや液」によって発酵した魚の独特のうま味は、ご飯のおかずや酒の肴として好む人も多く、八丈島では冠婚葬祭の席には欠かせないそうです。

私の両親は関西出身で、亡くなるまで納豆を口にしなかった父に対して、母は納豆も「くさや」も大好物です。台所で「くさや」を焼くと匂いが家中に漂ってきたのを思い出します。現在の都会では家庭で「くさや」を焼くのは少々難しいかもしれません。

夏の扉つぎつぎ開き飛魚とぶ 光枝 

今月の花(六月)芍薬

caffe kigosai 投稿日:2022年5月20日 作成者: koka2022年5月21日

この二枚の写真は、ここ数年、店先に出まわってきた私のお気に入りの芍薬です。咲き始めは鮮やかなオレンジ色ですが、右の写真にあるように散り際は白に近くなっていきます。

手にいれた時、ころんとした小さな蕾は濃いサーモンピンクでした。名前は「コーラルNゴールド」と呼ばれるようで、命名した人は花にコーラル(サンゴ)の色を重ね合わせたのでしょう。

花屋さんでは、今は一重咲きのほうが見かける機会が少なくなりました。何十枚もの花弁を持つ、それぞれ翁咲き、手毬咲き、冠咲き、バラ咲き、などと呼ばれて美しさを競っています。以前、薄クリーム色の芍薬をいけたことがあり、開いた花をのぞき込むと底は臙脂色でした。

同じボタン科の牡丹との違いは、芍薬は草本性であるのに対し牡丹は木本性です。英語で芍薬をChinese peony というのに対して牡丹はtree peony、木のpeonyです。

芍薬の葉は濃い目の緑で切れ目があり、やや光沢のあるしっかりとした大きめな葉がまっすぐな茎の基部についています。その茎のすっとした姿を見れば、美しい女性を指して(立てば芍薬)という一節が生まれたのも納得です。

芍薬は(薬)の字がさすように現在でも漢方薬にもちいられています。見てよし、役にもたつ芍薬です。

今の芍薬は大陸から渡ってきたもので、人々の目を楽しませたのは安土桃山時代にさかのぼるといわれています。観賞用として江戸時代には園芸品種がたくさん作られ、やがて数百種にもなっていきます。ヨーロッパにあった芍薬も、中国からの芍薬が入ると一気に豪華な芍薬へと次々と品種改良がされ、日本に逆輸入されます。

おしべが花弁へと化した、数十枚以上ある花びらをもつ花を「西欧芍薬」、これに対してもともと日本にあった芍薬を「和芍薬」と区別して呼びます。

「洋しゃく」と呼ばれるたっぷりとした美しさはもちろん素晴らしいですが、日本に自生する「やましゃくやく」の楚々とした姿にも惹かれます。本州の西の山の中で見られる、白い花弁がわずか六枚の可憐な芍薬をこの季節のうちにいけてみたいものです。

根元を割って水の中に入れれば水上りもよくなり、思っているより長く楽しめる芍薬。一輪でもぜひ近くにおいてみてください。花屋さんでもこの時期、濃いピンク、薄いピンク、白などの芍薬をどれにしようか迷うほど見かけます。部屋に置いておくと雨の日など香りもかすかにしてきて、パソコンに向かう間もどこかゆったりとした気分になってきます。薬にもなる芍薬、心の鎮静剤としてもおすすめです。(光加)

今月の季語(6月)梅の実

caffe kigosai 投稿日:2022年5月19日 作成者: masako2022年5月22日

今年の二月のテーマは「梅」でした。二月は当然のことながら梅の花の句を読みました。俳句では「梅」のみで「梅の花」を指します。

小さな青い実に気付くのは立夏のころでしょうか。そのころの梅の木は青々として夏木の様相。葉隠れにぽっちりした実を見つけると、なにやら再会の心持ちになります。桜と異なり、梅には花のあとを愛でる習慣が無く、残花、桜蘂降る、余花、葉桜にあたる季語もありませんから。

うれしきは葉がくれ梅の一つかな    杜国

杜国は芭蕉の弟子です。こういう句を見つけると江戸時代を近く感じませんか。「実」の語はありませんが、花は葉隠れにはなりませんから、梅の実のこととわかります。

基本的には「梅」=梅の花であり、春の季語です。実を示すときには「梅の実」とします。

青梅に今日くれなゐのはしりかな    飴山 實

「青梅」と色を指定する季語もあります。熟す前の若い緑色の、つまむと硬い実のことです。昨日まで青かっただけの実に、今日はさっと紅色が刷かれていたのです。實はその鮮やかさに目を奪われています。

牛の顔大いなるとき実梅落つ   石田波郷

この実は熟しきって自ら落ちた気がします。実梅=梅の実ですが、黄熟して香を放つようになった実を指すことが多いです。

遠縁といふ男来て梅落とす    廣瀬直人

男が落とす実は青梅か、硬さの残る実梅でしょう。売るためにはもちろん、「梅仕事」をするにも熟しきってしまうと処理がしづらくなります。

梅の実はそのまま食すことはまずありませんが、漬けたり煮たりの処理を施して保存食にします。これを世間一般には「梅仕事」と呼び、この時期の料理記事にはこの三文字が頻出します。

青梅も実梅も植物の季語ですが、収穫から先は人が為すことですから生活の季語となります。

青梅はまず「梅酒」にしましょうか。夏の清涼飲料の意味合いでもって、熟成した梅酒も夏の季語となります。

とろとろと梅酒の琥珀澄み来る   石塚友二

さらに熟した実は「梅干」にしましょう。塩漬けにし、赤紫蘇を加え、土用のころの強い日差しに干し上げます。三日三晩の土用干というように、夜も続けて干すことがあります。

梅干して人は日陰にかくれけり   中村汀女

動くたび干梅匂う夜の家      鈴木六林男

ジャムを作ったり、エキスを抽出してジュースにしたり、梅の実の使い道はさまざまです。試しに何か作ってみませんか? (正子)

朝日カルチャー「カフェきごさい句会」三月

caffe kigosai 投稿日:2022年4月28日 作成者: mitsue2022年4月28日

新宿の朝日カルチャーセンター「カフェきごさい句会」。三月の兼題はサイトより、今月の季語「万朶の桜」、花「スイートピー」、浪速の味「雛あられ」です。

【特選】
転んでも離さぬ袋雛あられ  裕子

たぶんこの子は泣きべそをかいていることでしょう。でも手の雛あられはしっかりと握って。「雛あられ」の明るさで悲惨(!)な状況も明るい一句となりました。大人になった時には毎年ひな祭りの笑い話になることでしょう。原句は「転びても離さぬ袋雛あられ」。

交差する光と影やつばくらめ  勇美

燕の直線的な飛翔の様子を光と影で言い留めました。交差する光の句はよくありますが「影」とまで踏み込んで鋭い一句となりました。原句は「交差する光と影のつばくらめ」。

【入選】
飛び込まん遥かな空へ春スキー  和子

春スキーの明るさ、解放感が感じられます。「飛び込まん」を上五に置くことで句全体に勢いと動きがでました。

息吹けばスイートピーの蝶ゆれる  裕子

スイートピーを蝶に例えた句はたくさんありますが、「スイートピーの蝶」と言い切ったところがいい。原句は「ふとふけばスイートピーの蝶ゆれる」。

舟一艘浮かぶ湖風光る  和子

舟に焦点を当てるこどで、しんとした早春の湖の様子が思い浮かびますが、季語「風光る」のいきいきしたものが感じられないのが残念です。

千代紙の器を折つて雛あられ  勇美

小さな器に入れた小さな雛あられ。雛祭りを楽しむ心が感じられる一句です。原句は「千代紙の器を折らむ雛あられ」。より生き生きと詠みましょう。

ちり紙に包んでもらふ雛あられ  光枝

カフェきごさい「ネット投句」(四月)飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2022年4月24日 作成者: mitsue2022年4月26日

【入選】
囀りや海鳴りの中溶けてゆく  和子

絶え間ない海鳴りに呼応する春の喜び。原句は「囀りや海鳴りの中に溶けてゆき」。説明の「に」に注意。

鳥の巣や首の据わらぬ赤子抱き  裕子

まだ首の据わらない赤ん坊と羽も生え揃わない雛。同じようなものを並べただけではない、命への独特のアプローチが感じられます。

ユーカリの木漏れ日まぶし歩みゆく  裕子

ユーカリの木漏れ日とは何と楽しいことでしょう。どこまでも歩いていけそうです。原句は「ユーカリや木漏れ日まぶし憂ひ消へ」。「憂ひ消へ」と、自分の思いを全て言ってしまうとそこで止まってしまい、広がりのない句になってしまいます。提句は参考ですので、より大きな句となるよう下五を工夫してみてください。

今月の花(五月)太藺

caffe kigosai 投稿日:2022年4月21日 作成者: koka2022年4月22日

太藺がお稽古に届けられると、花木や新緑に目を奪われた時期からいよいよ初夏に移る頃となります。

カヤツリグサ科の太藺は水の中からまっすぐに勢いよく伸び、深い緑の丸い茎は直径が7ミリから15ミリ、高さは1メートルをはるかに越します。

太藺が群生しているところを探しても葉はありません。長い間に退化したからで、葉の跡は茎の元にある鞘に残っています。水中の地下茎は横にしっかりと伸びていきます。

太藺の先に花がついているものもあります。花というイメージからすると地味で、茶色の穂の様に見えます。茎の先端からいくつかごく短い枝のようなものが出て、それに小さな褐色の花が数個付いています。

太藺を手に取って二本の指で挟みつぶしてみると、中が海綿状になっているのがわかります。濃い緑から来る視覚にだまされしっかりした手触りを思い浮かべると、肩透かしを食った感覚が手の中に残ります。

真横に切ると、水を吸い上げている管が緑の丸いふちの中にぎっしりと詰まっています。ここにワイヤーを通し、太藺を思うような形にするのもいけばなを知っている人の楽しみです。ワイヤーを入れるとサクサクと通っていき、空気をたくさん含んでいることがわかります、深い花器にいける時には、元が浮き上がってくるほど軽い空気感のある植物です。

同じ太藺でも「縞ふとい」は緑と白の斑が美しいものです。高さはあまりありません。斑が縦に入る「縦じまふとい」もあります。

何本かをまとめて元を両手でねじるように広げると、茎の先が大きく広がり、この植物の独特の線で作られた空間の美しさにひかれます。例えば、お互いに平行を保ちつつぐんぐん上昇していく何機かのブルーインパルスのチームが、ある一瞬、大空でそれぞれの方向にパッと散って軌跡を描く、そんな爽快さと思いがけなさが太藺を手にして開いた時、心の中に起こるのです。

季節の花材とともに水面をみせながら太藺をいけていくと、これから梅雨に向かいうっとうしくなる時期が控えていることが、少し忘れられるのです。(光加)

浪速の味 江戸の味 5月「たこ焼」(浪速)

caffe kigosai 投稿日:2022年4月21日 作成者: youko2022年4月24日

初夏にとれる蛸は、皮もやわらかくおいしい。明石の蛸が有名だが大阪湾和泉地域の蛸も人気だ。大阪市旭区や和泉市の遺跡から弥生時代のイイダコ壺が出土している。蛸は昔から身近な食べものだったようだ。

大阪の和泉、河内や関西圏の農村地域では、田植えをした時、稲の根が蛸の足のように大地に張りつくよう祈念するのと、梅雨明けの草取りが終わった時期(半夏生 7月2日ごろ)に蛸を食べて疲れを癒していたという。タウリンが大量に含まれているので疲労回復にぴったりである。刺身でも、煮つけでも、酢の物でも美味しく食べられる。

昭和30年頃から屋台店が街々に増えたのと、一家に一台と言われるたこ焼機の普及もあって、大阪と言えばたこ焼というくらいに蛸をつかった食べ物の代表となった。

大正から昭和にかけて「ちょぼ焼」「ラジオ焼」というものが流行していた。ちょぼ焼はハガキ大の鉄板に12個の穴が開いた道具にメリケン粉の溶いたものを流し、こんにゃくや干しえび、醤油を入れて焼くものだった。子どものおやつ的なものだったらしい。「ラジオ焼」は、すじ肉などを入れて焼いたものだった。その後、会津屋の遠藤氏が昭和10年頃、蛸を入れた「たこ焼」を発案したと言われている。現在のようにソースにマヨネーズ、青海苔などをかけて食べるようになったのは戦後のことである。(『大阪食文化大全』参照)

大阪の粉もの食文化の代表的な食べ物であるが、蛸の旨味があってこそだと思う。輸入された蛸が増えている中、大きめに切った明石や和泉地域の蛸を使って、家で焼くたこ焼きはちょっと贅沢な「なにわの味」である。

たこ焼に大きな蛸の浪速かな   洋子

今月の季語(五月)初夏

caffe kigosai 投稿日:2022年4月17日 作成者: masako2022年4月21日

春が待たれる季節であるのは、〈待春〉という季語があることからも明らかです。初春が新年と一致していた昔はなおのこと。ですが私はそれ以上に夏が待たれます。なぜなら花粉が飛ばなくなるから。どのみちマスクはとれない昨今ですが、賛成の人は多いと思っています。

〈夏隣〉〈夏近し〉とはいいますが、夏を待つという季語はありません。近づいて来る夏への期待はありながらも、〈ゆく春〉を惜しむ気持ちが強いからかもしれません。冬が去るのは惜しみませんが、春の終わりには〈惜春〉というムードたっぷりの季語があります。

夏近し幹は幹色葉は葉色      宇多喜代子

春惜むおんすがたこそとこしなへ  水原秋櫻子

待たれ、そして惜しまれた春も移ろい、暦の上の区切り〈立夏〉(今年は五月五日)を過ぎると一気に夏めいていきます。立夏はまさに夏への扉といえるでしょう。

プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ 石田波郷

子に母にましろき花の夏来る    三橋鷹女

おそるべき君等の乳房夏来る    西東三鬼

夏のはじめが〈初夏(しよか/はつなつ)〉です。〈はつなつ〉とひらがな表記されることもあります。「初」のつく語には「待ってました!」の心がこもっています。初花しかり、初鰹しかり。恋々と春を惜しんでいた人々も〈初夏〉と口にした瞬間、待ち人来たるの気持ちに切りかわるのではないでしょうか。

初夏の一日一日と庭のさま     星野立子

銀の粒ほどに船見え夏はじめ    友岡子郷

「待って」いたのは、じくじくと蒸したり、灼けるほど熱かったりの夏ではなく、すっきりとして充実した気分になる夏の始まりのみ。待春はあっても待夏が無いのはそのせい(?)かもしれません。

初夏は現代のカレンダーでは五月のころです。〈五月(ごぐわつ)〉はそのまま季語として使えます。

目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹  寺山修司

地下街の列柱五月来たりけり     奥坂まや

五月を「さつき」と読むと陰暦五月の異称となり、仲夏の季語となります(皐月とも書きます)。現代の五月はおおよそ陰暦四月〈卯月〉です。

酒のあと蕎麦の冷たき卯月かな    野村喜舟

そのころのすこし汗ばむ暑さを指して〈薄暑〉といいます。これもまた初夏限定の季語です。

街の上にマスト見えゐる薄暑かな     中村汀女

フランスの水買つて飲む薄暑かな     井越芳子

沖縄ではおなじころを〈若夏〉と呼びます。稲の穂が出るころあいといいますから、体感は異なりそうですが、語感には今から育ってゆく夏の喜びが詰まっています。

若夏の魔除獅子いかる屋根の上      角川源義

五月も下旬となると麦が黄熟し、刈り入れ時を迎えます。〈麦〉は植物の季語ですが、〈麦秋〉〈麦の秋〉は時候の季語、初夏の季語です。

クレヨンの黄を麦秋のために折る    林 桂

さてこのすがすがしい夏を、どの季語で表しましょうか?(正子)

 

カフェきごさい「ネット句会(4月)」互選+飛岡光枝選

caffe kigosai 投稿日:2022年4月9日 作成者: mitsue2022年4月9日

(連中)弘道 良子 都 桂 すみえ 裕子 雅子 涼子 酔眼 隆子 光尾 利通 光枝

≪互選≫

前﨑 都選
束ねゆく茎みづみづし黄水仙  涼子
春筍目も覚めぬうち食はれけり  雅子
鯖街道春が近江を指して行く  弘道

山中すみえ選
北岳にけふは雲ある桃の花  光枝
土筆和あくのつよきも混じりけり  隆子
あるだけの花を散らして目黒川  雅子

池田良子選
茶杓にも艶といふもの宗易忌  都
職退いて田打つ真紅のトラクター  隆子
山茱萸の花の盛りを農具市  隆子

若土裕子選
啼く烏今朝も余震の社日かな  酔眼
山茱萸の花の盛りを農具市  隆子
工員の昼のいつぷく花の下  すみえ

藤倉 桂選
茶杓にも艶といふもの宗易忌  都
山茱萸の花の盛りを農具市  隆子
鯖街道春が近江を指して行く  弘道

早川光尾選
豆スープ皿にたつぷり花疲れ  すみえ
職退いて田打つ真紅のトラクター  隆子
ハーメルンの笛のひゃらりこ花ゑんど  利通

上田雅子選
霾るやハリコフの鳩飛び立てよ  都
山茱萸の花の盛りを農具市  隆子
花冷えの雷門や大提灯  すみえ

篠原隆子選
病室の窓に人かげ春の月  裕子
下萌えや猫の歩みのやはらかく  光尾
あはあはと森の精霊山ざくら  涼子

須賀利通選
霾るやハリコフの鳩飛び立てよ  都
鯖街道春が近江を指して行く  弘道
たんぽぽや一瞬にして非日常  都

伊藤涼子選
銭湯は今日は桜湯行つてみるか  弘道
桜海老干すくれなゐの命かな  光枝
あるだけの花を散らして目黒川  雅子

松多酔眼選
職退いて田打つ真紅のトラクター  隆子
鯖街道春が近江を指して行く  弘道
近道は昔のままに春の泥  裕子

≪飛岡光枝選≫
【特選】
春筍目も覚めぬうち食はれけり  雅子

筍掘り名人は、ほんの少しの土の盛り上がりで見つけるという春の筍。「目も覚めぬうち」が気の毒ながら愉快。目が覚めないうちに掘って、茹で上げて、「食はれけり」まで言ったことで春らしい勢いが生まれました。

土筆和あくのつよきも混じりけり  隆子

春の山菜の魅力はそのあく。句はそのあくに焦点を当てました。土筆の風貌(?)から、人間の集団のようでもあります。

【入選】
比良八嵐京津線は峠越え  酔眼

原句は「比良八講京津線の峠超え」。「比良八講」は古くは近江の比良明神の春の法会で、現在は琵琶湖上で法要が行われています。「比良八講」はその行事をさす季語、「比良八荒」はそのころ比良山地から吹き下ろす強風により琵琶湖が荒れる天文の季語です。句は、京都市内から琵琶湖方面へ向かう京津線の逢坂山越えでしょうか。春先の強い風に向かい峠を越えて行く列車の姿が見えるようです。

束ねゆく茎みづみづし黄水仙  涼子

白い小さな花を付ける水仙は冬の季語ですが、黄水仙は春三月ころから花壇を華やかに彩る水仙です。句は大振りな黄水仙の存在感を際立たせる一句です。より手触りを感じさせる「茎きしきしと」なども一考ください。

銭湯は今日は桜湯行つてみるか  弘道

歳時記の「桜湯」は、桜漬に湯を注いでいただく飲み物ですが、句は桜の入浴剤のお湯が楽しめる銭湯。湯を注ぐと桜漬がゆっくりとほどけるように、作者の身心もお湯にほどけてゆくことでしょう。「行つてみるか」の口語体も活きています。

親不知子不知波寄す桜貝  利通

難所として知られる親不知子不知ですが、春には少し波が穏やかになり桜貝が打ち寄せるのでしょうか。原句は「親不知子不知あたり桜貝」。「あたり」は句を弱くすることが多いのでご注意を。

職退いて田打つ真赤なトラクター  隆子

念願の農業だったのでしょう、田を打つ春の喜びが感じられます。原句は「職退いて田打つ真紅のトラクター」。

春日傘いつしよに畳む日の匂  良子

暑さごと日傘を畳むという句はよく詠まれますが、「日の匂」を畳むと言って春日傘らしい句となりました。

風のなか蓬摘む母丸くなり  光尾

丸くなって蓬を摘むのではなく、丸くなった母上が蓬を摘んでいる句です。原句は「春光や蓬摘む母丸くなり」ですが、しっかりした春の季語がある句に安易に「春」を入れないようにしましょう。「風のなか」でなくても、中七下五がより活きる上五を探してみてください。

鯖街道春が近江を指して行く  弘道

春らしい勢いのある句です。鯖はじめ若狭の魚介類が通った鯖街道であるだけに、句の春も海の恵を思わせます。芭蕉の句「行く春を近江の人と惜しみける」を面影に。

近道は昔のままに春の泥  裕子

「昔のままに」で切って読みます。「昔のままに春の泥」では奥行に欠けてしまいます。

花冷えの雷門や大提灯  すみえ

「花冷え」は、雰囲気先行になりがちな季語ですが、具体的に描いて実のある句になりました。「花冷えの大提灯」とするとより焦点が定まるかと思います。

ハーメルンの笛のひやらりこ花ゑんど  利通

笛の音に囃されて豌豆の蔓がぐんぐん伸びていくよう。文字を眺めていると「ゑ」が豆の蔓のようにも見えてきました。
正しくは「花ゑんどう」ですが、作品ですので作者の意図であれば「花ゑんど」でも。

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「カフェきごさいズーム句会」のご案内

「カフェきごさいズーム句会」(飛岡光枝選)はズームでの句会で、全国、海外どこからでも参加できます。

  • 第三十五回 2026年2月14日(土)13時30分
    (3月は第一土曜日・7日です)
  • 前日投句5句、当日席題3句の2座(当日欠席の場合は1座目の欠席投句が可能です)
  • 年会費 6,000円
  • 見学(1回・無料)も可能です。メニューの「お問い合せ」欄からお申込みください。
  • 申し込みは こちら からどうぞ

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スタッフのプロフィール

飛岡光枝(とびおかみつえ)
 
5月生まれのふたご座。句集に『白玉』。サイト「カフェきごさい」店長。俳句結社「古志」題詠欄選者。好きなお茶は「ジンジャーティ」
岩井善子(いわいよしこ)

5月生まれのふたご座。華道池坊教授。句集に『春炉』
高田正子(たかだまさこ)
 
7月生まれのしし座。俳句結社「青麗」主宰。句集に『玩具』『花実』『青麗』。著書に『子どもの一句』『日々季語日和』『黒田杏子の俳句 櫻・螢・巡禮』。和光大・成蹊大講師。
福島光加(ふくしまこうか)
4月生まれのおひつじ座。草月流本部講師。ワークショップなどで50カ国近くを訪問。作る俳句は、植物の句と食物の句が多い。
木下洋子(きのしたようこ)
12月生まれのいて座。句集に『初戎』。好きなものは狂言と落語。
趙栄順(ちょよんすん)
同人誌『鳳仙花』編集長、6月生まれのふたご座好きなことは料理、孫と遊ぶこと。
花井淳(はない じゅん)
5月生まれの牡牛座、本業はエンジニア、これまで仕事で方々へ。一番の趣味は内外のお酒。金沢在住。
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